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レイラ
予定の百パーセントに到達
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『バッテリー残量、十パーセント。充電してください』
再び警告が出る。けれど彼女はそれを無視し続けた。
『予定の九十三パーセントを消化。〇.四パーセントのマイナス』
機体温度が非常に高いこともあり、バッテリーの管理の精度が危うくなる。数値の正確さが担保できない。
その中でも、レイラは自身にできる最大限の努力を重ねた。数値の誤差も考慮に入れた上で。
『バッテリー残量、七パーセント。至急充電することを強く推奨します』
『バッテリー残量、六パーセント。至急充電することを強く推奨します』
『バッテリー残量、五パーセント。至急充電することを強く推奨します』
バッテリー残量が一パーセントを切ると、基本的にはシャットダウンする設定になっている。これは、起動時の自己診断に必要な電力を含んだものなので、一パーセントを下回ると、充電しないと起動できない。
それに加えて、ルデニオンへの帰還には、最高の効率で節電しても三パーセントが必要だ。つまり、最低でも四パーセントは残っていなければいけない。
『予定の百パーセントに到達』
遂に予測された数値に到達し、レイラは、倒壊に巻き込まれないようにするため、魔王の外皮を突き破り、外へと脱出した。このために、奥から外に向けて破壊していたのだ。それと同時に、
『バッテリー残量、四パーセント。至急充電することを強く推奨します』
と警告が出る。
が……
『倒壊しない?』
魔王から離脱しつつ、彼女は思った。倒壊する様子がないのだ。ギシギシと軋む音はするものの、崩壊が始まらない。
『予測に誤差がありましたか』
彼女のメインフレームは非常に高性能なため、極めて高い精度で予測が可能だった。しかしそれでも、誤差は生じる。不確定要素というものは、ゼロにはならない。
ましてや、あらかじめ十分なデータがなければ、当然それだけ精度も下がる。
だがここで魔王を倒さなければ、回復されてしまう可能性が高い。
すると彼女は、ためらわなかった。
『エギナ様。申し訳ありません。ご命令に背くことになる可能性が高いです。
シェイナ、パティリエカ様、静香、ニューティ、ブルーディス様、どうぞ、お幸せに』
そう考えつつ、再度、超振動ワイヤをフル稼働させて、魔王の外皮を切り裂き、体内へと侵入していく。
だがその時、彼女のストレージ内に生じていた断片化ファイルの一つが突然、開けてしまった。それは、映像データだった。
「じゃあ、楽しんできてね」
笑顔でそう告げつつ手を振る、見知らぬ女性の映像。造詣は美しいが、何かがおかしい。レイラのメモリー内にはその女性についての情報が一切なかった。いや、そもそも、その映像からはバイタルサインと思しき情報が読み取れなかった。呼吸や鼓動や発汗のそれであると推測できる情報がなかったのだ。生身の人間であれば必ずそれらが読み取れるというのに。ゆえに、人間であれば何とも言えない違和感に囚われただろう。
『もしかしてこれが、シズカが言っていた……』
そう思うが、レイラは敢えてそのデータを無視した。今の彼女が行おうとしていることに、何の関係もなかったからである。
こうしてレイラの姿が魔王の体内へと消えて僅か十数秒後、ついに限界を超えたであろう魔王の根元がグシャリと潰れ、それに伴って、ビルの爆破解体のように雪崩を打って地面に沈み込むように崩壊していったのだった。
再び警告が出る。けれど彼女はそれを無視し続けた。
『予定の九十三パーセントを消化。〇.四パーセントのマイナス』
機体温度が非常に高いこともあり、バッテリーの管理の精度が危うくなる。数値の正確さが担保できない。
その中でも、レイラは自身にできる最大限の努力を重ねた。数値の誤差も考慮に入れた上で。
『バッテリー残量、七パーセント。至急充電することを強く推奨します』
『バッテリー残量、六パーセント。至急充電することを強く推奨します』
『バッテリー残量、五パーセント。至急充電することを強く推奨します』
バッテリー残量が一パーセントを切ると、基本的にはシャットダウンする設定になっている。これは、起動時の自己診断に必要な電力を含んだものなので、一パーセントを下回ると、充電しないと起動できない。
それに加えて、ルデニオンへの帰還には、最高の効率で節電しても三パーセントが必要だ。つまり、最低でも四パーセントは残っていなければいけない。
『予定の百パーセントに到達』
遂に予測された数値に到達し、レイラは、倒壊に巻き込まれないようにするため、魔王の外皮を突き破り、外へと脱出した。このために、奥から外に向けて破壊していたのだ。それと同時に、
『バッテリー残量、四パーセント。至急充電することを強く推奨します』
と警告が出る。
が……
『倒壊しない?』
魔王から離脱しつつ、彼女は思った。倒壊する様子がないのだ。ギシギシと軋む音はするものの、崩壊が始まらない。
『予測に誤差がありましたか』
彼女のメインフレームは非常に高性能なため、極めて高い精度で予測が可能だった。しかしそれでも、誤差は生じる。不確定要素というものは、ゼロにはならない。
ましてや、あらかじめ十分なデータがなければ、当然それだけ精度も下がる。
だがここで魔王を倒さなければ、回復されてしまう可能性が高い。
すると彼女は、ためらわなかった。
『エギナ様。申し訳ありません。ご命令に背くことになる可能性が高いです。
シェイナ、パティリエカ様、静香、ニューティ、ブルーディス様、どうぞ、お幸せに』
そう考えつつ、再度、超振動ワイヤをフル稼働させて、魔王の外皮を切り裂き、体内へと侵入していく。
だがその時、彼女のストレージ内に生じていた断片化ファイルの一つが突然、開けてしまった。それは、映像データだった。
「じゃあ、楽しんできてね」
笑顔でそう告げつつ手を振る、見知らぬ女性の映像。造詣は美しいが、何かがおかしい。レイラのメモリー内にはその女性についての情報が一切なかった。いや、そもそも、その映像からはバイタルサインと思しき情報が読み取れなかった。呼吸や鼓動や発汗のそれであると推測できる情報がなかったのだ。生身の人間であれば必ずそれらが読み取れるというのに。ゆえに、人間であれば何とも言えない違和感に囚われただろう。
『もしかしてこれが、シズカが言っていた……』
そう思うが、レイラは敢えてそのデータを無視した。今の彼女が行おうとしていることに、何の関係もなかったからである。
こうしてレイラの姿が魔王の体内へと消えて僅か十数秒後、ついに限界を超えたであろう魔王の根元がグシャリと潰れ、それに伴って、ビルの爆破解体のように雪崩を打って地面に沈み込むように崩壊していったのだった。
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これから零はどうなってしまうのか........。
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