上 下
93 / 108
レイラ

本来のレイラ

しおりを挟む
レイラは、進路上にいたデモニューマを、ことごとく一瞬で撃破していく。

鎌首をもたげた蛇型のデモニューマがすさまじい速度で食らいつこうとするが、その頭をレイラは手刀で刎ねてみせた上で、もう片方の手で胴体を払いのけそれを飛び越え、すぐ後ろに来ていたT‐REX型のデモニューマも、巨大なあぎとで彼女を呑み込もうとしていたのを躱しつつ、髪の先についたペグに似た部品をつまんで伸ばし、それをプロレス技の<ラリアット>のごとくデモニューマの首へと叩きつけて断頭する。

実は、彼女のその髪は<超振動ワイヤ>であり、彼女の世界では最高の強度と硬度を持つ金属さえチーズのように切り裂く強力な武器だった。なので、生物の体など、それこそ骨すら豆腐と変わらない。

さらに続けて、獅子型のデモニューマ三頭が一斉に襲い掛かってきても、それぞれの頭蓋を<四本貫手>で連続して貫いて瞬殺。

立ちはだかる象型のデモニューマについても、さらに加速して跳び上がり、両手を組んで大きく振りかぶってハンマーのごとく頭に叩きつけると、

「ゴシャッッ!!」

という音と共に陥没。即死だった。

そのまま体を前方に回転させて象型のデモニューマの背を転がって超えて地面に着地しようとしたレイラを、空から急降下してきた翼竜型のデモニューマが巨大なくちばしで捕えた。

が、彼女はそのくちばしをがっちりと掴んで両手を大きく広げると、くちばしごと頭が裂けて、地面へと落ちる。

そこに、レーザー光を発振するさい型のデモニューマの一斉砲撃。けれど一つとして直撃はさせられず、逆に味方であるはずのデモニューマらを切り刻む結果となった。もっとも、あちらは<フレンドリーファイア>などまったく気にもしていないようだが。

おそらく、<個の意識>というものがないのだろう。姿形は様々でも、それら全体で一個の個体であり、いわば一つ一つは細胞のような感覚なのかもしれない。敵を撃破するためなら、いくらでも使い捨てるということか。

レイラはその事実にさえまったく動じることもない。なにしろ、<ロボット>なら当然の思考だからだ。いくらでも代わりがいる、用意できる、生産できるロボットは、使い捨てられても何も気にすることはない。機体など、簡単に替えが利くのだ。

それは、レイラも変わらない。この世界には彼女は一体しかいないものの、本来の世界には<本来のレイラ>がいるのだから。主人と共に。そのことは確認済みである。

何も恐れることはない。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...