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日常の章
久々の血のプディング
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こうして久々にリーネの<血のプディング>と、干し肉じゃない肉が入ったスープが夕食に出た。相変わらずトーイは血のプディングは食べられなかったが、まあいいさ。野菜はそれなりに食べてくれるからな。
「ああ~、いいなあ、やっぱりリーネの料理は最高だ!」
血のプディングに舌鼓を打ちながら、俺は正直な気持ちを口にした。その上で、
「トーイも手伝ってくれてありがとうな!」
トーイのことも労うのを忘れない。こうやって自分が労ってもらえるからこそ他の誰かのことも労えるんだと実感する。まずは自分が相手を労うんだよ。相手から労ってもらうことを期待してんな。『類は友を呼ぶ』んだから、そんな風に考えてる奴の周りに残るのは、
<相手から先に労ってくれることを期待してる奴>
ばっかりだぞ。しかも子供に対して
<自分から相手を労う姿勢>
も大人が示さずになんでそれを身に付けられると思うんだ? 親や大人が子供の前で言葉もしゃべってみせずに子供が言葉を覚えると思うのか? それと同じなんだよ。子供が<人間としての振る舞い>を学ぶってのは。
前世でそれを理解できてたらなあ……ゆかりの前でそれを示せてやれてれば、見捨てられてなかったかもしれねえのになあ……
などと嘆いても始まらんので、今はリーネとトーイに集中する。
<相手を労う姿勢>
を、二人の前で示す。すると二人も真似をしてくれる。俺は大人だ。二人の親だ。だから先に俺がそれを示すんだ。その程度のこともできなくてなにが大人だ。なにが親だ。歳をとっただけの子供が偉そうにできるか……!
なんてことを考えながらも、なかなかにいい食事ができたな。やっぱり食事は重要だ。頭が回る。気力が漲る。ただ『食う』だけじゃない。『栄養を補給する』だけじゃない。
『自分を満たす』
それが食事だとつくづく思う。
そうだ。
『命をいただき、自分という命を満たす』
そういうことだな。
で、食えば当然、出すものも出すが、それらは林の中で下草を刈ったところに穴を掘り、そこに捨て、火を焚いて灰にする。そのままじゃ植物にとっても<毒>になるからだ。灰にすることで養分にしやすくするんだよ。
命が巡ってることを実感する。
つくづく、命が濃いな。この世界は。前世は便利で快適だったが、その分、命の実感は薄かったと思う。『どっちがいい?』って話になると、正直、一長一短かな。
前世は楽でこっちは大変で。
前世は生きてる実感が乏しくてこっちは毎日生きてることを実感できる。
要は、<幸せ>を見付けられればどっちでもアリってことだろう。
「ああ~、いいなあ、やっぱりリーネの料理は最高だ!」
血のプディングに舌鼓を打ちながら、俺は正直な気持ちを口にした。その上で、
「トーイも手伝ってくれてありがとうな!」
トーイのことも労うのを忘れない。こうやって自分が労ってもらえるからこそ他の誰かのことも労えるんだと実感する。まずは自分が相手を労うんだよ。相手から労ってもらうことを期待してんな。『類は友を呼ぶ』んだから、そんな風に考えてる奴の周りに残るのは、
<相手から先に労ってくれることを期待してる奴>
ばっかりだぞ。しかも子供に対して
<自分から相手を労う姿勢>
も大人が示さずになんでそれを身に付けられると思うんだ? 親や大人が子供の前で言葉もしゃべってみせずに子供が言葉を覚えると思うのか? それと同じなんだよ。子供が<人間としての振る舞い>を学ぶってのは。
前世でそれを理解できてたらなあ……ゆかりの前でそれを示せてやれてれば、見捨てられてなかったかもしれねえのになあ……
などと嘆いても始まらんので、今はリーネとトーイに集中する。
<相手を労う姿勢>
を、二人の前で示す。すると二人も真似をしてくれる。俺は大人だ。二人の親だ。だから先に俺がそれを示すんだ。その程度のこともできなくてなにが大人だ。なにが親だ。歳をとっただけの子供が偉そうにできるか……!
なんてことを考えながらも、なかなかにいい食事ができたな。やっぱり食事は重要だ。頭が回る。気力が漲る。ただ『食う』だけじゃない。『栄養を補給する』だけじゃない。
『自分を満たす』
それが食事だとつくづく思う。
そうだ。
『命をいただき、自分という命を満たす』
そういうことだな。
で、食えば当然、出すものも出すが、それらは林の中で下草を刈ったところに穴を掘り、そこに捨て、火を焚いて灰にする。そのままじゃ植物にとっても<毒>になるからだ。灰にすることで養分にしやすくするんだよ。
命が巡ってることを実感する。
つくづく、命が濃いな。この世界は。前世は便利で快適だったが、その分、命の実感は薄かったと思う。『どっちがいい?』って話になると、正直、一長一短かな。
前世は楽でこっちは大変で。
前世は生きてる実感が乏しくてこっちは毎日生きてることを実感できる。
要は、<幸せ>を見付けられればどっちでもアリってことだろう。
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