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レイラ

必要なこと

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「……!」

顔を上げたニューティは、レイラの慈愛に満ちた視線に、涙が止まらなくなった。

「申し訳ございません……!」

慌てて詫びるも、自分でも抑えることができない。

「いえ、お気になさらずに。今は泣いていただいて構いません」

レイラの気遣いに、ニューティは自分の手で顔を覆い、肩を震わせて泣いた。それまで感情を、抑えに抑えてきたのだろう。

けれど、

「ちょっと、ニューティ……!」

この時の彼女の態度が礼を失したものにしか見えないパティリエカがニューティを叱ろうと声を上げたのを、

「……」

レイラが手をかざして制した。その上で、

「構いません。このままで。これは必要なことなのです」

穏やかに告げる。大切な者を理不尽な形で喪った人間がどうなるか、ロボットであるがゆえに膨大な実例のデータを引き継ぐことができているがゆえに。

こうして十分ほど泣いた後、

「申し訳ございません。お見苦しいところをお見せしてしまいました……」

ニューティが詫びつつ涙を拭って顔を上げた。すっかり化粧が崩れた上に泣き腫らしたひどいそれだったが、感情を吐き出したことでいくらか落ち着いたのが分かる柔和なそれにもなっていることを、レイラは確認、

「では改めて、貴女の仕事についてお知らせします」

と、シェイナと引き合わせた。

「貴女にお願いしたい主な仕事は、私が留守の間、このシェイナの傍にいていただくことです。特に夜の間ですね。加えて、家事全般。ゆえに、私の邸宅に住み込みという形になるでしょう。これはすでにパティリエカ様からも承諾いただいております」

「パティリエカ様……」

ニューティが視線を向けると、

「そういうことよ。今日からあなたは、このレイラ様にお仕えするの。ただし、これ以上さっきみたいな無様な姿を晒すのはナシ。あなたを紹介した私の顔に泥を塗るような真似は許さないから……!」

パティリエカがきっぱりと告げた。

「はい、承知いたしました」

改まって姿勢を正し深々と頭を下げるニューティを、シェイナは困惑した様子で見ていた。そんなシェイナに、レイラは、

「大丈夫ですよ。彼女には私のお手伝いをしていただくだけです。あなたを彼女に預けてしまったりはしません」

不安を見抜き、声を掛けた。

「あ…はい、分かりました……」

レイラの言葉にシェイナもホッとした様子で、空気が和む。

しかしそこに、

「レイラ様、お時間です。お部屋にお戻りください」

軍議の再開を兵士が告げに来る。

「はい、今、参ります」

表情を引き締め凛々しいそれになったレイラが、

「それでは、ニューティ。針仕事はできますか?」

問い掛けると、ニューティは「はい」と応えた。

「では、この部屋で待機していただく間に、私のための外套を一着、しつらえてください。それであなたの技量を測らせていただきます」

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