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暮らしの章

あはは、ひどいもんだ、こりゃ

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夕食を終えて少し休んだ後は、三人で寝る。

まあ、夫婦だったらこの後は盛るのが普通だし、俺のこっちでの両親も、俺が寝てる横でお構いなしにヤってた。前世ならそれこそ<性的虐待>って言われかねないことも、ここじゃそんなこと気にする奴もほぼいねえ。

自分の実の親が盛ってるところなんざ、頼まれたって見たくもねえしな。でも、そんなだから子供もポンポン生まれる。そして、ポンポン死んでいく。

ははは、まさに<ガチャ>だな。ガチャを何度も引いて、生き延びてくれる強い子を引き当てるんだ。

ちなみに、ここにゃ<アタリ親>はまずいねえ。金もねえ、愛情もロクにねえ、子供をただの道具か家畜としか見ねえ親しかいねえ社会だよ。まったく、ロクなもんじゃねえ。それでも人間ってのは生きてるんだ。

稼ぎが少ないから結婚できねえ?

人間的に成長してからじゃねえと子供も育てられねえ?

笑わせんな。ここにゃそんなこと気にする奴は一人もいねえよ。

『社会はどんどん悪くなる一方だ』

とか、俺自身もそんなこと言ってたが、こんな社会が<いい社会>だってか? そう思うんならてめえもここで暮らしてみろ。ゴチャゴチャ口だけ達者な奴なんざ、親にキレられて殺されるだけだろうがな。

そんなことも思うが、ベッドに横になってリーネとトーイの顔を見てるだけでどうでもよくなってきちまう。いつものようにリーネに抱かれて、トーイはすうすうと寝息を立て始める。俺は、リーネに、

「なんかつらいことないか……」

と問い掛けるが、彼女は、首を小さく横に振って、

「トニーさんがいてくれたら、平気です……」

とか言ってくれる。それがまた嬉しい。そう思ってもらえる自分でいられてるのが実感できるからな。そしてそう言ってる時の彼女の表情とかを俺はよく見る。見て、彼女が無理をしてるわけじゃないのが感じられると、俺もホッとしていつのまにか寝てるんだ。



だが、翌日は朝から雨だった。

「こりゃ、村には行けないな」

「ですね」

そんなわけで、新しく作った部屋の雨漏り具合とかをチェックする。

するんだが、

「あはは、ひどいもんだ、こりゃ」

盛大に雨漏りしてて、どこから手を付ければいいのか皆目見当もつかない。とは言え、素人工作じゃこんなものか。しかも、屋根に降った雨が浴槽に落ちるようにと思ってた細工も、

「ダメだこりゃ……」

屋根の端から落ちる雨水が、肝心の浴槽に届いてない。もっと雨の勢いが強けりゃ届きそうな感じだが、今日の程度の雨じゃ真下に落ちるだけでほとんど届いてないんだ。

なので、屋根をもう少し延長するべきかもな。

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