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リーネの章
我慢する必要も
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こうやって鉄を打ちながら、鍋で樹皮を煮る。それを淡々とこなしていくんだ。それが俺の仕事だ。
と言っても、今は金をもらってやってるわけじゃないけどな。自分の生活を成り立たせるための準備段階って感じだし。
そして二つ目の鍋が大体形になった頃、樹皮の煮汁もいい感じに黒くなってきたことで、俺は、その鍋にネズミの皮を放り込んだ。後はいい感じに浸かるまで放置だ。
が、ここまででかなり汗をかいてしまった。水を飲んだついでに、まだ取っ手もつけてない二つ目の鍋で水を汲んで頭にかける。
「ぷあーっ!」
冷たい湧き水を足したばかりだったから、実に気持ちいい。
こうなるとますます風呂が欲しくなってくる。元の村じゃ、他の連中も精々水浴びをするくらいだったから俺も我慢してたが、こうしてリーネと二人だけになると、うん、我慢する必要も感じなくなってくるな。
となれば、やっぱり風呂は作ろう。と思うんだが、問題なのは、
『どうやって作るか?』
だ。家の修繕に使う材料はあるからそれで浴槽を作るのが一番ちゃんとしたものを作れそうな気がするが、残念ながら俺にその技術はない。頑張って精々手桶を作れるくらいだろうという予感しかない。
なので、
『やっぱり、地面に穴を掘って池を作ってそれを浴槽にするしかないよな……』
という結論に辿り着く。
ただ、<地面に穴を掘るための道具>が今はない。そして俺は鍛冶職人だ。材料もある。となれば、スコップを作るとしよう。それも、先が尖った、土を掘ったりする時に使うヤツだ。
ところで、スコップというあれは、ショベルとも言うしシャベルとも言うが、結局、どれが正しいんだろうな。俺が前世で聞いたところによると、ショベルとシャベルというのは、
『英語の綴りに寄せるか、それとも発音に寄せるか』
ってだけのただの<表記揺れ>で、スコップはオランダ語?だったかで、しかも地域によってまちまちで、実はなんとなくで使い分けられてるだけらしい。今、俺が住んでる辺りでは<ペレス>と呼ばれてるが、これも、他の地域でも通じるものなのかそれともこの辺りだけで通じる<方言>なのかは分からない。
なので、先が尖った、土を掘る時に使われる<剣先スコップ>をイメージして作るから、俺としては<スコップ>でいこうと思う。
で、スコップを作ることを決める。二つ目の鍋も完成したし、三個目の鍋を作る前にスコップの制作に取り掛かろう。ネズミの皮を樹皮鞣しする用と、料理用との二つがあれば取り敢えずは足りるだろ。
と言っても、今は金をもらってやってるわけじゃないけどな。自分の生活を成り立たせるための準備段階って感じだし。
そして二つ目の鍋が大体形になった頃、樹皮の煮汁もいい感じに黒くなってきたことで、俺は、その鍋にネズミの皮を放り込んだ。後はいい感じに浸かるまで放置だ。
が、ここまででかなり汗をかいてしまった。水を飲んだついでに、まだ取っ手もつけてない二つ目の鍋で水を汲んで頭にかける。
「ぷあーっ!」
冷たい湧き水を足したばかりだったから、実に気持ちいい。
こうなるとますます風呂が欲しくなってくる。元の村じゃ、他の連中も精々水浴びをするくらいだったから俺も我慢してたが、こうしてリーネと二人だけになると、うん、我慢する必要も感じなくなってくるな。
となれば、やっぱり風呂は作ろう。と思うんだが、問題なのは、
『どうやって作るか?』
だ。家の修繕に使う材料はあるからそれで浴槽を作るのが一番ちゃんとしたものを作れそうな気がするが、残念ながら俺にその技術はない。頑張って精々手桶を作れるくらいだろうという予感しかない。
なので、
『やっぱり、地面に穴を掘って池を作ってそれを浴槽にするしかないよな……』
という結論に辿り着く。
ただ、<地面に穴を掘るための道具>が今はない。そして俺は鍛冶職人だ。材料もある。となれば、スコップを作るとしよう。それも、先が尖った、土を掘ったりする時に使うヤツだ。
ところで、スコップというあれは、ショベルとも言うしシャベルとも言うが、結局、どれが正しいんだろうな。俺が前世で聞いたところによると、ショベルとシャベルというのは、
『英語の綴りに寄せるか、それとも発音に寄せるか』
ってだけのただの<表記揺れ>で、スコップはオランダ語?だったかで、しかも地域によってまちまちで、実はなんとなくで使い分けられてるだけらしい。今、俺が住んでる辺りでは<ペレス>と呼ばれてるが、これも、他の地域でも通じるものなのかそれともこの辺りだけで通じる<方言>なのかは分からない。
なので、先が尖った、土を掘る時に使われる<剣先スコップ>をイメージして作るから、俺としては<スコップ>でいこうと思う。
で、スコップを作ることを決める。二つ目の鍋も完成したし、三個目の鍋を作る前にスコップの制作に取り掛かろう。ネズミの皮を樹皮鞣しする用と、料理用との二つがあれば取り敢えずは足りるだろ。
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