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第三部
ネルラ
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ネルラは、山猫人としては実に標準的な個体でした。ニャルソを相手に、
『あなたの子供が欲しい♡』
的なことを言ってましたけど、まあそれ自体は山猫人としては普通ですし。しかもなぜか山猫人には、割と言葉を流暢に話すのが多い傾向にあるんです。ネルラも、その一人。
「ビアンカハ、ドウシテ、ニャルソヲ、コバムノ?」
発音自体はやや片言ですが、話し方はかなりスムーズです。
「どうして、と、言われても、私は少佐一筋ですから」
私は、正直にそう応えさせてもらいました。するとネルラは、
「ソウネ、タシカニ、トーイハ、ミリョクテキネ。デモ、イイオスハ、トーイダケジャナイ。ホカノオスモ、タメシテミナイト、ホントノヨサハ、ワカラナイト、オモウケド?」
何とも艶めかしい表情でそう言ってきました。そんな彼女の言葉を聞いているうちに、私の方が慣れてきたのか、
「私はね、今のところ、ニャルソが一番だと、思ってる。彼は素敵よ。顔もいい、頭もいい、餌を取るのも上手。雌に優しい。彼の何が気に入らないのか、私には分からない」
なんか、普通に聞き取れるようになってきました。だけど、言ってる内容は……
「ネルラにとってニャルソが魅力的なのは、きっとそうなんだと思う。それは否定しない。だけど私は、山猫人じゃない。山猫人の感覚は私にはないの」
きっぱりと言わせてもらいます。それに対してネルラは、
「ふ~ん? あなた達って、変わってるよね。だけど、私達のことを嫌ってるわけ、じゃないのは、分かる。だから私も、あなた達を、嫌わない。でも、やっぱり、分からないな」
頭を横に振りながら肩を竦めます。こういう仕草は、地球人に似てるんですけどね。
そんな私とネルラのやり取りを、フロイが困ったような様子で見ていました。無理もありません。他人がこうやって言い合っているのを見ているのは気分のいいものでもないでしょうし。
そこに、
「ビアンカは、トーイが好きなの。ニャルソは好きじゃないの。それだけ。なにも変じゃない!」
唐突に参加してきたのは、メイミィでした。すると、ネルラは、
「ふ~ん? メイミィ、だっけ? あなた、まだパートナーを、見付けて、ないんでしょ? どうして?」
矛先をメイミィに変えてきました。するとメイミィも、
「どうしてって、私はビアンカが好きだから……!」
きっぱりと言い返します。
「はは……」
『私はビアンカが好きだから』という彼女の言葉のニュアンスは、完全に私が少佐のことを好きと言ってる時のそれだというのは分かりました。彼女は私のことを、そういう意味で好きだと言ってくれてるんです。
『あなたの子供が欲しい♡』
的なことを言ってましたけど、まあそれ自体は山猫人としては普通ですし。しかもなぜか山猫人には、割と言葉を流暢に話すのが多い傾向にあるんです。ネルラも、その一人。
「ビアンカハ、ドウシテ、ニャルソヲ、コバムノ?」
発音自体はやや片言ですが、話し方はかなりスムーズです。
「どうして、と、言われても、私は少佐一筋ですから」
私は、正直にそう応えさせてもらいました。するとネルラは、
「ソウネ、タシカニ、トーイハ、ミリョクテキネ。デモ、イイオスハ、トーイダケジャナイ。ホカノオスモ、タメシテミナイト、ホントノヨサハ、ワカラナイト、オモウケド?」
何とも艶めかしい表情でそう言ってきました。そんな彼女の言葉を聞いているうちに、私の方が慣れてきたのか、
「私はね、今のところ、ニャルソが一番だと、思ってる。彼は素敵よ。顔もいい、頭もいい、餌を取るのも上手。雌に優しい。彼の何が気に入らないのか、私には分からない」
なんか、普通に聞き取れるようになってきました。だけど、言ってる内容は……
「ネルラにとってニャルソが魅力的なのは、きっとそうなんだと思う。それは否定しない。だけど私は、山猫人じゃない。山猫人の感覚は私にはないの」
きっぱりと言わせてもらいます。それに対してネルラは、
「ふ~ん? あなた達って、変わってるよね。だけど、私達のことを嫌ってるわけ、じゃないのは、分かる。だから私も、あなた達を、嫌わない。でも、やっぱり、分からないな」
頭を横に振りながら肩を竦めます。こういう仕草は、地球人に似てるんですけどね。
そんな私とネルラのやり取りを、フロイが困ったような様子で見ていました。無理もありません。他人がこうやって言い合っているのを見ているのは気分のいいものでもないでしょうし。
そこに、
「ビアンカは、トーイが好きなの。ニャルソは好きじゃないの。それだけ。なにも変じゃない!」
唐突に参加してきたのは、メイミィでした。すると、ネルラは、
「ふ~ん? メイミィ、だっけ? あなた、まだパートナーを、見付けて、ないんでしょ? どうして?」
矛先をメイミィに変えてきました。するとメイミィも、
「どうしてって、私はビアンカが好きだから……!」
きっぱりと言い返します。
「はは……」
『私はビアンカが好きだから』という彼女の言葉のニュアンスは、完全に私が少佐のことを好きと言ってる時のそれだというのは分かりました。彼女は私のことを、そういう意味で好きだと言ってくれてるんです。
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