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第三部
一方的な愛
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こうして、クラウドファインディングで資金を募ってスペースコロニーを建造し自分達の理想の世界を築き上げようとした彼らの目論見は僅か数年で破綻。最低限のAIやロボットを導入し堅実な運営を目指すべきだと方針転換したグループと、
『今はまだ苦しいが、ここを乗り切ればノウハウも蓄積されて対処できるようになる!』
などと言って強硬に自分達の理念に拘泥するグループとに分裂して対立、やがてそれは武力闘争へと発展し、スペースコロニー内で血で血を洗う泥沼の惨劇を招き、ついには総合政府の強制介入によって鎮圧されたという。
なのに、事ここに至っても彼らは、
『これは、AI推進派による工作だ!』
と唱えて、なんと対立していたグループ同士が再度結束、その後も活動を続けたそうです。<共通の敵>、つまり総合政府の存在が彼らを後押ししたと。
もっとも、数百人規模の死者を出す衝突の舞台となったスペースコロニーは総合政府によって封鎖されたため、今度は、
『惑星を開拓し、今度こそ理想を実現しよう』
という形になったそうですが。
いやはや、ここまでくるともはやホラーですね。
そして彼らの理念を受け継ぐ人達によって、植民惑星にもそれぞれコミュニティが作られはしたもののどれも長続きせず、崩壊してはまた新たに誕生するを繰り返しているとのこと。
とは言え、
<AIやロボットを否定する人間達のみで開発された惑星>
なるものはいまだ存在していませんが。計画だけは何度も立ち上がるものの、資金や技術的な壁が立ちはだかり、毎回頓挫しているそうです。
この事例からも、
<自分達にとってのみ都合のいい社会>
なんてものは成立しないのだというのが分かります。だから私達も、自分達の理念や理想だけを押し付けることはしないんです。
ここは獣人達の世界であり、私達はそこに間借りして暮らしているだけの<居候>に過ぎないのだと、わきまえなければいけない。
だからこそ、こうして良好な関係が築けている。
築けているんですが、
「ビアンカ~♡ 僕と楽しいひとときを過ごそうよ~♡」
ニャルソがくねくねと体をくねらせて鼻にかかった甘い声でモーションを掛けてくるのだけは、断固お断り!
「なんど誘われても私はあなたの気持ちには応えられません! お断りです!」
「ソウダソウダ!」
「帰れニャルソ!」
ラレアトとメイミィが私を守るようにしがみついて、ニャルソを睨み付けます。
「つれないなあ、僕はこんなに君を愛しているのに」
だからその一方的な愛(じゃなくてただの性欲ですよね!?)はお断りだと言ってるんです!
『今はまだ苦しいが、ここを乗り切ればノウハウも蓄積されて対処できるようになる!』
などと言って強硬に自分達の理念に拘泥するグループとに分裂して対立、やがてそれは武力闘争へと発展し、スペースコロニー内で血で血を洗う泥沼の惨劇を招き、ついには総合政府の強制介入によって鎮圧されたという。
なのに、事ここに至っても彼らは、
『これは、AI推進派による工作だ!』
と唱えて、なんと対立していたグループ同士が再度結束、その後も活動を続けたそうです。<共通の敵>、つまり総合政府の存在が彼らを後押ししたと。
もっとも、数百人規模の死者を出す衝突の舞台となったスペースコロニーは総合政府によって封鎖されたため、今度は、
『惑星を開拓し、今度こそ理想を実現しよう』
という形になったそうですが。
いやはや、ここまでくるともはやホラーですね。
そして彼らの理念を受け継ぐ人達によって、植民惑星にもそれぞれコミュニティが作られはしたもののどれも長続きせず、崩壊してはまた新たに誕生するを繰り返しているとのこと。
とは言え、
<AIやロボットを否定する人間達のみで開発された惑星>
なるものはいまだ存在していませんが。計画だけは何度も立ち上がるものの、資金や技術的な壁が立ちはだかり、毎回頓挫しているそうです。
この事例からも、
<自分達にとってのみ都合のいい社会>
なんてものは成立しないのだというのが分かります。だから私達も、自分達の理念や理想だけを押し付けることはしないんです。
ここは獣人達の世界であり、私達はそこに間借りして暮らしているだけの<居候>に過ぎないのだと、わきまえなければいけない。
だからこそ、こうして良好な関係が築けている。
築けているんですが、
「ビアンカ~♡ 僕と楽しいひとときを過ごそうよ~♡」
ニャルソがくねくねと体をくねらせて鼻にかかった甘い声でモーションを掛けてくるのだけは、断固お断り!
「なんど誘われても私はあなたの気持ちには応えられません! お断りです!」
「ソウダソウダ!」
「帰れニャルソ!」
ラレアトとメイミィが私を守るようにしがみついて、ニャルソを睨み付けます。
「つれないなあ、僕はこんなに君を愛しているのに」
だからその一方的な愛(じゃなくてただの性欲ですよね!?)はお断りだと言ってるんです!
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