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トーイの章

まだ油断はできないと

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その後も五日ほど、俺とリーネが交代で目を離すことなくトーイを見守った。昼はリーネが、夜は俺がという形で。まだ油断はできないと思ったからだ。

そして俺とリーネが両方とも起きてる時に水汲みをしてもらったり、ベッドを設え直したりした。

すると、トーイの様子はみるみる回復していって、ほとんど元通りに。パッと見には健康そのものだ。もう大丈夫なんじゃないかな。

だから、手首に巻いていた包帯代わりの布を取る。が、やっぱり瘡蓋とくっついてしまっていた。

「少し痛いかもしれないが、我慢してくれ」

言いながら少しずつ布を外していくと、

「い……」

トーイが体を竦めて眉をしかめた。瘡蓋が剝がれる時に痛みがあったんだろう。しかし、出血はなかった。だから俺は、慎重に外していく。ぺりぺりぺりと瘡蓋が剥がれていくのが分かる。

「い……いた……」

何度も体を竦めるトーイに俺の胸も痛んだが、さすがにこれ以上巻きっぱなしにしておくのも不潔だと感じるから、大きな出血がないなら外してしまおうと思う。

もしかしたらこのまま勝手に瘡蓋が剥がれるまで待ってもよかったのかもしれないにせよ、それも俺は医学的に正しい知識がないからな。本当に何となくこうしただけなんだよ。

だから本当に運が良かっただけかもしれない。もし今後同じようなことがあっても、今回と同じようにすればいいとは思い込まないようにしなくちゃと考える。

こうして、たぶん十分くらいの時間をかけて布を外した。少し血が出たものの、小さなものだ。すぐに止まるだろう。それよりも、やっぱりトーイの右手首には、ぐるっと一周するように派手な傷跡が残ってしまった。まるで、手首から先を手術で付け替えたみたいな印象さえあるものだった。

とは言え、命が助かったならそれでいい。こんな傷痕を気にする奴もここにはいない。

それからしばらく様子を見ていると、血が固まってさっそく瘡蓋になり始めていたようだ。もう大丈夫だな。

だから改めて俺は言う。

「今回のことで懲りただろう?」

その問い掛けに、

「……!」

トーイは大きく頷いてくれた。そんな彼に、

「ならいい。次からは気を付けてくれ。お前が怪我をしたら、俺も不安で仕方なくなるんだ……」

俺は訥々と告げた。するとトーイも、

「はい……ごめんなさい……」

って言ってくれたんだ。そんな彼の頭をくしゃくしゃと撫でる。

今回、一番痛い思いをしたのはトーイ本人だ。もう二度とこんな思いはしたくないだろう。別に俺が怒鳴る必要もない。

あくまで、俺やリーネが心配するっていうのを分かってもらえればいいんだ。

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