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第四部
多数を生かすために少数を犠牲にする決断
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そう言えば、私が地球人社会にいた頃には、
<世界を救うために犠牲にされようとしている親しい人を助けようとする物語>
というのがあって、それでよく、<世界を救うために犠牲にされようとしている親しい人を助けようとする登場人物>が批判されたりしましたけど、軍人である私はそれは理解できません。
いえ、軍人ですから命令されれば、
<多数を生かすために少数を犠牲にする決断>
にも加担しますが、その判断は安易には行えないという意味で、
『批判までしなければいけないことですか?』
と感じるのです。
そして、
『世界を救うには本当にその方法しかないのか?』
ということを最後の最後まで探ろうとする姿勢を見せない指導者というものも非常に疑問です。決断を行うにしても、常に別の可能性を探る姿勢は貫く必要があるはずなんですが。
フィクションなのでその辺りの背景については描写が省かれることもあるでしょう。必ずしも可能性を探る努力を怠っているとは限らないのかもしれない。ですが、その可能性を探る努力を放棄してただ誰かに犠牲を押し付けようとしているなら、生き延びる努力をする側を否定するのはおかしいのではないですか?
テロリストに対して厳しく臨むのは、別に、
『テロリスト側が少数だから』
ではありませんよ? そのような対応を行っている国などもあるのでしょうが、少なくとも私達が属していた<イオ行政区>はそうではありませんでした。あくまでテロリスト側が、
『他にも交渉の手段はあるにも拘らず武力闘争を仕掛けてくる』
からそのカウンターとして軍が対応していただけです。テロリスト達は、
『自分達の目的達成のためなら何を犠牲にしてもいい』
と考えているから認められないだけなんです。ましてや何の合理性もない<妄想>を盾に無理難題を要求してくるのでしたら、聞き入れられるわけがないじゃないですか。話くらいは聞いても、要求には応じられない。それだけの話ですよ。
しかも、
『世界を救うために自分達は戦っている!!』
とか言ってるんです。そのために他者に犠牲を押し付けようとしている。
かつての地球では、いわゆる<大国>が自国の利益のために他国に犠牲を強いてきたという歴史があります。その中でテロリズムも誕生した。大国に犠牲を強いられてきた側がそれに抵抗するための手段としてテロを用いた。
そういう事実もあります。その場合は、大国の側に非がありますよね?
もしそれを『生存競争だ』とおっしゃるのでしたら、犠牲を押し付けられる側だって生きるために抵抗もするでしょう。
それの何が問題なんです?
生存競争だというのであれば。
<世界を救うために犠牲にされようとしている親しい人を助けようとする物語>
というのがあって、それでよく、<世界を救うために犠牲にされようとしている親しい人を助けようとする登場人物>が批判されたりしましたけど、軍人である私はそれは理解できません。
いえ、軍人ですから命令されれば、
<多数を生かすために少数を犠牲にする決断>
にも加担しますが、その判断は安易には行えないという意味で、
『批判までしなければいけないことですか?』
と感じるのです。
そして、
『世界を救うには本当にその方法しかないのか?』
ということを最後の最後まで探ろうとする姿勢を見せない指導者というものも非常に疑問です。決断を行うにしても、常に別の可能性を探る姿勢は貫く必要があるはずなんですが。
フィクションなのでその辺りの背景については描写が省かれることもあるでしょう。必ずしも可能性を探る努力を怠っているとは限らないのかもしれない。ですが、その可能性を探る努力を放棄してただ誰かに犠牲を押し付けようとしているなら、生き延びる努力をする側を否定するのはおかしいのではないですか?
テロリストに対して厳しく臨むのは、別に、
『テロリスト側が少数だから』
ではありませんよ? そのような対応を行っている国などもあるのでしょうが、少なくとも私達が属していた<イオ行政区>はそうではありませんでした。あくまでテロリスト側が、
『他にも交渉の手段はあるにも拘らず武力闘争を仕掛けてくる』
からそのカウンターとして軍が対応していただけです。テロリスト達は、
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と考えているから認められないだけなんです。ましてや何の合理性もない<妄想>を盾に無理難題を要求してくるのでしたら、聞き入れられるわけがないじゃないですか。話くらいは聞いても、要求には応じられない。それだけの話ですよ。
しかも、
『世界を救うために自分達は戦っている!!』
とか言ってるんです。そのために他者に犠牲を押し付けようとしている。
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そういう事実もあります。その場合は、大国の側に非がありますよね?
もしそれを『生存競争だ』とおっしゃるのでしたら、犠牲を押し付けられる側だって生きるために抵抗もするでしょう。
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生存競争だというのであれば。
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