異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語

京衛武百十

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レイラ

本来のレイラ

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レイラは、進路上にいたデモニューマを、ことごとく一瞬で撃破していく。

鎌首をもたげた蛇型のデモニューマがすさまじい速度で食らいつこうとするが、その頭をレイラは手刀で刎ねてみせた上で、もう片方の手で胴体を払いのけそれを飛び越え、すぐ後ろに来ていたT‐REX型のデモニューマも、巨大なあぎとで彼女を呑み込もうとしていたのを躱しつつ、髪の先についたペグに似た部品をつまんで伸ばし、それをプロレス技の<ラリアット>のごとくデモニューマの首へと叩きつけて断頭する。

実は、彼女のその髪は<超振動ワイヤ>であり、彼女の世界では最高の強度と硬度を持つ金属さえチーズのように切り裂く強力な武器だった。なので、生物の体など、それこそ骨すら豆腐と変わらない。

さらに続けて、獅子型のデモニューマ三頭が一斉に襲い掛かってきても、それぞれの頭蓋を<四本貫手>で連続して貫いて瞬殺。

立ちはだかる象型のデモニューマについても、さらに加速して跳び上がり、両手を組んで大きく振りかぶってハンマーのごとく頭に叩きつけると、

「ゴシャッッ!!」

という音と共に陥没。即死だった。

そのまま体を前方に回転させて象型のデモニューマの背を転がって超えて地面に着地しようとしたレイラを、空から急降下してきた翼竜型のデモニューマが巨大なくちばしで捕えた。

が、彼女はそのくちばしをがっちりと掴んで両手を大きく広げると、くちばしごと頭が裂けて、地面へと落ちる。

そこに、レーザー光を発振するさい型のデモニューマの一斉砲撃。けれど一つとして直撃はさせられず、逆に味方であるはずのデモニューマらを切り刻む結果となった。もっとも、あちらは<フレンドリーファイア>などまったく気にもしていないようだが。

おそらく、<個の意識>というものがないのだろう。姿形は様々でも、それら全体で一個の個体であり、いわば一つ一つは細胞のような感覚なのかもしれない。敵を撃破するためなら、いくらでも使い捨てるということか。

レイラはその事実にさえまったく動じることもない。なにしろ、<ロボット>なら当然の思考だからだ。いくらでも代わりがいる、用意できる、生産できるロボットは、使い捨てられても何も気にすることはない。機体など、簡単に替えが利くのだ。

それは、レイラも変わらない。この世界には彼女は一体しかいないものの、本来の世界には<本来のレイラ>がいるのだから。主人と共に。そのことは確認済みである。

何も恐れることはない。

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