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原因と結果

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精神的に安定さえしていれば、真猫まなは非常に大人しく穏やかな気性の子供だった。社会のルールは理解できなくても、自分から他人に対して攻撃的に振る舞うことはしない。

だが、普通はそうではないか? 訳も無く他人に攻撃的になる人間が本当にそんなに存在するのだろうか?

『訳もなく攻撃的になる人間はいる!』と主張する者は、本当に『攻撃的になる原因が全く無い』と精査したのだろうか?

してない筈である。なぜなら、この世はすべからく『原因があってこそ結果がある』のだから。まったく何も原因がないのに結果が生じることは有り得ないのだから。

『訳もなく攻撃的になる人間はいる!』と考えなければ都合が悪いからそう考えるだけの筈なのだ。

原因がなければ結果もない。他人に対して攻撃的になる必要がなければ攻撃的になることもない。

真猫まなが今、大人しくしていられるのは、桃弥とうやや玲那が、彼女が他人に対して攻撃的にならなければいけなくなるような原因となるものを徹底的に排除しているからこそのこの結果なのだった。

それを『甘やかしている』と言う者もいるかもしれないが、こちらが攻撃的にならなければ向こうも攻撃的にならないのに、なぜわざわざ攻撃的に振る舞わなければい行けないのか? そうしなければいけない根拠は?

心地好い住環境にあたたかい食事。自分をありのままに受け止めてくれる同居人。それがあれば何もわざわざ他人に攻撃的になる必要はないのではないのか。

『心地好い住環境にあたたかい食事。自分をありのままに受け止めてくれる同居人がいても攻撃的になる人間もいる!』と言う者もいるだろうが、それは本当にそうだろうか。

一見、そのように見える事例の場合は、『ありのままに受け入れてもらえているように見えるだけ』ではなかったりしないだろうか?

『甘やかす見返りとして自分達に都合よく支配しようとしている』のではないだろうか?

桃弥とうやも玲那も、真猫まなに、『自分達に都合がいい存在でいてほしい』と願っている訳ではない。ただ彼女に心穏やかでいてほしいと、彼女がそうなれる環境を提供したいと思っているだけだ。

真猫まなだけそんな風にしてもらえてズルい』と感じる者もいるかもしれない。

しかしその不平不満は、そのようにしてくれない自らの周囲の者に対して向けるべき憤りであって、真猫まな桃弥とうやや玲那に向けるべきものではない筈だ。そんなのは、完全に言いがかりの八つ当たりでしかないだろう。

そしてその八つ当たりを他人に向けずにいられない己自身がなぜそうなのかを知る必要があるのではないだろうか。

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