異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語

京衛武百十

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レイラ

洗練された文明

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『これは、思った以上に洗練された文明のようですね。地球で言えば古代ローマ帝国の流れを汲む感じでしょうか』

綺麗に整備された石畳の道路。きちんと車道と歩道が分けられていて、ゴミもほとんど落ちていない。

いわゆる<中世ヨーロッパ>に見られるような、汚物がうず高く積もり、その中を歩くために<ハイヒール>が作られたとか、上から降ってくる汚物を被らないように<ハット>が作られたとか、女性が使う<日傘>も実はそのためのものであるとか言われるような、

<汚物に塗れて一千年>

などと揶揄されるような、後にペストの大流行を招く原因ともなったと言われるような、不潔極まりないそれではなかった。

『地球のヨーロッパにおいて、古代ローマの上下水道が失われたことによる衛生環境の悪化が起こったのとは違い、ここでは技術がしっかりと継承されたようですね』

と推測する。

メインストリートと思しき通りの両側には多くの店が並び、実に活気に溢れている。対して、城壁の外のそれは、都市計画に則って作られたものではないのが一見して分かるくらいに雑然としつつ活気があったものの、こちらは実に整然とした上で活気がある。まるで違う国に来たかのような気さえするほど異なっていた。

「乗れ!」

そして、通りに面した、<駐車場>と思しきスペースにとめられていた馬車(繋がれているのはやはり馬というよりロバに近い印象のある生き物だったが)に乗るように、エギナが促した。それと同時に彼女は、

「お前らは仕事に戻れ!」

困り顔の髭面の小隊長らに向けて声を発する。そこに並んだ兵士達は、レイラとシェイナに憐れみがこもった視線を向けてくる。

それでも、シェイナを抱きかかえたレイラは敢えて素直に従い、馬車(便宜上、<馬車>と称する)へと乗り込むと、

「行け!」

エギナが御者に命じて発車させた。兵士達を残して。

走り出した馬車の作りも、実に丁寧なものだ。彼女用に設えられたものかもしれない。

その中で、やはり興奮した様子のエギナの話を聞きながら、レイラは街の情報を得つつ、言葉の補正をさらに続けた。

そうして馬車はやがて坂道を登り始め、十五分ほどで立派な城へと辿り着いた。

「エギナ様? 今日はまたどのようなご用件で?」

城の門番らしき兵士が訝し気に窓から中を覗き込みつつ、尋ねる。

「たった一人で瞬く間にデモニューマを退けた強者つわものを連れてきたのだ! 陛下にお目通り願いたい!」

レイラに視線を送りつつ、弾んだ声で告げると、兵士がやはり呆れたような表情になったのが分かったのだった。

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