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第四部
誤差の範囲
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二十世紀後半や二十一世紀初頭頃には、未来の地球人は、
『頭と目ばかり大きくて、顎は退化し、指先は器用なもののひ弱な枯枝のような体つきになる』
的なそれが想像されていたそうですね。ですが、私が生きていた三十七世紀でもそんな感じじゃありませんでしたよ? プロポーションも二十一世紀頃とそんなに大きく変わっていません。先ほども触れたように新石器時代の頃の地球人類と比べても、多少の差異はあっても、とても繋がりがあるとは思えないぜんぜん別の生物のようになってしまってはいないですよね? 一万年程度ではそこまで劇的に変わってしまうことはないんでしょう。
なるほど、新石器時代の頃の地球人類と現在の地球人類とを比べれば筋力などは下がってるのかもしれません。便利な生活をしていることでスタミナなども減っているのでしょう。ですが、それで問題なく生きられる社会なのですからそれに適応していくのも生物としては当然の変化のはずです。加えて、鍛えればそれなりの身体能力も得られる。
どれほど鍛えたってどうせ地球人類はもう、裸で何の道具も持たずに野生に放り出されればほとんど生きていけないのですから、実際、山菜取りに出掛けてそのまま遭難して亡くなるという事故もあるのですから、そんなものはやっぱり<誤差の範囲>でしかないでしょう。
犬や猫は、野に放つと野生化することも少なくないでしょうに、地球人類は野生化してしまうことはほとんどないですよね? だからもう、今さらなんだと思います。
文明を否定し自然の中で暮らすことを目指すコミュニティもあったりもしましたけど、そういうところでも最低限の道具は使ってますしね。
完全な野生の獣になってしまったりはしない。
<ホモ・サピエンス・サピエンス>
になった時点でもう、<獣>には戻れなくなったんじゃないでしょうか。
原初の<ホモ・サピエンス・サピエンス>の身体能力が現代のアスリートとどれくらい違うものかは、各種シミュレーションにおいても確度の高い結論は得られてませんが、それほど極端に差があるわけではないというのが主流だったようです。
この辺りは、私が看護師を目指していた頃に、リハビリ関係のまあ<雑学>として学んだことでした。子供に過度なトレーニングを課す親がいて、その無意味さを説明するために必要とされたものですね。
トップアスリートを目指すとしても必要なのは科学的に効果のあるトレーニングであって、いわゆる<根性論>は本質ではないんです。
『頭と目ばかり大きくて、顎は退化し、指先は器用なもののひ弱な枯枝のような体つきになる』
的なそれが想像されていたそうですね。ですが、私が生きていた三十七世紀でもそんな感じじゃありませんでしたよ? プロポーションも二十一世紀頃とそんなに大きく変わっていません。先ほども触れたように新石器時代の頃の地球人類と比べても、多少の差異はあっても、とても繋がりがあるとは思えないぜんぜん別の生物のようになってしまってはいないですよね? 一万年程度ではそこまで劇的に変わってしまうことはないんでしょう。
なるほど、新石器時代の頃の地球人類と現在の地球人類とを比べれば筋力などは下がってるのかもしれません。便利な生活をしていることでスタミナなども減っているのでしょう。ですが、それで問題なく生きられる社会なのですからそれに適応していくのも生物としては当然の変化のはずです。加えて、鍛えればそれなりの身体能力も得られる。
どれほど鍛えたってどうせ地球人類はもう、裸で何の道具も持たずに野生に放り出されればほとんど生きていけないのですから、実際、山菜取りに出掛けてそのまま遭難して亡くなるという事故もあるのですから、そんなものはやっぱり<誤差の範囲>でしかないでしょう。
犬や猫は、野に放つと野生化することも少なくないでしょうに、地球人類は野生化してしまうことはほとんどないですよね? だからもう、今さらなんだと思います。
文明を否定し自然の中で暮らすことを目指すコミュニティもあったりもしましたけど、そういうところでも最低限の道具は使ってますしね。
完全な野生の獣になってしまったりはしない。
<ホモ・サピエンス・サピエンス>
になった時点でもう、<獣>には戻れなくなったんじゃないでしょうか。
原初の<ホモ・サピエンス・サピエンス>の身体能力が現代のアスリートとどれくらい違うものかは、各種シミュレーションにおいても確度の高い結論は得られてませんが、それほど極端に差があるわけではないというのが主流だったようです。
この辺りは、私が看護師を目指していた頃に、リハビリ関係のまあ<雑学>として学んだことでした。子供に過度なトレーニングを課す親がいて、その無意味さを説明するために必要とされたものですね。
トップアスリートを目指すとしても必要なのは科学的に効果のあるトレーニングであって、いわゆる<根性論>は本質ではないんです。
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