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レイラ
失態
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こうしてレイラは、新型の大型弩砲の製造も開始。職人達にも任せつつ、自らも時間が許す限りその製造に携わった。
睡眠や休息を必要としないロボットならではものだった。
しかも、専用の工作ロボットには遠く及ばないものの、人間には到底不可能な速度で大型弩砲を作り上げていく。その数、一晩で三台。ちなみに、大型弩砲の製造に特化した専用の工作ロボットが用意できれば、一晩で十台は作れるだろう。しかし残念ながらそれは用意できない。だから可能な範囲でレイラ自身が製造する。
それでも、
「これは……魔法か……?」
翌日も夜明けと共に工房へと出勤してきた職人達は、昨日までは影も形もなかった三台の新型大型弩砲が出現していたことに、目を見張る。
「まさか、一晩中、造ってたんですかい!?」
職人達の長が問い掛けると、
「はい。今の私ではこれが精一杯ですが」
こともなげにレイラは応える。が、さすがにこれには、
「無茶だ! 体が壊れちまう! 俺達に任せてください!」
若い職人が声を上げる。それに対してもレイラはあくまで穏やかに微笑みつつ、
「心配ありません。魔王とデモニューマを滅ぼすまでは私は力尽きたりしません。皆さんがおっしゃる<魔法>によって私はそのように作られているんです」
と語った。もちろん、彼女は魔法によって作られたのではなく、あくまで当時では最新の<科学技術>によって作られたわけだが、この世界の人間達にとってはもはや<魔法>のようなものなので、彼女はそう称したのだ。
「……」
「……」
言葉を失う職人達に向けて、レイラは言う。
「私がお手伝いするのは、デモニューマを確実に退けるためにはそれが必要だからです。そしてもちろん、皆さんのお力も必要です。ですので、他の作業がある昼の間は、皆さんにお任せします」
彼女の言葉に、
「あ……ああ、任せてくれ!」
職人の長は改めてそう応えてみせた。
それを受けて早速作業に取り掛かった職人達を見届け、レイラは屋敷へと戻った。
すると、
「レイラ様…!」
シェイナがすでに起きていて、帰宅した彼女に抱き付いてくる。泣き腫らした目をして。
「ごめんなさい。途中で目が覚めてしまったのですね。不安にさせて申し訳ございませんでした。私の失態です」
虐待を受けてきたシェイナが、過去の経験を夢などで見て目を覚ましてしまうことは、レイラのデータベースに記録された過去の虐待事案からも十分に予測されることだった。実際、これまでにもシェイナは何度も夜中にうなされて目を覚ましたことがある。
レイラもそれは分かっていたものの、<ベル・ルデニオーラ>をデモニューマの襲撃から確実に守れるようになるには防衛力の強化は必須だったため、敢えてそちらを優先したのだった。
睡眠や休息を必要としないロボットならではものだった。
しかも、専用の工作ロボットには遠く及ばないものの、人間には到底不可能な速度で大型弩砲を作り上げていく。その数、一晩で三台。ちなみに、大型弩砲の製造に特化した専用の工作ロボットが用意できれば、一晩で十台は作れるだろう。しかし残念ながらそれは用意できない。だから可能な範囲でレイラ自身が製造する。
それでも、
「これは……魔法か……?」
翌日も夜明けと共に工房へと出勤してきた職人達は、昨日までは影も形もなかった三台の新型大型弩砲が出現していたことに、目を見張る。
「まさか、一晩中、造ってたんですかい!?」
職人達の長が問い掛けると、
「はい。今の私ではこれが精一杯ですが」
こともなげにレイラは応える。が、さすがにこれには、
「無茶だ! 体が壊れちまう! 俺達に任せてください!」
若い職人が声を上げる。それに対してもレイラはあくまで穏やかに微笑みつつ、
「心配ありません。魔王とデモニューマを滅ぼすまでは私は力尽きたりしません。皆さんがおっしゃる<魔法>によって私はそのように作られているんです」
と語った。もちろん、彼女は魔法によって作られたのではなく、あくまで当時では最新の<科学技術>によって作られたわけだが、この世界の人間達にとってはもはや<魔法>のようなものなので、彼女はそう称したのだ。
「……」
「……」
言葉を失う職人達に向けて、レイラは言う。
「私がお手伝いするのは、デモニューマを確実に退けるためにはそれが必要だからです。そしてもちろん、皆さんのお力も必要です。ですので、他の作業がある昼の間は、皆さんにお任せします」
彼女の言葉に、
「あ……ああ、任せてくれ!」
職人の長は改めてそう応えてみせた。
それを受けて早速作業に取り掛かった職人達を見届け、レイラは屋敷へと戻った。
すると、
「レイラ様…!」
シェイナがすでに起きていて、帰宅した彼女に抱き付いてくる。泣き腫らした目をして。
「ごめんなさい。途中で目が覚めてしまったのですね。不安にさせて申し訳ございませんでした。私の失態です」
虐待を受けてきたシェイナが、過去の経験を夢などで見て目を覚ましてしまうことは、レイラのデータベースに記録された過去の虐待事案からも十分に予測されることだった。実際、これまでにもシェイナは何度も夜中にうなされて目を覚ましたことがある。
レイラもそれは分かっていたものの、<ベル・ルデニオーラ>をデモニューマの襲撃から確実に守れるようになるには防衛力の強化は必須だったため、敢えてそちらを優先したのだった。
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