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第四部
俺にできねえ理由がねえ
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伍長は言います。
「言っても聞かねえから叩くとか言ってるのかいるじゃねえか。でもそう言ってる奴が、何度も子供を叩いたりしてるよな? 叩いても聞いてねえじゃねえか。『聞く』ってなあ、その場だけ従うことじゃねえだろ?
しかも、まだ言葉も分からねえうちから『言っても聞かねえから』って、何言ってんだ? 言葉が分からねえんだから言って分かんねえのは当たり前じゃねえかよ。言葉が分かるようになってから言うようにすればいいだろうが。
結局、自分が絶対に負けねえ相手にイキがりてえからそんなこと言ってるだけってのが透けて見えてんだよ。そのクセ、自分より強え相手にゃ何もできねえ。それでよくでかい口叩けんな? 笑わせんな。
俺あバカだが、少なくとも弱え相手にイキがりたいだけの卑怯者にはなりたくねえんだよ。
後な、『血の繋がりのない子供を育てるとかできるわけない』とか言ってる奴もいたけどよ、じゃあ、『育児よりも仕事の方が大変だ』とかホザいてた奴はなんなんだよ? 血が繋がってようが繋がってなかろうが、『子供を育てる』ってなあそんなに違いはねえんだよ。相手は<人間>なんだ。血の繋がった自分の子供は人間で、繋がってなけりゃそれは異生物だってか? 漫画の見すぎだろ。
で、仕事の方が育児より大変だってんなら、育児なんて簡単にできんだろ? 楽勝なんだろ? 会社を興して何人もの人間を巻き込んで、上手くいきゃあいいが、潰しでもすりゃ何人もの人間の人生さえ潰す可能性だってあんじゃねえか。だったら子供一人育てるくらいでぎゃあぎゃあ言うんじゃねえよ。『育てられるわけない』とかホザく奴は、仕事のできねえ奴ってことでいいんだな? 仕事よりも楽な育児もできねえんだからよ。
とにかく俺は、ここで何十年も暮らして、ここの連中が子供を育てるのを見てて、俺にできねえ理由がねえってのを悟ったよ。人間として扱えばいいだけじゃねえか」
と。これまた言い方はともかく、私の思ってることとほとんど同じだと感じました。まったく違った環境に育ちながらも同じような考えに至るというのが不思議なのと同時に、『自分自身にこそ厳しく』を心掛けた上で物事を客観的に見ると結局は似たようなところに至るのかもしれませんね。
後は、自身が背負っているものと立場さえ衝突しなければ。
人間同士の争いには、<背負っているもの>や<立場>ゆえにぶつかり合うものも多いですから。
幸い、伍長とは、同じ軍に所属することになったので、敵対はしなかったわけですし。
「言っても聞かねえから叩くとか言ってるのかいるじゃねえか。でもそう言ってる奴が、何度も子供を叩いたりしてるよな? 叩いても聞いてねえじゃねえか。『聞く』ってなあ、その場だけ従うことじゃねえだろ?
しかも、まだ言葉も分からねえうちから『言っても聞かねえから』って、何言ってんだ? 言葉が分からねえんだから言って分かんねえのは当たり前じゃねえかよ。言葉が分かるようになってから言うようにすればいいだろうが。
結局、自分が絶対に負けねえ相手にイキがりてえからそんなこと言ってるだけってのが透けて見えてんだよ。そのクセ、自分より強え相手にゃ何もできねえ。それでよくでかい口叩けんな? 笑わせんな。
俺あバカだが、少なくとも弱え相手にイキがりたいだけの卑怯者にはなりたくねえんだよ。
後な、『血の繋がりのない子供を育てるとかできるわけない』とか言ってる奴もいたけどよ、じゃあ、『育児よりも仕事の方が大変だ』とかホザいてた奴はなんなんだよ? 血が繋がってようが繋がってなかろうが、『子供を育てる』ってなあそんなに違いはねえんだよ。相手は<人間>なんだ。血の繋がった自分の子供は人間で、繋がってなけりゃそれは異生物だってか? 漫画の見すぎだろ。
で、仕事の方が育児より大変だってんなら、育児なんて簡単にできんだろ? 楽勝なんだろ? 会社を興して何人もの人間を巻き込んで、上手くいきゃあいいが、潰しでもすりゃ何人もの人間の人生さえ潰す可能性だってあんじゃねえか。だったら子供一人育てるくらいでぎゃあぎゃあ言うんじゃねえよ。『育てられるわけない』とかホザく奴は、仕事のできねえ奴ってことでいいんだな? 仕事よりも楽な育児もできねえんだからよ。
とにかく俺は、ここで何十年も暮らして、ここの連中が子供を育てるのを見てて、俺にできねえ理由がねえってのを悟ったよ。人間として扱えばいいだけじゃねえか」
と。これまた言い方はともかく、私の思ってることとほとんど同じだと感じました。まったく違った環境に育ちながらも同じような考えに至るというのが不思議なのと同時に、『自分自身にこそ厳しく』を心掛けた上で物事を客観的に見ると結局は似たようなところに至るのかもしれませんね。
後は、自身が背負っているものと立場さえ衝突しなければ。
人間同士の争いには、<背負っているもの>や<立場>ゆえにぶつかり合うものも多いですから。
幸い、伍長とは、同じ軍に所属することになったので、敵対はしなかったわけですし。
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