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リーネの章

やっぱ、結婚なんてするもんじゃねえな

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ムカついたし、明日は休みだしで、今日は飲みに行くことにする。

すると、

「今日から入ったリサです♡ よろしくお願いします♡」

行きつけの店で新人のホステスがついたんだが、驚いた。俺が小学校の時に片思いしてた女子と同じ名前で、しかもその子がそのまま大人になったような感じの女だったんだ。しかも、

「それは大変でしたね。理解のない上司とかは嫌ですね」

俺の話を丁寧に聞いて、労ってくれるいいコでさ。一発で気に入って。

で、俺は、そのコに会うために、ほとんど毎日、店に通うことにした。

そのための金は、振り込まれた給料の中から、これまで俺が自由に使える分として抜いてた十万にさらに五万プラスして十五万を抜いて用意する。

ちなみに残りは、生活費として、給料の振り込みに使ってる銀行の別の支店の口座に入金しておく。嫁さんがその口座のキャッシュカードを持ってて、それで引き落として使うんだ。

「どうしてこんなに減ってるの?」

女房が電話で文句を言ってきたが、

「俺が稼いでる金なんだ! 好きに使わせろ! 寄生虫じゃないんなら、自分でパートでもして稼げ!」

って言ってやった。そしたら女房は、何も言わずにブツ切りしやがった。そりゃ何も言えねえよな。俺に養ってもらってんだからよ。

で、俺の方は、リサのために使ったんだ。十万のうちの五万はこれまで老後のために貯金してたんだが、なあに、俺もそのうち飽きるからよ。そうすりゃ今度は毎月十万ずつ貯めりゃいい。

しかも、リサが、

「ストーカーに家を突き止められちゃって、それで引っ越ししようと思ってるんです」

って言うもんだから、

「だったら俺が引っ越し費用出してやる! 今はまだ指名も少なくて大変だろ?」

引っ越し費用として貯金の中から五十万出してやった。そしたら、

「ありがとう! あ~さん♡」

だってよ。

そうだよな。優しくしてくれた相手にはこうやってちゃ~んと感謝の気持ちを表すのが常識だよな。なのに女房は、俺が稼いだ金を貰うだけ貰って感謝の言葉もねえ。

だいたい、あいつの両親もロクな人間じゃねえしよ。あんなブサイクを嫁としてもらってやったんだ。俺がいなきゃどうせあんな女、<子供部屋おばさん>になって、一生、脛をかじられ続けることになってたぜ。それを回避してやったってのに感謝が足りねえ。もっと経済的支援ってものをしろや。脛をかじられ続けたことに比べたら安いもんだろ。

あんな女よりリサの方がよっぽど俺を癒してくれる。俺が仕事を頑張る気にさせてくれる。

やっぱ、結婚なんてするもんじゃねえな。

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