獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第四部

ツクッテミル!

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「カンガエテモ、ワカラン! ツクッテミル!」

頭部の設計について考えていると、煮詰まったらしいティクラがそう声を上げました。そしてよろずやの外に出て裏に回り、

「コレ、ツカッテイイカ!?」

店の裏手に積み上げられていた補修用の部材の山を指差して言います。

「ああ、もちろん」

本来は建物の補修用ではありますが、それを用意してくれたのはティクラ達です、そのティクラが必要だと言うのなら是非もありません。少佐は二つ返事で承諾しました。

するとティクラは、リトリトと一緒に細めの部材を手に取って齧り、加工し始めました。ティクラ本人はもとより、リトリトも彼の意図を的確に酌みとって躊躇なく。パートナーとはいえここまで息が合うとは。

感心させられつつ私達が見守っていると、みるみる<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の頭が出来上がっていきます。大きさは実物の三分の一ほどですが。<検証用の模型>ということですね。

<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の頭は喧嘩神輿の際に崩れ落ちて完全に破損してしまいましたが、それを忠実に再現した模型が、私達の前に姿を現します。

「見事なものだな……」

少佐が思わず呟くと、私も、

「本当ですね……」

応えます。

改めて彼らの能力の高さを見せ付けられた気分です。しっかりと<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の構造が頭に入っていて、再現してみせたのですから。

こうして出来上がった模型を前に、

「コノブブンハ、モット、ホソイノデモ、ダイジョウブ、ダトオモウ」

「ソウダ、ナ。ココハ、ナガイ、ノ、イッポンデ、イイ」

ティクラとルッセンが検討を始め、ザフリが二人の言葉をメモしていきます。見ると、模型を写し取った絵がすでに描かれてて、そこにメモを書き込んでるんです。これがザフリの<能力>ということなのでしょう。はっきり言って私よりも巧い。

このようにして何人もがそれぞれの得意なことを活かし、一つのことを成し遂げていく。

<対ゴヘノヘ用決戦兵器>から<ゴヘノヘ神輿>と積み上げてきたものがいよいよ形になってきている印象ですね。そして彼らの能力の高さが実感される。

決して、無知で無学な蛮族だと侮ってはいけない。

こうして、実際の模型を前にしたことで具体的にいろいろなことが見えてきて、話が進みました。

そして、頭部に搭載する武装は、手持ちのクロスボウを意識した構造を持つそれに決定。これならば重量も抑えられ、威力としても十分に牽制が可能なものになるでしょう。

ただし、現状ではまだ金属を十分に確保できないので、弓の部分は木を加工したものになりますが。

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