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第三部
子供は<親の所有物>であり<産業動物>
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地球では長らく、親が絶対の権力者だった時期がありました。その<常識>の下では、子供は<親の所有物>であり、<産業動物>と同じ扱いでした。親の都合でどうにでもできる存在だったんです。
ですがそれは、
『子供を人間として扱わない』
ということ以外の何ものでもありません。けれど、もし、子供を<親の所有物><産業動物>だとするなら、それを生んだ親自身が<物>であり<産業動物>であるということに他なりません。人間は、<物>を生みませんし、<産業動物>も生まないんですから。
人間から生まれるのは<人間>です。その当たり前のことを地球人は長らく認めてこなかった。だから、
<非出生主義>
なるものが生まれてしまった。
『<親の所有物>として、<産業動物>として、当人の承諾もなくこの世に生み出すことを拒絶する』
ことが、その主義の根幹にあるそうです。
無理もありません。自分は人間から生まれた人間なのに、<親の所有物><産業動物>として、親の支配下に置かれるなど、私だって納得できませんでした。
だから、
『人間から生まれた子供も<人間>である』
と、法律に明記されるようになったんです。親に<人権>があるのなら、当然、子供にだって<人権>があるとして。
二十世紀から二十一世紀にかけて生まれたその<概念>でしたが、当初は、<親>からの激しい反発があったと聞きます。それまでは自分の<所有物>であり、<産業動物>として、労働力や商品にできていたものが、自由にできなくなったのですから、無理もなかったんでしょう。
しかし、物理的に厳然たる事実として、
『人間は人間以外のものを生まない』
のですから、<親の所有物>や<産業動物>として扱うということの方が、間違っているんです。人間が生んだそれを<物>とみなすのは、ただの<オカルト>です。
けれど、三十七世紀、三十八世紀になってもなお、
『子供は親の所有物だ』
『親は子供を自分の思うままに扱っていい』
という考えは完全には消えず、それに伴って<非出生主義>もまた、残り続けていることも、事実ではあります。
でも、少なくとも私は、自分の子供を自分の<所有物>だとは思いませんし、ましてや<産業動物>として扱うつもりなんかありません。だから、どんな世界であっても、私は、自分の子供を人間として扱い、共に力を合わせて<世界>の中で生きていく仲間として受け止める覚悟があります。
むしろ、それなくして子供を生むなんて、なるほどただの暴挙でしょうね。
ですがそれは、
『子供を人間として扱わない』
ということ以外の何ものでもありません。けれど、もし、子供を<親の所有物><産業動物>だとするなら、それを生んだ親自身が<物>であり<産業動物>であるということに他なりません。人間は、<物>を生みませんし、<産業動物>も生まないんですから。
人間から生まれるのは<人間>です。その当たり前のことを地球人は長らく認めてこなかった。だから、
<非出生主義>
なるものが生まれてしまった。
『<親の所有物>として、<産業動物>として、当人の承諾もなくこの世に生み出すことを拒絶する』
ことが、その主義の根幹にあるそうです。
無理もありません。自分は人間から生まれた人間なのに、<親の所有物><産業動物>として、親の支配下に置かれるなど、私だって納得できませんでした。
だから、
『人間から生まれた子供も<人間>である』
と、法律に明記されるようになったんです。親に<人権>があるのなら、当然、子供にだって<人権>があるとして。
二十世紀から二十一世紀にかけて生まれたその<概念>でしたが、当初は、<親>からの激しい反発があったと聞きます。それまでは自分の<所有物>であり、<産業動物>として、労働力や商品にできていたものが、自由にできなくなったのですから、無理もなかったんでしょう。
しかし、物理的に厳然たる事実として、
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のですから、<親の所有物>や<産業動物>として扱うということの方が、間違っているんです。人間が生んだそれを<物>とみなすのは、ただの<オカルト>です。
けれど、三十七世紀、三十八世紀になってもなお、
『子供は親の所有物だ』
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という考えは完全には消えず、それに伴って<非出生主義>もまた、残り続けていることも、事実ではあります。
でも、少なくとも私は、自分の子供を自分の<所有物>だとは思いませんし、ましてや<産業動物>として扱うつもりなんかありません。だから、どんな世界であっても、私は、自分の子供を人間として扱い、共に力を合わせて<世界>の中で生きていく仲間として受け止める覚悟があります。
むしろ、それなくして子供を生むなんて、なるほどただの暴挙でしょうね。
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