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レイラ
謁見
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『お覚悟を』
おそらく衛士の中では最も位が高いと思しき人物に釘を刺された上で臨んだ<謁見の間>に、シェイナは顔面が蒼白となり唇まで真っ青だった。
無理もない。本来ならば、生涯、実際に姿を見ることさえなかったかもしれない<国王陛下>に拝謁賜るのだから。それこそ、
『どうしてこうなった……?』
という気分に違いない。
そんなシェイナに、レイラは、
「大丈夫です。あなたに害は及びません。ただ、私の傍で畏まっていてくださればそれで済みます」
手を握りながら静かに声を掛ける。
「……」
もはや返事もできずにシェイナはただレイラの手をしっかりと掴んだ。
それをレイラも握り返し、少しでも安心させようとする。それがなかったら気を失ってさえいたかもしれない。
こうして、訝し気に彼女達を睨み付ける貴族や騎士と思しき者達の間を通り、玉座の前まで辿り着いた。
そして、立ち止まると同時にエギナとパティリエカとブルーディスが膝を着くのに合わせ、レイラも同じく膝を着き、シェイナも遅れてレイラの真似をした。
深々と頭を下げる五人に向かって、
「これはいったい、何事か?」
厳格そうな声が投げ掛けられる。もっとも、それは多分に芝居がかっているものではあったが。威厳を演出するためのものであることは、レイラにはすぐに分かってしまった。
しかし、それもこのような場では必要なものであることも分かるので、否定的に捉えたりもしない。ただただ、畏怖を示すために頭を下げる。
すると、
「父上! お久しゅうございます! 此度は、我が<ベル・ルデニオーラ>に大いなる福音をもたらす者を連れてまいりました!」
エギナが頭を上げてよく通る声で告げた。けれどそれに対して、控えていた者達の中から、
「エギナ様! 陛下の許しなく発言するとは何事か!! これほどまでの無礼、たとえ貴女様であっても許されませんぞ!」
厳しい声が掛けられた。それでも、エギナは怯まない。
「黙れ! これはそんな些末なことを気にしていられるような話ではないのだ! 我らは今、<奇跡>そのものを目の当たりにしているのだからな!」
エギナのその言葉に、
「世迷い言を!」
声を発した人物が返す。
そこに、
「よい、フェリエンド。まずはエギナの言い分を聞こう」
エギナを諫めようとした人物を国王が制する。
その上で、
「エギナの言だけであればいつもの戯言と余も思うが、この度は、他ならぬパティリエカとブルーディスの言もあってのことだからな」
と語り、さらに、
「おぬしが、たった一人でデモニューマを瞬く間に駆逐したという者か?」
レイラに向かって語りかけたのだった。
おそらく衛士の中では最も位が高いと思しき人物に釘を刺された上で臨んだ<謁見の間>に、シェイナは顔面が蒼白となり唇まで真っ青だった。
無理もない。本来ならば、生涯、実際に姿を見ることさえなかったかもしれない<国王陛下>に拝謁賜るのだから。それこそ、
『どうしてこうなった……?』
という気分に違いない。
そんなシェイナに、レイラは、
「大丈夫です。あなたに害は及びません。ただ、私の傍で畏まっていてくださればそれで済みます」
手を握りながら静かに声を掛ける。
「……」
もはや返事もできずにシェイナはただレイラの手をしっかりと掴んだ。
それをレイラも握り返し、少しでも安心させようとする。それがなかったら気を失ってさえいたかもしれない。
こうして、訝し気に彼女達を睨み付ける貴族や騎士と思しき者達の間を通り、玉座の前まで辿り着いた。
そして、立ち止まると同時にエギナとパティリエカとブルーディスが膝を着くのに合わせ、レイラも同じく膝を着き、シェイナも遅れてレイラの真似をした。
深々と頭を下げる五人に向かって、
「これはいったい、何事か?」
厳格そうな声が投げ掛けられる。もっとも、それは多分に芝居がかっているものではあったが。威厳を演出するためのものであることは、レイラにはすぐに分かってしまった。
しかし、それもこのような場では必要なものであることも分かるので、否定的に捉えたりもしない。ただただ、畏怖を示すために頭を下げる。
すると、
「父上! お久しゅうございます! 此度は、我が<ベル・ルデニオーラ>に大いなる福音をもたらす者を連れてまいりました!」
エギナが頭を上げてよく通る声で告げた。けれどそれに対して、控えていた者達の中から、
「エギナ様! 陛下の許しなく発言するとは何事か!! これほどまでの無礼、たとえ貴女様であっても許されませんぞ!」
厳しい声が掛けられた。それでも、エギナは怯まない。
「黙れ! これはそんな些末なことを気にしていられるような話ではないのだ! 我らは今、<奇跡>そのものを目の当たりにしているのだからな!」
エギナのその言葉に、
「世迷い言を!」
声を発した人物が返す。
そこに、
「よい、フェリエンド。まずはエギナの言い分を聞こう」
エギナを諫めようとした人物を国王が制する。
その上で、
「エギナの言だけであればいつもの戯言と余も思うが、この度は、他ならぬパティリエカとブルーディスの言もあってのことだからな」
と語り、さらに、
「おぬしが、たった一人でデモニューマを瞬く間に駆逐したという者か?」
レイラに向かって語りかけたのだった。
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