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レイラ
帝政バルラシアム
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魔王に対する威力偵察のために西へと向かっていた途中で、<ラデノセシオン>を襲撃していたデモニューマを文字通り<秒殺>してみせたレイラは、さらに西を目指して平均速度百五十キロで疾走していた。
大きく丈夫な背嚢を背負いながらも彼女のフォームは完璧で美しく、最高の効率で自身の体を前へ前へと押し出していく。
もっとも、本当は、<人間の体>というのはこの種のパフォーマンスを発揮するには非効率すぎるので、敢えて人間の形を再現していない専用のロボットであれば、種類によっては時速三百キロで移動できるものもある。
とは言え、長距離を高速で移動するという点で効率を最優先するなら『航空機を使うべき』という身も蓋もない結論に至ってしまうが。
しかし、その航空機がない以上は、こうして走るしかないのだ。
<ラデノセシオン>を道すがらで救援した後も、レイラは、進路上にあった街や集落を襲うデモニューマを撃破。懸命に抵抗する人間達を支援した。
だが、先へと進むほど、デモニューマの数は増え、人間達は苦戦を強いられているのが分かった。そして、<ベル・ルデニオーラ>と隣国との国境付近の街には、まったく人影がなかった。その所為か、デモニューマの姿すらない。
街の構造そのものは、<ルデニオン>と似ているものの、賤民街を覆う柵はほとんどが破壊され、城壁さえところどころが崩れ落ちていた。建物も、無事なものを探す方が難しいほどだ。
デモニューマに抗しきれず、多くの犠牲を出し、生き残った者は東の街へと逃げたのだろう。
その途中にもデモニューマに襲われ、多数の犠牲者が出てたのは、レイラが通ってきた道に残された痕跡からも分かった。
『バッテリー残量九十パーセント。機体に問題なし。オールグリーン』
けれど、ロボットであるレイラは、その事実を嘆くこともなく、怯むことさえなく、自身の状態をチェックする。ただ、
『<ベル・ルデニオーラ>領内の街でこの状況ということは、隣国はほぼ壊滅したということでしょうね。加えて、地理的な条件も影響するとしても、周辺国もベル・ルデニオーラと同様の危機に曝されている可能性が高い。それらの国と連携を取ろうにも、連絡手段もままならない』
と冷静に推測しただけだった。
こうして彼女は、<ベル・ルデニオーラ>と国境を接する、<帝政バルラシアム>という国に入った。魔王がいるとされる<エジェレネイカ山>は、西隣の<エジェレナイアム公国>との国境を形作る急峻な山である。
そして帝政バルラシアムに入った途端、まるでサファリパークのように、デモニューマがうろついていた。
ここまでで丸一日。距離にして五百キロ超。情報収集と同時に怪我人の救護活動も行ってきたので、それだけの時間が掛かってしまった。
これだけデモニューマが当たり前にいる状況ではもはやこの先での救護活動も必要ないかもしれないが、情報収集は必要なので、エジェレネイカ山への到着は、さらに一日を擁するとレイラは推定していたのだった。
大きく丈夫な背嚢を背負いながらも彼女のフォームは完璧で美しく、最高の効率で自身の体を前へ前へと押し出していく。
もっとも、本当は、<人間の体>というのはこの種のパフォーマンスを発揮するには非効率すぎるので、敢えて人間の形を再現していない専用のロボットであれば、種類によっては時速三百キロで移動できるものもある。
とは言え、長距離を高速で移動するという点で効率を最優先するなら『航空機を使うべき』という身も蓋もない結論に至ってしまうが。
しかし、その航空機がない以上は、こうして走るしかないのだ。
<ラデノセシオン>を道すがらで救援した後も、レイラは、進路上にあった街や集落を襲うデモニューマを撃破。懸命に抵抗する人間達を支援した。
だが、先へと進むほど、デモニューマの数は増え、人間達は苦戦を強いられているのが分かった。そして、<ベル・ルデニオーラ>と隣国との国境付近の街には、まったく人影がなかった。その所為か、デモニューマの姿すらない。
街の構造そのものは、<ルデニオン>と似ているものの、賤民街を覆う柵はほとんどが破壊され、城壁さえところどころが崩れ落ちていた。建物も、無事なものを探す方が難しいほどだ。
デモニューマに抗しきれず、多くの犠牲を出し、生き残った者は東の街へと逃げたのだろう。
その途中にもデモニューマに襲われ、多数の犠牲者が出てたのは、レイラが通ってきた道に残された痕跡からも分かった。
『バッテリー残量九十パーセント。機体に問題なし。オールグリーン』
けれど、ロボットであるレイラは、その事実を嘆くこともなく、怯むことさえなく、自身の状態をチェックする。ただ、
『<ベル・ルデニオーラ>領内の街でこの状況ということは、隣国はほぼ壊滅したということでしょうね。加えて、地理的な条件も影響するとしても、周辺国もベル・ルデニオーラと同様の危機に曝されている可能性が高い。それらの国と連携を取ろうにも、連絡手段もままならない』
と冷静に推測しただけだった。
こうして彼女は、<ベル・ルデニオーラ>と国境を接する、<帝政バルラシアム>という国に入った。魔王がいるとされる<エジェレネイカ山>は、西隣の<エジェレナイアム公国>との国境を形作る急峻な山である。
そして帝政バルラシアムに入った途端、まるでサファリパークのように、デモニューマがうろついていた。
ここまでで丸一日。距離にして五百キロ超。情報収集と同時に怪我人の救護活動も行ってきたので、それだけの時間が掛かってしまった。
これだけデモニューマが当たり前にいる状況ではもはやこの先での救護活動も必要ないかもしれないが、情報収集は必要なので、エジェレネイカ山への到着は、さらに一日を擁するとレイラは推定していたのだった。
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