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レイラ

進行状況

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蠕動運動で魔王の体の奥深くへと運び込まれている間、圧力もそうだが、当然、呼吸もできないので、たとえ圧し潰されなくても人間であればパニックに陥るだろう。

けれど、ロボットであるレイラにはそれも関係ない。十分に奥まで進んだと判断すると、彼女は、指を揃えて粘膜を突き破りその向こうの筋肉も引き裂いて掻き分け、いよいよ<魔王の体内>へと侵入した。

しかしそこも、粘液で満たされた何かの<器官>の中だった。決して<空間>ではない。

ゆえに映像としてはほとんど何も捉えられず、レイラは<エコー>を使って周囲の状況を探る。

と、すぐ傍に<骨格>があるのが分かった。そこで彼女は、超振動ワイヤの先端の部品をつまみ、作動させる。と同時に魔王の組織が切り裂かれ、そのまま骨格まで突き進んで、切り裂いた。

航空機に使われるチタン合金の三倍の重量比強度を持つと推測されるそれさえ、ほとんど抵抗なく切り裂いていく。

同時に、切断面があまりにも綺麗になるので<圧着>しないようにわざと不規則に動かし、破砕する。

こうして、予測どおり骨格の破壊ができることを確認。レイラはさらに魔王の体内を破壊しつつ進む。

すると、さらにいくつかの骨格を破壊したところで、激しい流れのある場所に出た。魔王の<血管>のようだ。そこは、上に向かって猛烈な勢いで血液が流れている。これに流れされて上方に運ばれてしまっては戻ってくるまでに時間も電力もロスしてしまう。

そこでレイラは、血管を大きく裂き、血液を流させた。すると血管が収縮し、血流を下げる。出血を抑えるための反応だ。とは言え、実際には魔王の巨体からすればその血管さえ<大きな動脈>ではなく、致命傷にはならない。

元よりレイラは、

『組織や器官を破壊することで生体としての死をもたらす』

のではなく、

『高層建築物を倒壊させる形で構造そのものを自壊させる』

ことを狙っているのだ。なので敢えて血管を避けてとにかく骨格を目指す。すると今度は、蛸のような烏賊のような、何本もの足を生やした軟体動物を思わせるものが、彼女にまとわりついてきた。

どうやら、異物を捕えて排除するための<免疫機構>のようなものらしい。とは言え、レイラのような存在についてはさすがに考慮されているものではなかった。ゆえに彼女はそれを意に介さず引きちぎり骨格に辿り着き、超振動ワイヤでやはり破壊する。

『バッテリー残量、三十八パーセント。予定よりは〇.二パーセント消耗を抑えられていますね』

現時点での進行状況を改めて確認し、次へと進んだのだった。

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