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レイラ

客人

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「彼女は、シズカ・フジワラ。ここよりはるか東方の国より来た旅人で、<帝政バルラシアム>領内での唯一の生存者です」

屋敷に戻ったレイラは、まず、そう言って静香をシェイナ達と引き合わせた。

「彼女も、当面の間、この屋敷にて暮らすことになります」

そう告げるレイラに、

「よろしくお願います」

静香は深々と頭を下げ、

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

シェイナとニューティは快く彼女を迎え入れてくれた。ただ、パティリエカだけは、

「ええ……?」

と、少し不満そうだ。どうやら、レイラを見る静香の様子に、感じるものがあったらしい。

それでも、

「レイラ様! 見てください! レイラ様がお役目を果たしている間に作り上げようと思ってた外套です! お早いお帰りでしたのでまだ途中になってしまいましたけど、いかがでしょうか!?」

留守中、ニューティがとても丁寧に接してくれたのが分かる朗らかなシェイナの様子に、レイラはふわっと微笑んで、

「さすがによくできていますね。これは完成が楽しみです」

応えた。それにシェイナは、ぱあっと頬を染めて、

「はい♡」

満面の笑顔になる。レイラが早く帰ってきてくれたのが嬉しいというのもあるのだろう。

「わ、私も、シェイナには負けませんわ!」

慌ててパティリエカが、自分の作っているものを手にとって、差し出してくる。こちらも、元々、<淑女の嗜み>として針仕事も学んでいたこともあり、途中ではあるもののよくできていた。だから当然、

「パティリエカ様も素晴らしい腕前です。この調子でお願いします」

レイラは笑顔でそう告げた。するとパティリエカの表情も明るくなって、

「はい、お任せください!」

と。

さらにレイラは、二人の後に控えて立っていたニューティに向かい、

「お二人に丁寧な指導をなさってくださったようですね。ありがとうございます」

礼を述べる。それに対してニューティは、

「ありがたき幸せ」

レイラの言葉に恐縮し、深々と頭を下げた。

そんなニューティを見届けて、部屋の隅にやはり控えていたブルーディスにも、

「お役目、ご苦労様です」

と声を掛ける。

「光栄の極み」

大きな体を折りたたむようにして、ブルーディスも頭を下げた。

こうして再会を喜び合い、夕食にする。

なお、静香の身柄は、レイラの客人として彼女が預かることとなった。身元もはっきりしない<旅人>だとはいえ、そこは、レイラに任せた方が確実だと、軍の幹部達も判断したのである。

何より、今は、魔王とデモニューマが最大の脅威であり、人間同士であれこれしている場合じゃないというのも、あるのだから。

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