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レイラ

やっぱり、元の世界に帰れる方法って

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「そうです。第一射は躊躇なく確実に目標めがけて放ってください。それにより、次の対処が決まります」

五人が一つの<隊>を組み、演習場を囲む石壁に設置された、デモニューマを想定した標的めがけて新型の<いしゆみ>の引き金を引く兵士達に、レイラはそう声を掛けていった。

しかし、兵士達の練度は元々高く、彼女があれこれ口煩く言わなくても自身のするべきことをよく理解しており、見る間に<新型いしゆみ>の扱いに慣れていく。

拳銃ほどは連射は効かないものの、慣れれば数秒で次の矢を装填できるようになった<新型いしゆみ>は、それぞれが連携し補い合えば絶大な威力を発揮することが改めて兵士達にも実感できた。



そのようにして防衛体制が強化されていく一方、レイラの屋敷に保護された静香も、自らこの環境に馴染もうと努力していた。しかし同時に、

「やっぱり、元の世界に帰れる方法ってないのかな……」

時折、そんなことを口にして悲し気な様子も見せる。無理もない。彼女は家族を元の世界に残してきているのだ。自分を愛してくれる、素晴らしい家族だった。それなのに、もう二度と会えないのかと思うと、胸が潰れそうな気さえする。

「静香……」

メイトギアは、災害の被災者や犯罪被害者及び被害者遺族などにも寄り添い、その心のケアのサポートを行う機能も持つ。けれどさすがに、今回のような事態に対応するためのノウハウなどなく、災害の被災者のケアが最も近いと判断し、対処していた。災害で家族を亡くした事例と仮定してだ。

すると、

「シズカも、つらかったのですか…?」

シェイナがそう尋ねてくる。彼女の様子を見ていてそう感じたようだ。そして、

「でも、大丈夫です。レイラ様がいらっしゃいます。私もレイラ様に救われました。きっとシズカも救われます……!」

励ましてくれた。とても拙い、決して説得力があるものではなかったが、幼いなりに、拙いなりに、つらい境遇にある静香を労わろうという気持ちがそこに込められているのは確かに伝わってきた。

正直、言葉はまだ十分に理解できないものの、この時のシェイナのそれは子供っぽい言葉遣いだったがゆえに、なんとなく察せられたというのもあったのだろう。

「うん…うん……ありがとう……ありがとう、シェイナ……」

レイラからシェイナの大まかな身の上を聞かされていたことで、こうして自分を気遣ってくれる少女に負けていられないと素直に思わされた。

そこに今度はパティリエカが、

「レイラ様がシズカを助けるとおっしゃるのでしたら、私も力になります。何も心配は要りませんわ」

胸をどんと叩きながら自慢げに口にした。こちらはそれこそ聞き取れなかったものの、不思議と『私に任せて』的なことを言ってくれているのだと感じ取れたのだった。

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