281 / 398
家族の章
自称・優しい人
しおりを挟む
イワンやカーシャを、リーネやトーイの承諾なく引き取ったことをあれこれ言う奴もいるかもしれねえが、子供を生む時だって先に生まれた子の承諾なんか取るか?
『実の兄妹を作ることと、赤の他人の子供を引き取ることを一緒にすんな!』
とかホザく奴もいるだろうが、知らねえな。他所様の家庭の事情に何の権利があって口出しするのか分からねえ奴の寝言なんざ、聞こえねえよ。
それに、勝手なことをしてリーネやトーイの反発を受けることは、覚悟の上だ。加えて、イワンやカーシャにばかりかまけてリーネとトーイを蔑ろにするつもりもねえ。
下の子にばかりかまけて上の子を蔑ろにするような親の言うことなんざ聞く耳持たねえよ。
だが同時に、この調子で次々子供を引き取ってくるのもマズいと俺も分かってる。捨て犬や捨て猫をホイホイ拾ってきて飼いきれなくなって劣悪な飼育環境に陥るという本末転倒な<自称・優しい人>と同じになっちゃ意味がねえのも分かってる。
だから自制しなきゃならねえってのもな。
でも、だからこそ、自分で生きていけるようになってもらわなきゃとも思ってるんだ。
その辺りのバランスも考えなきゃな。
ただ、トーイはともかくリーネはもう、自分の力だけでも生きていけそうになってるとは感じる。カーシャの面倒まで押し付けようとはまだ思わないが、自分のことは自分でできるようになってるんだよ。家事はほぼ完璧だしな。
リーネがいるからこの家は回ってるってのもあるのは間違いない。だからこそ、
「いつもありがとうな」
と、ちゃんと口に出して労う。前世で女房やリサに対してはまったくしてこなかったことを、今はする。それをしなかったから後悔しかない人生の終わりを迎えたんだと思い知らされたからな。
高齢者施設にいた時にも、
『ガキは厳しく躾けるもんだ!』
とか考えて若い職員を『躾け』るんじゃなくて、ちゃんと労ってりゃ疎まれることもなかったんだって、分かるだろう?
その当たり前のことをしなきゃと思ってるだけだ。
そしたらリーネも、
「トニーさんこそ、いつもありがとうございます。私、トニーさんのところに来れて本当に良かった……♡」
なんて、嬉しいことを言ってくれるんだよ。女房やゆかりは言ってくれなかったことを、言ってくれるんだ。
前世じゃなんでそんなことにも気付かなかったのかねえ。俺は……
そんなこんなで、家のことはリーネに任せつつ、俺はカーシャを連れて村に下りる。村でも、カーシャに乳をくれる女に、
「いつもすまねえな」
丁寧に感謝するんだ。そしたら、
「いいっていいって。こっちも出過ぎて困ってるんだからさ♡」
言ってくれるんだ。
『実の兄妹を作ることと、赤の他人の子供を引き取ることを一緒にすんな!』
とかホザく奴もいるだろうが、知らねえな。他所様の家庭の事情に何の権利があって口出しするのか分からねえ奴の寝言なんざ、聞こえねえよ。
それに、勝手なことをしてリーネやトーイの反発を受けることは、覚悟の上だ。加えて、イワンやカーシャにばかりかまけてリーネとトーイを蔑ろにするつもりもねえ。
下の子にばかりかまけて上の子を蔑ろにするような親の言うことなんざ聞く耳持たねえよ。
だが同時に、この調子で次々子供を引き取ってくるのもマズいと俺も分かってる。捨て犬や捨て猫をホイホイ拾ってきて飼いきれなくなって劣悪な飼育環境に陥るという本末転倒な<自称・優しい人>と同じになっちゃ意味がねえのも分かってる。
だから自制しなきゃならねえってのもな。
でも、だからこそ、自分で生きていけるようになってもらわなきゃとも思ってるんだ。
その辺りのバランスも考えなきゃな。
ただ、トーイはともかくリーネはもう、自分の力だけでも生きていけそうになってるとは感じる。カーシャの面倒まで押し付けようとはまだ思わないが、自分のことは自分でできるようになってるんだよ。家事はほぼ完璧だしな。
リーネがいるからこの家は回ってるってのもあるのは間違いない。だからこそ、
「いつもありがとうな」
と、ちゃんと口に出して労う。前世で女房やリサに対してはまったくしてこなかったことを、今はする。それをしなかったから後悔しかない人生の終わりを迎えたんだと思い知らされたからな。
高齢者施設にいた時にも、
『ガキは厳しく躾けるもんだ!』
とか考えて若い職員を『躾け』るんじゃなくて、ちゃんと労ってりゃ疎まれることもなかったんだって、分かるだろう?
その当たり前のことをしなきゃと思ってるだけだ。
そしたらリーネも、
「トニーさんこそ、いつもありがとうございます。私、トニーさんのところに来れて本当に良かった……♡」
なんて、嬉しいことを言ってくれるんだよ。女房やゆかりは言ってくれなかったことを、言ってくれるんだ。
前世じゃなんでそんなことにも気付かなかったのかねえ。俺は……
そんなこんなで、家のことはリーネに任せつつ、俺はカーシャを連れて村に下りる。村でも、カーシャに乳をくれる女に、
「いつもすまねえな」
丁寧に感謝するんだ。そしたら、
「いいっていいって。こっちも出過ぎて困ってるんだからさ♡」
言ってくれるんだ。
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる