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レイラ
ロボ娘レイラ、異世界転移す
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「こ……ここは……?」
彼女<レイラ(機種名:タリアP55SI)>が再起動した時、そこはまったく見覚えのない廃墟の中だった。
<廃墟>と言っても、元々はそれなりに格式高い荘厳な石造りの建物だったらしく、しかも、なにやら偶像めいた青銅製と思しき女性の像がしつらえられている。
『放棄された教会……でしょうか……?』
自身のセンサーが捉える情報から、彼女はそう推測する。
けれど、その時、
「きゃーっっ!!」
という、どちらかと言えば『ぎゃーっっ!!』に近い、命の危機を訴える叫び。
『緊急支援要請! 危機対応モードに移行します!』
自分が耳にした<悲鳴>を、<緊急支援要請>と捉えた彼女は、すぐさま危機対応モードを起動させ、声がした方向へと動いた。すると、レイラが蹴った石畳の床が負荷に耐え切れずに砕け、彼女の姿が消えた。
いや、あまりの速さに人間の目では捉え切れなかったのだ。
そして、壊れた窓から外へと躍り出たレイラの目に捉えられたのは、やはり彼女が見たこともない、異様で巨大な<獣>の姿。
地球にかつて生息していたという<T-REX>を思わせるシルエットながら大きさは頭の先から尻尾の先まででも四メートル程度と<T-REX>の成体ほどではなく、しかも、全身が茶褐色の体毛で覆われていた。
それでも、体重は少なく見積もっても五百キロはあるだろう。人間の感覚からすれば十分に巨大と言える猛獣だった。
しかも、<T-REX>の前足は体に比べると貧弱なそれだと言われているものの、こちらの猛獣の前足はそれなりに太く長く、鋭い爪を備えた四本の指を持ち、明らかに<手>としての機能を有しているようにも見えた。
これらの情報を一瞬で見て取ったレイラは、<先ほどの悲鳴の主>の姿も確認する。
『人間……!』
彼女がそう認識したように、猛獣の前で腰を抜かしたように地面に座り込んでいたのは、明らかに<人間の少女>だった。
年齢は十二歳前後。アングロサクソン系の特徴を持つ金髪碧眼の少女を、レイラは、即座に<保護対象>と認定、明らかに少女を捕食しようとしている猛獣の前に立ちはだかった。
けれど、そんなレイラの外見も、ロシア系の印象がある、腰まで伸びたプラチナブロンドの髪が印象的な、長身でモデル体系の美女のそれではあったものの、眼前の猛獣と比べればおよそ少女と大差ない<餌>にしか見えないというのが正直なところだった。
なのに彼女は、ぐわっと開かれ無数の鋭い牙が並び人間など一飲みにしてしまいそうな猛獣の口をガシっと掴み、体重五百キロは下らない巨体の突進を軽々と受け止めて見せたのであった。
彼女<レイラ(機種名:タリアP55SI)>が再起動した時、そこはまったく見覚えのない廃墟の中だった。
<廃墟>と言っても、元々はそれなりに格式高い荘厳な石造りの建物だったらしく、しかも、なにやら偶像めいた青銅製と思しき女性の像がしつらえられている。
『放棄された教会……でしょうか……?』
自身のセンサーが捉える情報から、彼女はそう推測する。
けれど、その時、
「きゃーっっ!!」
という、どちらかと言えば『ぎゃーっっ!!』に近い、命の危機を訴える叫び。
『緊急支援要請! 危機対応モードに移行します!』
自分が耳にした<悲鳴>を、<緊急支援要請>と捉えた彼女は、すぐさま危機対応モードを起動させ、声がした方向へと動いた。すると、レイラが蹴った石畳の床が負荷に耐え切れずに砕け、彼女の姿が消えた。
いや、あまりの速さに人間の目では捉え切れなかったのだ。
そして、壊れた窓から外へと躍り出たレイラの目に捉えられたのは、やはり彼女が見たこともない、異様で巨大な<獣>の姿。
地球にかつて生息していたという<T-REX>を思わせるシルエットながら大きさは頭の先から尻尾の先まででも四メートル程度と<T-REX>の成体ほどではなく、しかも、全身が茶褐色の体毛で覆われていた。
それでも、体重は少なく見積もっても五百キロはあるだろう。人間の感覚からすれば十分に巨大と言える猛獣だった。
しかも、<T-REX>の前足は体に比べると貧弱なそれだと言われているものの、こちらの猛獣の前足はそれなりに太く長く、鋭い爪を備えた四本の指を持ち、明らかに<手>としての機能を有しているようにも見えた。
これらの情報を一瞬で見て取ったレイラは、<先ほどの悲鳴の主>の姿も確認する。
『人間……!』
彼女がそう認識したように、猛獣の前で腰を抜かしたように地面に座り込んでいたのは、明らかに<人間の少女>だった。
年齢は十二歳前後。アングロサクソン系の特徴を持つ金髪碧眼の少女を、レイラは、即座に<保護対象>と認定、明らかに少女を捕食しようとしている猛獣の前に立ちはだかった。
けれど、そんなレイラの外見も、ロシア系の印象がある、腰まで伸びたプラチナブロンドの髪が印象的な、長身でモデル体系の美女のそれではあったものの、眼前の猛獣と比べればおよそ少女と大差ない<餌>にしか見えないというのが正直なところだった。
なのに彼女は、ぐわっと開かれ無数の鋭い牙が並び人間など一飲みにしてしまいそうな猛獣の口をガシっと掴み、体重五百キロは下らない巨体の突進を軽々と受け止めて見せたのであった。
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