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レイラ
私を試してらっしゃるのでしょうね
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ニューティの技量を測るために、自分が軍議に出ている間、外套を一着しつらえてほしいと申し出たレイラだったが、実際にはこれはただの<暇つぶし>としての意味がほとんどだった。軍議の間、控室でただ待ってもらうのも苦痛であろうと考えて。
呼びに来た兵士に、外套を作るための布と針仕事の道具を手配を頼み、軍議へと向かう。
ちなみ、レイラの要望については可能な限り応えるようにと国王からの達しが出ているため、すぐに応じてもらえる。外套を作るための布も針仕事用の道具も、王宮に勤めているメイドの控室にあるので、調達もたやすい。
ニューティとしては、レイラの真意を測りかねてはいたものの、『あなたの技量を測らせていただきます』と言っていたことから、
『私を試してらっしゃるのでしょうね』
と思いつつ、届けられた針仕事用の道具と布を用いて、早速、控室で一人、レイラのための外套を作り始めた。
が、採寸もしないままのそれだったので、戸惑いはある。さりとて、この手の<無茶ぶり>は、王族や貴族だとそれほど珍しいことでもなく、レイラの姿を思い出しながら、可能な限り要望に応えようと努力した。
もっとも、レイラとしては先ほども言ったとおりに<暇つぶし>としての意味合いが大きいので、外套の品質そのものは重要ではない。加えて、『あなたの技量を測らせていただきます』という発言もあくまで事実であって、彼女の技量を見る意味も込められてはいる。
さらには、この無理難題をニューティがどうこなすかによって彼女の<人間性>についても測ろうという狙いもあった。
すべては、シェイナのために。
一方、軍議の方は、いよいよ魔王討伐についての検討に入り、熱を帯び始めていった。
「お前達も見たであろう!? レイラは強い! 小賢しい真似などせずとも、レイラを軸に腕の立つ者で軍を編成し、真っ向から魔王を撃ち滅ぼすのが正道だ!」
エギナは主張するが、軍の幹部達は、
「エギナ様! それは無謀に過ぎるというものです!」
「そうですぞ! 我々はまだ、魔王の姿を直に見たこともなく、その力の全貌も把握していないのです!」
大人達はそう激しく議論を交わすが、その様子を脇で見ているシェイナとパティリエカは、さすがに眠そうだった。初めの頃こそ緊張してたものの慣れてくるとただ退屈なだけだ。
それを見たレイラは、
「皆様、この辺りで一度、休みましょう。それぞれ意見を持ち帰り検討する時間も必要だと思われます」
皆に告げ、四半時ほどの休憩を挟むこととなった。そして、シェイナとパティリエカを連れて控室に戻ったのだった。
呼びに来た兵士に、外套を作るための布と針仕事の道具を手配を頼み、軍議へと向かう。
ちなみ、レイラの要望については可能な限り応えるようにと国王からの達しが出ているため、すぐに応じてもらえる。外套を作るための布も針仕事用の道具も、王宮に勤めているメイドの控室にあるので、調達もたやすい。
ニューティとしては、レイラの真意を測りかねてはいたものの、『あなたの技量を測らせていただきます』と言っていたことから、
『私を試してらっしゃるのでしょうね』
と思いつつ、届けられた針仕事用の道具と布を用いて、早速、控室で一人、レイラのための外套を作り始めた。
が、採寸もしないままのそれだったので、戸惑いはある。さりとて、この手の<無茶ぶり>は、王族や貴族だとそれほど珍しいことでもなく、レイラの姿を思い出しながら、可能な限り要望に応えようと努力した。
もっとも、レイラとしては先ほども言ったとおりに<暇つぶし>としての意味合いが大きいので、外套の品質そのものは重要ではない。加えて、『あなたの技量を測らせていただきます』という発言もあくまで事実であって、彼女の技量を見る意味も込められてはいる。
さらには、この無理難題をニューティがどうこなすかによって彼女の<人間性>についても測ろうという狙いもあった。
すべては、シェイナのために。
一方、軍議の方は、いよいよ魔王討伐についての検討に入り、熱を帯び始めていった。
「お前達も見たであろう!? レイラは強い! 小賢しい真似などせずとも、レイラを軸に腕の立つ者で軍を編成し、真っ向から魔王を撃ち滅ぼすのが正道だ!」
エギナは主張するが、軍の幹部達は、
「エギナ様! それは無謀に過ぎるというものです!」
「そうですぞ! 我々はまだ、魔王の姿を直に見たこともなく、その力の全貌も把握していないのです!」
大人達はそう激しく議論を交わすが、その様子を脇で見ているシェイナとパティリエカは、さすがに眠そうだった。初めの頃こそ緊張してたものの慣れてくるとただ退屈なだけだ。
それを見たレイラは、
「皆様、この辺りで一度、休みましょう。それぞれ意見を持ち帰り検討する時間も必要だと思われます」
皆に告げ、四半時ほどの休憩を挟むこととなった。そして、シェイナとパティリエカを連れて控室に戻ったのだった。
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