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第三部
彼女の力
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『これからもきっと、自分の思い通りにならないことはたくさんあると思う。生きるっていうのは、元々、そういうものだと思うんだ。その中でほんの一握り、自分の想いを叶えていくのが、<幸せ>ってものじゃないのかな』
私のその言葉が、ラレアトに届くかどうかは分かりません。でも、私はそう思っているということを伝えるのは大切なことです。『言わなくても分かる』というのは、幻想です。確かにそういう<阿吽の呼吸>を成立させている関係だってあるでしょう。だけどそれは誰もができることじゃないんです。どんな相手とでも成立するものじゃないんです。伝える努力をしなければ伝わらないこともある。
私達は軍人だからこそ、情報は確実に相手に届けることを心掛けます。『言わなくても分かる』『言わなくても察してくれる』。そんな<お花畑>な思考で軍事作戦なんて成立しません。事実、それで失敗した事例は無数にある。たまたま上手くいった事例で生き残った者達の<武勇伝>が脚色されてエンターテイメントに利用されているだけなんです。
少佐も私も、そんなことをあてにはしない。
それに伍長でさえ、ああ見えて、無茶なことをするのは自分がリスクを負う場合だけというのもあります。たぶん。
「……」
私の言葉に、ラレアトは応えませんでした。
明日、祭の準備は予定されていたすべてを終えます。祭の本番までには十分な猶予を持って。そして、祭本番は、三日間にわたって行われる。その最終日に、<対ゴヘノヘ用決戦兵器>と<ゴヘノヘ神輿>との、
<喧嘩神輿>
があります。それが今回の祭のクライマックス。
それまでの間も、私達は気を引き締めて準備を万端にしていく。
<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の方も、ゴヘノヘ戦でのダメージは修復されたものの、急造品だったことによる不具合は次々出てきて、徹底的なメンテナンスを行われていました。
でも、限られた時間内での無理な設計はいかんともしがたく、おそらく、今回の<喧嘩神輿>を最後にお役御免となるでしょう。そのために、改めて時間をかけて煮詰めた設計をすでに行っています。祭が終われば、今度は<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機>の建造に取り掛かることになります。
もし、ラレアトがよろずやで働くことが認められなかったとしても、そちらでまた、彼女の力は必要となってくるんです。
<よろずやで働くというラレアトの目標>
は達成できなかったとしても、それは彼女の存在に意味がないことを示すわけじゃない。
それもまた、事実なんです。
私のその言葉が、ラレアトに届くかどうかは分かりません。でも、私はそう思っているということを伝えるのは大切なことです。『言わなくても分かる』というのは、幻想です。確かにそういう<阿吽の呼吸>を成立させている関係だってあるでしょう。だけどそれは誰もができることじゃないんです。どんな相手とでも成立するものじゃないんです。伝える努力をしなければ伝わらないこともある。
私達は軍人だからこそ、情報は確実に相手に届けることを心掛けます。『言わなくても分かる』『言わなくても察してくれる』。そんな<お花畑>な思考で軍事作戦なんて成立しません。事実、それで失敗した事例は無数にある。たまたま上手くいった事例で生き残った者達の<武勇伝>が脚色されてエンターテイメントに利用されているだけなんです。
少佐も私も、そんなことをあてにはしない。
それに伍長でさえ、ああ見えて、無茶なことをするのは自分がリスクを負う場合だけというのもあります。たぶん。
「……」
私の言葉に、ラレアトは応えませんでした。
明日、祭の準備は予定されていたすべてを終えます。祭の本番までには十分な猶予を持って。そして、祭本番は、三日間にわたって行われる。その最終日に、<対ゴヘノヘ用決戦兵器>と<ゴヘノヘ神輿>との、
<喧嘩神輿>
があります。それが今回の祭のクライマックス。
それまでの間も、私達は気を引き締めて準備を万端にしていく。
<対ゴヘノヘ用決戦兵器>の方も、ゴヘノヘ戦でのダメージは修復されたものの、急造品だったことによる不具合は次々出てきて、徹底的なメンテナンスを行われていました。
でも、限られた時間内での無理な設計はいかんともしがたく、おそらく、今回の<喧嘩神輿>を最後にお役御免となるでしょう。そのために、改めて時間をかけて煮詰めた設計をすでに行っています。祭が終われば、今度は<対ゴヘノヘ用決戦兵器二号機>の建造に取り掛かることになります。
もし、ラレアトがよろずやで働くことが認められなかったとしても、そちらでまた、彼女の力は必要となってくるんです。
<よろずやで働くというラレアトの目標>
は達成できなかったとしても、それは彼女の存在に意味がないことを示すわけじゃない。
それもまた、事実なんです。
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