獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第三部

軍隊式格闘術

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そういう<問題>もありつつも、祭の会場ではしゃぎすぎた子供が怪我をするという<事件>もありつつも、一日目二日目は、大きな混乱もなく過ごせました。

と言っても、地球人の社会なら、祭が中止になる可能性すらある大きなものですが。特に子供が怪我をしたなんて、運営側の責任問題にも発展するでしょう。

でも、今の獣人達の社会では、子供が悪ふざけをして怪我をするなんて、それこそ日常茶飯事。むしろ怪我をすることもなく成体おとなになる幼体こどもなんてほとんどいないので、誰も問題視しません。

社会背景も考慮しないといけないので『人間社会のそれとどちらがいいのか?』なんてことも、今は論じるつもりはありません。怪我した当人とその親が、

「コノクライ、ドッテコトナイ」

と言っているなら、それでいいんでしょう。

将来的には変わってくるとしても、少なくとも今は、ね。

ただ、責任者としてはその辺りを考えないわけにもいきませんので、今後の課題としてしっかりと記録は残しておきました。その際、メイミィとラレアトにも協力してもらいました。メイミィには、怪我をした子供とその親から詳しい状況を聞き出してもらって筆記してもらい、ラレアトには、その<供述>を記録にまとめる手伝いをしてもらったんです。

二人は本当に優秀なスタッフです。メイミィはこれからもよろずやで働いてもらえますけど、本音を言わせてもらえればラレアトにも来てほしい。クレアはあくまで<警備担当>ですし、事務処理ができるスタッフが欲しいんです。

本当に、悩ましいところです。



こうしてついに迎えた三日目。いよいよ<ゴヘノヘ祭>のクライマックス、

<対ゴヘノヘ用決戦兵器>と<ゴヘノヘ神輿>による、喧嘩神輿です。

実は、猪人ししじんらによるトーナメントは、これでそれぞれに搭乗して気勢を上げる役目を選出するためのものでもありました。

ブオゴは残念ながらそこでは準優勝であり、優勝者は、ダイガという名の、若手筆頭株の期待の新人でした。

ダイガは、ブオゴの従弟にあたる猪人ししじんで、幼い頃からブオゴだけでなく伍長の手ほどきを受けて、メキメキと力を付けてきた新世代の<戦士>でした。伝統的な猪人ししじんの戦い方に加え、伍長から学んだ<軍隊式格闘術>も身に付けているんです。そして今では、伍長ともほぼ互角という強さを。

伍長が猪人ししじんの集落に入り浸っていたのは、ダイガをはじめとした若い猪人ししじん達に新しい戦い方をレクチャーするためというのもあったようですね。

いやはや、そっち方面の情熱については頭が下がります。

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