343 / 404
第四部
ただのオブザーバー
しおりを挟む
そんなこんなで、今はもうただのオブザーバーでしかない私は、よろずやの方にも意識を向けます。
「こっちの品物の在庫、いける?」
「うん、まだ大丈夫。だけどそろそろ補充しなきゃね。誰か持ってきてくれると助かるんだけど」
「そうだね。お客さんが持ってきてくれるの待ってるだけじゃやっぱり確実じゃないよね」
「だよね。仕入れ方法をちゃんとしないとそのうち行き詰まるかも」
メイミィとラレアトがそんなやり取りをしているのが聞こえました。元々流暢に言葉を話していたメイミィに引っ張られてか、ラレアトもすっかり流暢に話せるようになっています。しかも言葉だけじゃなく、よろずやの運営そのものについても理解が深まってるのも感じるんです。だから私はそれこそ、<店長>どころか店を完全にスタッフに任せてる<オーナー>的な立場になってる気がします。
でもまあ、万が一何かあった時には責任を負わないといけないので、やっぱりまだ店長的な立場かも知れませんけど。
それでも、現場を受け持ってくれてる人達が成長してるのは嬉しいですね。トームは二人ほどは店については理解できてないみたいなので、この辺りも<適性>の問題でしょう。トームは真面目だけど、<経営>とか<運営>とかについては気が回らないと言うか。
だからってトームが劣ってるという意味じゃありませんよ? <対ゴヘノヘ戦>の際には彼の決断と能力には救われましたから。そういうことです。
となると、メイミィとラレアトが言うように、<仕入れ係>のような人も必要ですか。<お客>も増えてきましたしね。
しっかりと<社会>が成立し始めているのも感じます。もちろんこれ以前にも獣人達にはそれぞれの社会が出来上がっていたんでしょうけど、異なる種族が一つの社会を築くという形にシフトしてきたといいますか。
私達がいなくてもいずれはそうなっていたとしても、大きな衝突なく穏当にそうなっていけることに貢献できているなら私達としても嬉しい限りです。
<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機の建造>
<よろずやの体制強化>
<獣人社会の成熟>
それらを私と少佐と伍長だけで実現することはできません。ここに暮らす人達との連携だけがそれを実現してくれる。
その事実を忘れちゃいけません。人間は一人では生きていけない。
『自分一人の力でも生きていける!』
そんな風に考えるのはただの<中二病>です。だから翻って、
『お前一人の力で生きていけ!』
とか誰かに対して口にするのも<中二病>に過ぎません。社会というものを理解しているなら、口にできることじゃありませんから。
「こっちの品物の在庫、いける?」
「うん、まだ大丈夫。だけどそろそろ補充しなきゃね。誰か持ってきてくれると助かるんだけど」
「そうだね。お客さんが持ってきてくれるの待ってるだけじゃやっぱり確実じゃないよね」
「だよね。仕入れ方法をちゃんとしないとそのうち行き詰まるかも」
メイミィとラレアトがそんなやり取りをしているのが聞こえました。元々流暢に言葉を話していたメイミィに引っ張られてか、ラレアトもすっかり流暢に話せるようになっています。しかも言葉だけじゃなく、よろずやの運営そのものについても理解が深まってるのも感じるんです。だから私はそれこそ、<店長>どころか店を完全にスタッフに任せてる<オーナー>的な立場になってる気がします。
でもまあ、万が一何かあった時には責任を負わないといけないので、やっぱりまだ店長的な立場かも知れませんけど。
それでも、現場を受け持ってくれてる人達が成長してるのは嬉しいですね。トームは二人ほどは店については理解できてないみたいなので、この辺りも<適性>の問題でしょう。トームは真面目だけど、<経営>とか<運営>とかについては気が回らないと言うか。
だからってトームが劣ってるという意味じゃありませんよ? <対ゴヘノヘ戦>の際には彼の決断と能力には救われましたから。そういうことです。
となると、メイミィとラレアトが言うように、<仕入れ係>のような人も必要ですか。<お客>も増えてきましたしね。
しっかりと<社会>が成立し始めているのも感じます。もちろんこれ以前にも獣人達にはそれぞれの社会が出来上がっていたんでしょうけど、異なる種族が一つの社会を築くという形にシフトしてきたといいますか。
私達がいなくてもいずれはそうなっていたとしても、大きな衝突なく穏当にそうなっていけることに貢献できているなら私達としても嬉しい限りです。
<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機の建造>
<よろずやの体制強化>
<獣人社会の成熟>
それらを私と少佐と伍長だけで実現することはできません。ここに暮らす人達との連携だけがそれを実現してくれる。
その事実を忘れちゃいけません。人間は一人では生きていけない。
『自分一人の力でも生きていける!』
そんな風に考えるのはただの<中二病>です。だから翻って、
『お前一人の力で生きていけ!』
とか誰かに対して口にするのも<中二病>に過ぎません。社会というものを理解しているなら、口にできることじゃありませんから。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる