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第四部
ザフリ
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<ゴヘノヘ祭>での喧嘩神輿で破損した<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の状態は、見た目以上に酷い有り様でした。伍長があの時点で勝敗が決したとして止めていなければそれこそ完全に倒壊していた可能性が高い。
「やはりこれは、一から作り直す方がいいだろうね」
現状を確認した少佐がそう告げます。
「ですね……」
私も正直な印象として口にしました。何しろ素人目に見ても、
『これを直すなんて無理では?』
と思ってしまうような惨状でしたから。すると、
「次はオレにまかせてくれないカ?」
私達に声を掛けてきたのは、山羊人の青年<ザフリ>でした。
ザフリは、トームの幼馴染で、対ゴヘノヘ戦の際には長の意向に逆らって作戦に参加してくれた雄の一人です。
彼は、トームがノーラを庇い番ったからといってトームまで追放されることに納得いってなかった一人でもありました。けれどそれはあくまでトームに対してであって、ノーラのことは、
『切り捨てるべき!』
と考えてもいたそうですが。でもそれ自体も、当時の判断としては何も不自然じゃなかったでしょう。自分のことさえ自分じゃまともにできないノーラについては確かに足手まといだったでしょうから。その決断そのものを私も少佐も否定はしていません。むしろノーラを庇って連れ帰った伍長の判断こそが無茶だったんです。
とは言え、伍長の判断も、結果としては間違っていなかった。トームとノーラは結ばれ、レータが生まれ、レータも皆に愛されすくすくと育っています。ただ、その判断が結果として間違いにならなかったのは、伍長自身の努力もあってでしょうけど。
自分では自分のこともできないノーラを連れ帰り、彼女の面倒を一番見ていたのは実は伍長なんです。ノーラのための部屋を作ったのも伍長ですし、ノーラの面倒を見るために必要な手順を踏んだのも伍長でした。
ノーラ自身と接するのは私が多く担当しましたが、それは同じ<雌>だからということもあってのこと。その一方で、彼はノーラが暮らしやすい環境を作ることに尽力してくれた。
それも事実です。その事実は認めないといけないと思います。
さらに、ノーラを伍長が支えてくれたのと同じく、ザフリ達がトームを支えてくれたのも事実。結果としてトームは集落を追放はされたけど、完全に縁が切れてしまったわけでもない。
ノーラやトームにとって一から十まで都合のいい状況にはならなくても、それはむしろ当然ですね。
<特定の誰かにとってだけ都合のいい社会>
なんてものは存在しないんですから。
「やはりこれは、一から作り直す方がいいだろうね」
現状を確認した少佐がそう告げます。
「ですね……」
私も正直な印象として口にしました。何しろ素人目に見ても、
『これを直すなんて無理では?』
と思ってしまうような惨状でしたから。すると、
「次はオレにまかせてくれないカ?」
私達に声を掛けてきたのは、山羊人の青年<ザフリ>でした。
ザフリは、トームの幼馴染で、対ゴヘノヘ戦の際には長の意向に逆らって作戦に参加してくれた雄の一人です。
彼は、トームがノーラを庇い番ったからといってトームまで追放されることに納得いってなかった一人でもありました。けれどそれはあくまでトームに対してであって、ノーラのことは、
『切り捨てるべき!』
と考えてもいたそうですが。でもそれ自体も、当時の判断としては何も不自然じゃなかったでしょう。自分のことさえ自分じゃまともにできないノーラについては確かに足手まといだったでしょうから。その決断そのものを私も少佐も否定はしていません。むしろノーラを庇って連れ帰った伍長の判断こそが無茶だったんです。
とは言え、伍長の判断も、結果としては間違っていなかった。トームとノーラは結ばれ、レータが生まれ、レータも皆に愛されすくすくと育っています。ただ、その判断が結果として間違いにならなかったのは、伍長自身の努力もあってでしょうけど。
自分では自分のこともできないノーラを連れ帰り、彼女の面倒を一番見ていたのは実は伍長なんです。ノーラのための部屋を作ったのも伍長ですし、ノーラの面倒を見るために必要な手順を踏んだのも伍長でした。
ノーラ自身と接するのは私が多く担当しましたが、それは同じ<雌>だからということもあってのこと。その一方で、彼はノーラが暮らしやすい環境を作ることに尽力してくれた。
それも事実です。その事実は認めないといけないと思います。
さらに、ノーラを伍長が支えてくれたのと同じく、ザフリ達がトームを支えてくれたのも事実。結果としてトームは集落を追放はされたけど、完全に縁が切れてしまったわけでもない。
ノーラやトームにとって一から十まで都合のいい状況にはならなくても、それはむしろ当然ですね。
<特定の誰かにとってだけ都合のいい社会>
なんてものは存在しないんですから。
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