異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語

京衛武百十

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レイラ

技能の習得

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「それではまず、食事の用意から始めましょう」

「え? でも、お食事はさっき……」

突然のレイラの提案に、シェイナは戸惑う。彼女の言うとおり、食事は、パティリエカが手配してくれて、すでに済んでいるのだ。けれど、

「いえ、これから始めるのは、小腹を満たす程度の軽いものです。そして目的は<食事>ではなく、シェイナの現時点での技能を確認すること」

レイラは告げる。

「この国で安心して暮らしていくためには、城壁の内側に住めるようになる必要があるでしょう。そしてそのためには、十分な技能が求められます。ですので私はこれから、あなたに必要な技能を習得していただくことを考えています。よろしいですね?」

「は…はい……!」

真っ直ぐに自分を見詰めながらの言葉に、シェイナは背筋を伸ばして応えた。

『私がかつて運用されていた社会では<児童労働>と見做される可能性の高いものではありますが、残念ながらここには、すべての児童に教育を施す制度は存在しないようです。となれば、今この時点で実効性のある実用性のある<技能>を習得する必要があるでしょう。炊事・洗濯・掃除は、その中でも特に重要とされる技能です。<ジェンダー論>についても、その概念さえ存在しない社会では、議論する段階に辿り着くまでシェイナが無事でいられる保証もありません。現時点で実行可能で最も確率の高い手段を私は選択します』

レイラはそう考え、シェイナに<炊事><洗濯><掃除>の技能を高いレベルで習得してもらうことにした。

時間は一ヶ月ほどしかない。そういう点でも、可能性が高いのはこれなのだ。

同時に、<読み書き>と<算術>も、可能な限り身に付けてもらうことにする。

<読み書き>と<算術>もこういう社会においては非常に有効ではあるものの、こちらはさすがに一ヶ月程度では十分なレベルに達することは難しいだろう。

こうして、屋敷ではシェイナに<炊事><洗濯><掃除>を覚えてもらいつつ、<読み書き><算術>も学んでもらった。一応、基礎部分さえ身に付ければ、後は自らの努力で伸ばしていけるだろうということで。

シェイナも、レイラが自分のためにそれを教えようとしてくれているのは察せられて、熱心に学び取ろうとする。

なお、読み書きについては、パティリエカに、

「絵本のような、子供向けのもので結構ですので、本を貸していただけませんか?」

と申し出て、数冊の本を提供してもらい、それを教材にした。

その一方で、レイラは、王宮へと出向き、デモニューマと<魔王>についての情報を集め始める。

今後の<戦略>と<戦術>を練るためであった。

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