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第四部
設計からできるようになったとなれば
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多少の<事故>もありつつ、その辺りの職場の安全対策には諸々の課題も残しつつ、少なくとも命にかかわるような大きな事故にまでは至りませんでした。
加えて、<対ゴヘノヘ用決戦兵器一号機>、<ゴヘノヘ神輿>、それぞれの経験を経たことで彼ら彼女ら自身がちゃんと作業の内容を理解してやってくれてるというのが大きいでしょうね。
しかも、設計からできるようになったとなれば、本当に素晴らしい。
見る見る形が出来上がっていって、櫓を組み始めてからでも六十日ほどで、見た目はほぼ完成してしまいました。あとは武装が確実に動作するのを確認することと、全体の微調整ですね。
「すごい……」
「強そう……!」
メイミィとラレアトも、感心したように呟きます。
さらにリータも、トームと一緒に材料運びを手伝ってくれるようになりました。見た目にはまだ七歳くらいにしか見えない彼ですけど、地球人なら大人でも一人で持ち上げるのは難しそうな材木さえ運んでくれるんです。
地球人社会では<児童労働>に当たるそれも、ここではまだ本人が望めば仕事もできる。あくまで、
『本人が望めば』
ですが。
一方的に強いることは許されません。また、<親>という圧倒的に優位な立場を利用して子供に拒否を許さない空気を作って承諾させるのもナシです。その辺りは、少佐が渉外によって合意を形成し、<一般論>として確立させていってますね。
獣人達には元々、
『子供は神よりの授かりもの』
的な発想があったのを上手く利用し、
「神より授かった子供は大切にしなければなりませんね」
と、あくまで彼ら彼女らが元々持っている認識を尊重する形で浸透させていったわけです。
ただし、<信仰>というものは、
『神や仏がそれを望まれるから』
という風に、
『神仏に責任を擦り付ける』
ことで自分達を正当化するという方向に振れることが往々にしてあります。そうです。自分達の悪行を『神仏の所為』にすればどんな悪逆非道なことも罪の意識を感じることなくできてしまうんです。
まったく。最初に、神仏をそういう形で利用することを思い付いた者は、真に<悪魔>だったのでしょう。それを言いだした当人は。絶対、神も仏も信じていなかったでしょうね。信じていないからこそ、
『神仏の所為にして罪の意識を鈍磨させる』
なんてことを思い付けたに違いありません。本当に神仏を敬い畏れている人はそんなことできるはずありませんから。
自分達の悪行の責任を神仏に押し付けるんですよ? 敬っていたらできるわけないじゃないですか。
加えて、<対ゴヘノヘ用決戦兵器一号機>、<ゴヘノヘ神輿>、それぞれの経験を経たことで彼ら彼女ら自身がちゃんと作業の内容を理解してやってくれてるというのが大きいでしょうね。
しかも、設計からできるようになったとなれば、本当に素晴らしい。
見る見る形が出来上がっていって、櫓を組み始めてからでも六十日ほどで、見た目はほぼ完成してしまいました。あとは武装が確実に動作するのを確認することと、全体の微調整ですね。
「すごい……」
「強そう……!」
メイミィとラレアトも、感心したように呟きます。
さらにリータも、トームと一緒に材料運びを手伝ってくれるようになりました。見た目にはまだ七歳くらいにしか見えない彼ですけど、地球人なら大人でも一人で持ち上げるのは難しそうな材木さえ運んでくれるんです。
地球人社会では<児童労働>に当たるそれも、ここではまだ本人が望めば仕事もできる。あくまで、
『本人が望めば』
ですが。
一方的に強いることは許されません。また、<親>という圧倒的に優位な立場を利用して子供に拒否を許さない空気を作って承諾させるのもナシです。その辺りは、少佐が渉外によって合意を形成し、<一般論>として確立させていってますね。
獣人達には元々、
『子供は神よりの授かりもの』
的な発想があったのを上手く利用し、
「神より授かった子供は大切にしなければなりませんね」
と、あくまで彼ら彼女らが元々持っている認識を尊重する形で浸透させていったわけです。
ただし、<信仰>というものは、
『神や仏がそれを望まれるから』
という風に、
『神仏に責任を擦り付ける』
ことで自分達を正当化するという方向に振れることが往々にしてあります。そうです。自分達の悪行を『神仏の所為』にすればどんな悪逆非道なことも罪の意識を感じることなくできてしまうんです。
まったく。最初に、神仏をそういう形で利用することを思い付いた者は、真に<悪魔>だったのでしょう。それを言いだした当人は。絶対、神も仏も信じていなかったでしょうね。信じていないからこそ、
『神仏の所為にして罪の意識を鈍磨させる』
なんてことを思い付けたに違いありません。本当に神仏を敬い畏れている人はそんなことできるはずありませんから。
自分達の悪行の責任を神仏に押し付けるんですよ? 敬っていたらできるわけないじゃないですか。
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