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リーネの章
上手くできなくて当たり前
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それでも、リーネが水汲みを終えられるまでには、子供が一人寝そべることができる程度には穴が掘れた。
が、石がとにかく多い。体積で言えば土と変わらないくらいにあると思う。
しかし、その石は、風呂作りに利用することになるだろうな。さすがに土が剥き出しのまま湯を張るのもどうかと思うから、石で固めようと考えてる。
ただ、掘り出した石のほとんどは、そのまま使うにはちょっとという気がする。結構、ごつごつしてて鋭いところとかもあって、変に踏んだら足とか切りそうな感じなんだ。
となれば……
俺は思い立って家に戻り、鉄を打つための槌を持ってきて、出てきた石の角になった部分をコツコツと叩いてみた。すると、刃物のようになった部分が削れて、丸くなる。
「これだ……!」
と思った。そこに、
「水汲み、終わりました」
リーネが声を掛けてくる。
「おお、ご苦労さん。じゃあ、この槌を使って、ここの石の角になったところをこうやってコンコンと叩いて丸くしていってくれ」
俺は、そう説明しながら、実際に石の角を槌で叩いて滑らかにしていく。それから彼女に槌を渡して、
「こうですか……?」
リーネが石を叩く様子を見て、
「いやいや、そんなに力を入れなくていい。槌の重さだけで、こう、上から当てるだけって感じでいい。一気にやろうとすると大きく割れてまた角ができてしまうかもしれないから」
石を叩くということで少し力んでしまったのか、強くガンガンと叩こうとしたのを見て、俺は改めてやって見せた。槌そのものもがっしり握るんじゃなくて、柄を包み込む感じで柔らかく握って、ホントに当てるだけって感じでやって見せる。
それでもすぐには彼女も俺の言ってることがピンと来ないらしくて、イメージどおりにできない。
前世の俺だったら、たぶん、二回やって見せただけで、
『何で分からないんだ!!』
とか怒鳴ってただろうな。でも、相手は自分とは違う人間なんだよ。しかも子供で、鍛冶を仕事にしてる俺と違って槌の扱いそのものだって慣れちゃいない。そういう相手に俺の思う感覚がすぐに理解できると考える方が、そもそもどうかしてる。
そんなことで苛々して、それでストレスを発散するためにリーネに当ったんじゃ、何してるか分かったもんじゃない。
だから俺は、
『上手くできなくて当たり前』
と考えて、彼女が感覚を掴むまで、何度でも丁寧に教えることにした。
そして、三十分くらいすると、
「おお! そうだ。そんな感じでいい!」
って口にするくらいにはリーネもコツを掴んでくれた。
「焦らなくていいんだ。急がなくていい。期限が決められてるわけじゃないんだからな」
「はい、分かりました…!」
嬉しそうに笑顔を見せる彼女が眩しかったのだった。
が、石がとにかく多い。体積で言えば土と変わらないくらいにあると思う。
しかし、その石は、風呂作りに利用することになるだろうな。さすがに土が剥き出しのまま湯を張るのもどうかと思うから、石で固めようと考えてる。
ただ、掘り出した石のほとんどは、そのまま使うにはちょっとという気がする。結構、ごつごつしてて鋭いところとかもあって、変に踏んだら足とか切りそうな感じなんだ。
となれば……
俺は思い立って家に戻り、鉄を打つための槌を持ってきて、出てきた石の角になった部分をコツコツと叩いてみた。すると、刃物のようになった部分が削れて、丸くなる。
「これだ……!」
と思った。そこに、
「水汲み、終わりました」
リーネが声を掛けてくる。
「おお、ご苦労さん。じゃあ、この槌を使って、ここの石の角になったところをこうやってコンコンと叩いて丸くしていってくれ」
俺は、そう説明しながら、実際に石の角を槌で叩いて滑らかにしていく。それから彼女に槌を渡して、
「こうですか……?」
リーネが石を叩く様子を見て、
「いやいや、そんなに力を入れなくていい。槌の重さだけで、こう、上から当てるだけって感じでいい。一気にやろうとすると大きく割れてまた角ができてしまうかもしれないから」
石を叩くということで少し力んでしまったのか、強くガンガンと叩こうとしたのを見て、俺は改めてやって見せた。槌そのものもがっしり握るんじゃなくて、柄を包み込む感じで柔らかく握って、ホントに当てるだけって感じでやって見せる。
それでもすぐには彼女も俺の言ってることがピンと来ないらしくて、イメージどおりにできない。
前世の俺だったら、たぶん、二回やって見せただけで、
『何で分からないんだ!!』
とか怒鳴ってただろうな。でも、相手は自分とは違う人間なんだよ。しかも子供で、鍛冶を仕事にしてる俺と違って槌の扱いそのものだって慣れちゃいない。そういう相手に俺の思う感覚がすぐに理解できると考える方が、そもそもどうかしてる。
そんなことで苛々して、それでストレスを発散するためにリーネに当ったんじゃ、何してるか分かったもんじゃない。
だから俺は、
『上手くできなくて当たり前』
と考えて、彼女が感覚を掴むまで、何度でも丁寧に教えることにした。
そして、三十分くらいすると、
「おお! そうだ。そんな感じでいい!」
って口にするくらいにはリーネもコツを掴んでくれた。
「焦らなくていいんだ。急がなくていい。期限が決められてるわけじゃないんだからな」
「はい、分かりました…!」
嬉しそうに笑顔を見せる彼女が眩しかったのだった。
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