280 / 404
第三部
自分が納得できる選択を
しおりを挟む
自分が気付かないうちに他人に迷惑を掛けているのなら、他人が意図せず掛ける迷惑についても受け止めるべきでしょう。でなければそれは、ただの<我儘>です。『自分が他人に掛ける迷惑は許され、他人が自分に掛ける迷惑は許さない』と考えるような人が社会で生きること自体が、<リスク>になるのですから。
今日は、会場内を歩いて見回るのではなく、ラレアトと一緒に舞台に腰を下ろして、そこから見渡します。ラレアトは、私の体にもたれかかっているだけでした。私も、触れている場所から伝わってくる彼女の体温や鼓動をゆったりと感じていました。
この世は、本当にままなりません。だから、何もかもが自分の思い通りに行くことが、何一つ自分にとって都合の悪いことが起こらない状態ことが、『それこそが<幸せ>というものだ』と考えていたら、幸せなどというものはこの世に存在しないということになります。
何もかもを手に入れて我が世の春を謳歌しているように見える人物さえ、様々な悪評や誹謗中傷や罵詈雑言に、実は曝されていたりもします。単に、本人の目に入らず耳に届かないだけでしょう。だから、たまにそれが目に入ったり耳に届いたりすると、猛然と怒り出したりする。それでもう、<幸せ>ではなくなっているじゃないですか。単に、<自分に都合の悪いもの>から目を逸らし耳を塞いでいただけですよね。
そこまででなくても、反発し反感を覚えている人もいて、衝突することだってある。
どうしてそういうことに目を瞑るんですか? 事故に遭うこともあるかもしれない。病気になるかもしれない。それらのリスクが存在する以上は、
『自分に何も都合の悪いことが起こらないのが幸せ』
なんていう理屈は成立しないんです。地球においては大変な歴史のある<名家>であった少佐のご実家<久利生家>でさえ、そこに生まれついた人達は自分で自分の人生を選ぶことさえできず、
『久利生家のために生きることこそが幸せだ』
と、もはや洗脳にも等しい<思い込み>で自らを律するしかない状態だったそうです。
私には、そんなものが幸せだとは思えません。と同時に、
『自分に与えられた状況の中でいかに<幸せ>を掴むか?』
という意味であれば、強烈な自己暗示で『自分は幸せだ』と思い込むしかないというのも一つの方法であるのは事実なんでしょう。
だとすれば、今、自分ができる選択の中で<小さな幸せ>を掴み、それで満足することも必要になってくるんじゃないですか? 名家と言われるような立派な家に生まれてもそれなのだとすれば。
今のラレアトも、<選択の自由>が限られている状態と言えるでしょう。だからこそ、自分が納得できる選択を行う必要があると思うんです。
今日は、会場内を歩いて見回るのではなく、ラレアトと一緒に舞台に腰を下ろして、そこから見渡します。ラレアトは、私の体にもたれかかっているだけでした。私も、触れている場所から伝わってくる彼女の体温や鼓動をゆったりと感じていました。
この世は、本当にままなりません。だから、何もかもが自分の思い通りに行くことが、何一つ自分にとって都合の悪いことが起こらない状態ことが、『それこそが<幸せ>というものだ』と考えていたら、幸せなどというものはこの世に存在しないということになります。
何もかもを手に入れて我が世の春を謳歌しているように見える人物さえ、様々な悪評や誹謗中傷や罵詈雑言に、実は曝されていたりもします。単に、本人の目に入らず耳に届かないだけでしょう。だから、たまにそれが目に入ったり耳に届いたりすると、猛然と怒り出したりする。それでもう、<幸せ>ではなくなっているじゃないですか。単に、<自分に都合の悪いもの>から目を逸らし耳を塞いでいただけですよね。
そこまででなくても、反発し反感を覚えている人もいて、衝突することだってある。
どうしてそういうことに目を瞑るんですか? 事故に遭うこともあるかもしれない。病気になるかもしれない。それらのリスクが存在する以上は、
『自分に何も都合の悪いことが起こらないのが幸せ』
なんていう理屈は成立しないんです。地球においては大変な歴史のある<名家>であった少佐のご実家<久利生家>でさえ、そこに生まれついた人達は自分で自分の人生を選ぶことさえできず、
『久利生家のために生きることこそが幸せだ』
と、もはや洗脳にも等しい<思い込み>で自らを律するしかない状態だったそうです。
私には、そんなものが幸せだとは思えません。と同時に、
『自分に与えられた状況の中でいかに<幸せ>を掴むか?』
という意味であれば、強烈な自己暗示で『自分は幸せだ』と思い込むしかないというのも一つの方法であるのは事実なんでしょう。
だとすれば、今、自分ができる選択の中で<小さな幸せ>を掴み、それで満足することも必要になってくるんじゃないですか? 名家と言われるような立派な家に生まれてもそれなのだとすれば。
今のラレアトも、<選択の自由>が限られている状態と言えるでしょう。だからこそ、自分が納得できる選択を行う必要があると思うんです。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
異世界坊主の成り上がり
峯松めだか(旧かぐつち)
ファンタジー
山歩き中の似非坊主が気が付いたら異世界に居た、放っておいても生き残る程度の生存能力の山男、どうやら坊主扱いで布教せよということらしい、そんなこと言うと坊主は皆死んだら異世界か?名前だけで和尚(おしょう)にされた山男の明日はどっちだ?
矢鱈と生物学的に細かいゴブリンの生態がウリです?
本編の方は無事完結したので、後はひたすら番外で肉付けしています。
タイトル変えてみました、
旧題異世界坊主のハーレム話
旧旧題ようこそ異世界 迷い混んだのは坊主でした
「坊主が死んだら異世界でした 仏の威光は異世界でも通用しますか? それはそうとして、ゴブリンの生態が色々エグいのですが…」
迷子な坊主のサバイバル生活 異世界で念仏は使えますか?「旧題・異世界坊主」
ヒロイン其の2のエリスのイメージが有る程度固まったので画像にしてみました、灯に関しては未だしっくり来ていないので・・未公開
因みに、新作も一応準備済みです、良かったら見てやって下さい。
少女は石と旅に出る
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893967766
SF風味なファンタジー、一応この異世界坊主とパラレル的にリンクします
少女は其れでも生き足掻く
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893670055
中世ヨーロッパファンタジー、独立してます
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――


家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
時々おまけのお話を更新しています。
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる