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家族の章
いくら陰口のつもりで言ってても
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ところで、村での俺の評判は、
<役にも立たない子供を次々引き取る、腕はいいが偏屈な鍛冶屋>
というものになってた。しかもそれはまだ表向きの評判。裏じゃ、
『自分の慰みものにするために子供を集めてるらしい』
なんて感じの陰惨なものでもあるのは、いくら陰口のつもりで言ってても届いてんぞ。というのも、<お節介なスピーカーおばさん>的な中年女がいてよ。そいつがまあ、あることないこと吹くんだ。これが。俺に対する<裏の評判>もこの女がしゃべってくれたよ。べらべらと。
「あなた、こんなこと言われてるんだけど、本当?」
って感じで、そうやって話題を振ることでさらに俺から話のネタを引き出そうって魂胆だろうな。
だが、別に何も隠し立てすることじゃねえから。
「別に。俺は畑仕事じゃねえし、家のことを代わりにしてもらうんなら、畑仕事できない子供だって役に立つってだけだ。目が見えなくたって縄ぐらい編めんだろ」
きっぱりとそう言った。まあそれも村の連中が<建前>としか受け取らなかったとしても俺には関係ねえ。それに俺の鍛冶屋としての腕は疑われてねえし。
「トニー! あんたの作る道具はホントに丈夫で役立ってくれるよ! 鍛冶屋としての腕は超一流だな! 鍛冶屋としての腕は!」
とか、いちいち『鍛冶屋としての腕は』とか断りを入れた上で持ち上げてくるのが多いから、本音じゃどう思ってんのかバレバレだってーの!
まあそれもどうでもいい。職人としての腕を認められてんなら、
<ガキを慰みものにする変質者>
と思われてようが知ったことか。
で、ふと思ったんだよな。こんな感じで俺みたいのがいて、それに対して面白おかしく噂話に仕立て上げるのがいて、それがさらに尾ひれがついたり改変されたりして、やがて絵本の題材になるような風聞になるのかもしれねえって。
さしずめ、
『夜な夜な体の不自由な子供をもらい受けてきて鉄と一緒に溶かして怪物さえ討ち倒す魔剣を作る恐ろしい鍛冶屋』
って感じか? ははは! シャレにゃなんねえが、ちょっとカッコいいじゃねえかよ。
でも、事実はそうじゃねえよ。けど、<噂話>ってなあいつの時代も面白おかしく話せればいいってだけで、それが事実かどうかなんざどうでもいいんだろうなあ。
迷惑な話だ。
ちなみに、村に下りる時には、俺はカーシャを<抱っこ紐>で自分に括り付けてくる。もちろん、乳をもらい受けるためってのもあるんだが、同時に、カーシャには常に人肌のぬくもりってやつに触れさせてやりたいんだよ。目が見えねえ分、言葉だけじゃなく実際の感触で伝えてやりたいんだ。
自分が守られてるってことをな。
<役にも立たない子供を次々引き取る、腕はいいが偏屈な鍛冶屋>
というものになってた。しかもそれはまだ表向きの評判。裏じゃ、
『自分の慰みものにするために子供を集めてるらしい』
なんて感じの陰惨なものでもあるのは、いくら陰口のつもりで言ってても届いてんぞ。というのも、<お節介なスピーカーおばさん>的な中年女がいてよ。そいつがまあ、あることないこと吹くんだ。これが。俺に対する<裏の評判>もこの女がしゃべってくれたよ。べらべらと。
「あなた、こんなこと言われてるんだけど、本当?」
って感じで、そうやって話題を振ることでさらに俺から話のネタを引き出そうって魂胆だろうな。
だが、別に何も隠し立てすることじゃねえから。
「別に。俺は畑仕事じゃねえし、家のことを代わりにしてもらうんなら、畑仕事できない子供だって役に立つってだけだ。目が見えなくたって縄ぐらい編めんだろ」
きっぱりとそう言った。まあそれも村の連中が<建前>としか受け取らなかったとしても俺には関係ねえ。それに俺の鍛冶屋としての腕は疑われてねえし。
「トニー! あんたの作る道具はホントに丈夫で役立ってくれるよ! 鍛冶屋としての腕は超一流だな! 鍛冶屋としての腕は!」
とか、いちいち『鍛冶屋としての腕は』とか断りを入れた上で持ち上げてくるのが多いから、本音じゃどう思ってんのかバレバレだってーの!
まあそれもどうでもいい。職人としての腕を認められてんなら、
<ガキを慰みものにする変質者>
と思われてようが知ったことか。
で、ふと思ったんだよな。こんな感じで俺みたいのがいて、それに対して面白おかしく噂話に仕立て上げるのがいて、それがさらに尾ひれがついたり改変されたりして、やがて絵本の題材になるような風聞になるのかもしれねえって。
さしずめ、
『夜な夜な体の不自由な子供をもらい受けてきて鉄と一緒に溶かして怪物さえ討ち倒す魔剣を作る恐ろしい鍛冶屋』
って感じか? ははは! シャレにゃなんねえが、ちょっとカッコいいじゃねえかよ。
でも、事実はそうじゃねえよ。けど、<噂話>ってなあいつの時代も面白おかしく話せればいいってだけで、それが事実かどうかなんざどうでもいいんだろうなあ。
迷惑な話だ。
ちなみに、村に下りる時には、俺はカーシャを<抱っこ紐>で自分に括り付けてくる。もちろん、乳をもらい受けるためってのもあるんだが、同時に、カーシャには常に人肌のぬくもりってやつに触れさせてやりたいんだよ。目が見えねえ分、言葉だけじゃなく実際の感触で伝えてやりたいんだ。
自分が守られてるってことをな。
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