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第四部
いいお祭であり続けるためには
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この<いいお祭>がいいお祭であり続けるためには、悪意にまみれてはいけないと思います。
悪意とまでは言わないとしてもいろいろ思惑のようなもので左右されるようなものになっては本来の志が失われてしまうかもしれない。
これはあくまで、ゴヘノヘの驚異に負けまいとする彼ら彼女らの決意の表れですから、
『神仏に責任を擦り付けて誰かを虐げる』
ものになってはいけないんです。
私達はそうならないように見守っていかなければ。
また、<生贄>のようなものを要求するような祭にもしない。それが意味のないものであることを確かめようもなかった頃には仕方がなかったのだとしても、意味がないことが分かっている以上は生贄の習慣も作らないようにしなければ。
とにかく、神仏が望んでいるということにして害意を正当化しては歯止めが効かなくなることは地球人社会の歴史でもう分かっているんです。なのにそれを繰り返す必要もないでしょう。ただただ、士気を高めゴヘノヘの脅威に備えるという意識を保つためのそれであることを心掛けなければと思います。
翌朝、目が覚めると、
「おはよう。お疲れ様」
少佐が私を労ってくれました。私は体を起こして、彼に顔を寄せていきます。そんな私を彼も避けたりしなくて……
そして、軽く唇を触れさせたんです。
本当に、自然に、そうするのが当たり前のようにできてしまったんです。
二度目の祭を無事に成功させて、私も少佐も肩の荷が下りたような気分になっていました。だからもう、お互いの気持ちを抑える必要がなくなっていた。
仕事をやり遂げた満足感と解放感とで、阻むものがなくなっていたんでしょうか。
そうですね。私と少佐は、もう、お互いの気持ちは確かめ合っていました。私は元々少佐を愛していましたし、少佐も、久利生家の縛りがなくなっていたことで遠慮する必要はなくなっていました。ただ、二号機の製造と二度目の祭の準備という<仕事>があったから、そちらを優先していただけ。それが終わったんですから、それこそもう誰憚ることなくお互いの気持ちに正直になればいい。
だから、
「僕は、ビアンカを正式にパートナーにしようと思う」
メイミィと、レータを連れたトームが出勤してきて、フロイも仕事を終えて、ラレアトも朝の用意を済ませて、伍長と震電とクレアが顔を出したところで、少佐がそう告げてくれました。けれど伍長は、
「何をいまさら。お前らがパートナーじゃねえなんてもう誰も思ってねえよ」
呆れたように言いました。メイミィとラレアトも、ちょっと不満げですけど頷いてくれたんです。
トームとフロイはただただ笑顔で。
私は、自分の顔がすごく熱くなるのを感じたのでした。
悪意とまでは言わないとしてもいろいろ思惑のようなもので左右されるようなものになっては本来の志が失われてしまうかもしれない。
これはあくまで、ゴヘノヘの驚異に負けまいとする彼ら彼女らの決意の表れですから、
『神仏に責任を擦り付けて誰かを虐げる』
ものになってはいけないんです。
私達はそうならないように見守っていかなければ。
また、<生贄>のようなものを要求するような祭にもしない。それが意味のないものであることを確かめようもなかった頃には仕方がなかったのだとしても、意味がないことが分かっている以上は生贄の習慣も作らないようにしなければ。
とにかく、神仏が望んでいるということにして害意を正当化しては歯止めが効かなくなることは地球人社会の歴史でもう分かっているんです。なのにそれを繰り返す必要もないでしょう。ただただ、士気を高めゴヘノヘの脅威に備えるという意識を保つためのそれであることを心掛けなければと思います。
翌朝、目が覚めると、
「おはよう。お疲れ様」
少佐が私を労ってくれました。私は体を起こして、彼に顔を寄せていきます。そんな私を彼も避けたりしなくて……
そして、軽く唇を触れさせたんです。
本当に、自然に、そうするのが当たり前のようにできてしまったんです。
二度目の祭を無事に成功させて、私も少佐も肩の荷が下りたような気分になっていました。だからもう、お互いの気持ちを抑える必要がなくなっていた。
仕事をやり遂げた満足感と解放感とで、阻むものがなくなっていたんでしょうか。
そうですね。私と少佐は、もう、お互いの気持ちは確かめ合っていました。私は元々少佐を愛していましたし、少佐も、久利生家の縛りがなくなっていたことで遠慮する必要はなくなっていました。ただ、二号機の製造と二度目の祭の準備という<仕事>があったから、そちらを優先していただけ。それが終わったんですから、それこそもう誰憚ることなくお互いの気持ちに正直になればいい。
だから、
「僕は、ビアンカを正式にパートナーにしようと思う」
メイミィと、レータを連れたトームが出勤してきて、フロイも仕事を終えて、ラレアトも朝の用意を済ませて、伍長と震電とクレアが顔を出したところで、少佐がそう告げてくれました。けれど伍長は、
「何をいまさら。お前らがパートナーじゃねえなんてもう誰も思ってねえよ」
呆れたように言いました。メイミィとラレアトも、ちょっと不満げですけど頷いてくれたんです。
トームとフロイはただただ笑顔で。
私は、自分の顔がすごく熱くなるのを感じたのでした。
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