96 / 108
レイラ
進行状況
しおりを挟む
蠕動運動で魔王の体の奥深くへと運び込まれている間、圧力もそうだが、当然、呼吸もできないので、たとえ圧し潰されなくても人間であればパニックに陥るだろう。
けれど、ロボットであるレイラにはそれも関係ない。十分に奥まで進んだと判断すると、彼女は、指を揃えて粘膜を突き破りその向こうの筋肉も引き裂いて掻き分け、いよいよ<魔王の体内>へと侵入した。
しかしそこも、粘液で満たされた何かの<器官>の中だった。決して<空間>ではない。
ゆえに映像としてはほとんど何も捉えられず、レイラは<エコー>を使って周囲の状況を探る。
と、すぐ傍に<骨格>があるのが分かった。そこで彼女は、超振動ワイヤの先端の部品をつまみ、作動させる。と同時に魔王の組織が切り裂かれ、そのまま骨格まで突き進んで、切り裂いた。
航空機に使われるチタン合金の三倍の重量比強度を持つと推測されるそれさえ、ほとんど抵抗なく切り裂いていく。
同時に、切断面があまりにも綺麗になるので<圧着>しないようにわざと不規則に動かし、破砕する。
こうして、予測どおり骨格の破壊ができることを確認。レイラはさらに魔王の体内を破壊しつつ進む。
すると、さらにいくつかの骨格を破壊したところで、激しい流れのある場所に出た。魔王の<血管>のようだ。そこは、上に向かって猛烈な勢いで血液が流れている。これに流れされて上方に運ばれてしまっては戻ってくるまでに時間も電力もロスしてしまう。
そこでレイラは、血管を大きく裂き、血液を流させた。すると血管が収縮し、血流を下げる。出血を抑えるための反応だ。とは言え、実際には魔王の巨体からすればその血管さえ<大きな動脈>ではなく、致命傷にはならない。
元よりレイラは、
『組織や器官を破壊することで生体としての死をもたらす』
のではなく、
『高層建築物を倒壊させる形で構造そのものを自壊させる』
ことを狙っているのだ。なので敢えて血管を避けてとにかく骨格を目指す。すると今度は、蛸のような烏賊のような、何本もの足を生やした軟体動物を思わせるものが、彼女にまとわりついてきた。
どうやら、異物を捕えて排除するための<免疫機構>のようなものらしい。とは言え、レイラのような存在についてはさすがに考慮されているものではなかった。ゆえに彼女はそれを意に介さず引きちぎり骨格に辿り着き、超振動ワイヤでやはり破壊する。
『バッテリー残量、三十八パーセント。予定よりは〇.二パーセント消耗を抑えられていますね』
現時点での進行状況を改めて確認し、次へと進んだのだった。
けれど、ロボットであるレイラにはそれも関係ない。十分に奥まで進んだと判断すると、彼女は、指を揃えて粘膜を突き破りその向こうの筋肉も引き裂いて掻き分け、いよいよ<魔王の体内>へと侵入した。
しかしそこも、粘液で満たされた何かの<器官>の中だった。決して<空間>ではない。
ゆえに映像としてはほとんど何も捉えられず、レイラは<エコー>を使って周囲の状況を探る。
と、すぐ傍に<骨格>があるのが分かった。そこで彼女は、超振動ワイヤの先端の部品をつまみ、作動させる。と同時に魔王の組織が切り裂かれ、そのまま骨格まで突き進んで、切り裂いた。
航空機に使われるチタン合金の三倍の重量比強度を持つと推測されるそれさえ、ほとんど抵抗なく切り裂いていく。
同時に、切断面があまりにも綺麗になるので<圧着>しないようにわざと不規則に動かし、破砕する。
こうして、予測どおり骨格の破壊ができることを確認。レイラはさらに魔王の体内を破壊しつつ進む。
すると、さらにいくつかの骨格を破壊したところで、激しい流れのある場所に出た。魔王の<血管>のようだ。そこは、上に向かって猛烈な勢いで血液が流れている。これに流れされて上方に運ばれてしまっては戻ってくるまでに時間も電力もロスしてしまう。
そこでレイラは、血管を大きく裂き、血液を流させた。すると血管が収縮し、血流を下げる。出血を抑えるための反応だ。とは言え、実際には魔王の巨体からすればその血管さえ<大きな動脈>ではなく、致命傷にはならない。
元よりレイラは、
『組織や器官を破壊することで生体としての死をもたらす』
のではなく、
『高層建築物を倒壊させる形で構造そのものを自壊させる』
ことを狙っているのだ。なので敢えて血管を避けてとにかく骨格を目指す。すると今度は、蛸のような烏賊のような、何本もの足を生やした軟体動物を思わせるものが、彼女にまとわりついてきた。
どうやら、異物を捕えて排除するための<免疫機構>のようなものらしい。とは言え、レイラのような存在についてはさすがに考慮されているものではなかった。ゆえに彼女はそれを意に介さず引きちぎり骨格に辿り着き、超振動ワイヤでやはり破壊する。
『バッテリー残量、三十八パーセント。予定よりは〇.二パーセント消耗を抑えられていますね』
現時点での進行状況を改めて確認し、次へと進んだのだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
【R18】無口な百合は今日も放課後弄ばれる
Yuki
恋愛
※性的表現が苦手な方はお控えください。
金曜日の放課後――それは百合にとって試練の時間。
金曜日の放課後――それは末樹と未久にとって幸せの時間。
3人しかいない教室。
百合の細腕は頭部で捕まれバンザイの状態で固定される。
がら空きとなった腋を末樹の10本の指が蠢く。
無防備の耳を未久の暖かい吐息が這う。
百合は顔を歪ませ紅らめただ声を押し殺す……。
女子高生と女子高生が女子高生で遊ぶ悪戯ストーリー。
フェンリル娘と異世界無双!!~ダメ神の誤算で生まれたデミゴッド~
華音 楓
ファンタジー
主人公、間宮陸人(42歳)は、世界に絶望していた。
そこそこ順風満帆な人生を送っていたが、あるミスが原因で仕事に追い込まれ、そのミスが連鎖反応を引き起こし、最終的にはビルの屋上に立つことになった。
そして一歩を踏み出して身を投げる。
しかし、陸人に訪れたのは死ではなかった。
眩しい光が目の前に現れ、周囲には白い神殿のような建物があり、他にも多くの人々が突如としてその場に現れる。
しばらくすると、神を名乗る人物が現れ、彼に言い渡したのは、異世界への転移。
陸人はこれから始まる異世界ライフに不安を抱えつつも、ある意味での人生の再スタートと捉え、新たな一歩を踏み出す決意を固めた……はずだった……
この物語は、間宮陸人が幸か不幸か、異世界での新たな人生を満喫する物語である……はずです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる