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第二部
差別に抗議する正義
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他にも、
『ある国で、差別を受けていた側の少年が強盗事件を起こし、差別していた側に属していた警官に射殺されたことをきっかけに、『差別意識があったから射殺したんだ!!』と抗議の声が上がり、それがやがて<暴動>へと発展した』
という事例もあったといいます。
今でこそ、<住み分け>が徹底されていることで<人種>や<宗教>を理由とした差別は和らいでいるそうですが、かつては、
<差別に抗議する正義>
を掲げて暴動を行ったり、その暴動を擁護したり支援したりというということさえあったとも。
それを行っている人達も、
『正義は自分達にこそある!!』
と考えていたからこそそれを行っていたんですよね?
差別を受けていた事実は確かに残念なことだと思います。ですが、だからと言って<暴動>を起こし、同じ<差別を受けていた側の人間>でありながらも暴動について非難し冷静な対応を求めた人に集団で暴行を加え殺害したということさえあった事実は正当化されるべきではないでしょう。
これのどこが<正義>なのですか?
かように、<正義>と称すれば何でもできてしまうのも、人間、地球人であったことも事実のはずです。
これらのことも、
『<理由があれば人を殺してもいいという免罪符>を否定する』
ことによって、正当性が失われたんです。
そもそも、その暴動のきっかけとなった<警官による射殺>についても、起きなかった可能性があるでしょう。
ただ、当時は、今のようにロボットが発展していなかったそうですから、相手が容赦なく自分を攻撃したり第三者を害そうとしていて、
『緊急避難として発砲するしかなかった』
という事例もあったのは分かります。この辺りの詳細な状況についてはそれぞれの事例により異なっているでしょうから、ひとまとめにして是非を語るのが適切ではないのも分かります。
その点、現在では、必ずロボットを随伴させて、容疑者の攻撃を受け止めるので、『いきなり射殺する』必要がなくなったという背景がある。だからこそ、
『<問答無用で射殺するという行為>を禁止する』
こともできる。
その辺りの大前提が違っているために、当時の警察の対応そのものについても、私は表立って非難するつもりもありません。
ですが、今現在、私達軍人は、<正義の味方>ではないというのもまた事実。自分が属する国や組織の<命令>とあれば、相手がたとえ誰であろうと銃口を向けて引き金を引く存在であって、それは<正義の行い>ではない。あくまで、
<人命救助のための緊急避難>
であり、<正義>ではないのです。
『ある国で、差別を受けていた側の少年が強盗事件を起こし、差別していた側に属していた警官に射殺されたことをきっかけに、『差別意識があったから射殺したんだ!!』と抗議の声が上がり、それがやがて<暴動>へと発展した』
という事例もあったといいます。
今でこそ、<住み分け>が徹底されていることで<人種>や<宗教>を理由とした差別は和らいでいるそうですが、かつては、
<差別に抗議する正義>
を掲げて暴動を行ったり、その暴動を擁護したり支援したりというということさえあったとも。
それを行っている人達も、
『正義は自分達にこそある!!』
と考えていたからこそそれを行っていたんですよね?
差別を受けていた事実は確かに残念なことだと思います。ですが、だからと言って<暴動>を起こし、同じ<差別を受けていた側の人間>でありながらも暴動について非難し冷静な対応を求めた人に集団で暴行を加え殺害したということさえあった事実は正当化されるべきではないでしょう。
これのどこが<正義>なのですか?
かように、<正義>と称すれば何でもできてしまうのも、人間、地球人であったことも事実のはずです。
これらのことも、
『<理由があれば人を殺してもいいという免罪符>を否定する』
ことによって、正当性が失われたんです。
そもそも、その暴動のきっかけとなった<警官による射殺>についても、起きなかった可能性があるでしょう。
ただ、当時は、今のようにロボットが発展していなかったそうですから、相手が容赦なく自分を攻撃したり第三者を害そうとしていて、
『緊急避難として発砲するしかなかった』
という事例もあったのは分かります。この辺りの詳細な状況についてはそれぞれの事例により異なっているでしょうから、ひとまとめにして是非を語るのが適切ではないのも分かります。
その点、現在では、必ずロボットを随伴させて、容疑者の攻撃を受け止めるので、『いきなり射殺する』必要がなくなったという背景がある。だからこそ、
『<問答無用で射殺するという行為>を禁止する』
こともできる。
その辺りの大前提が違っているために、当時の警察の対応そのものについても、私は表立って非難するつもりもありません。
ですが、今現在、私達軍人は、<正義の味方>ではないというのもまた事実。自分が属する国や組織の<命令>とあれば、相手がたとえ誰であろうと銃口を向けて引き金を引く存在であって、それは<正義の行い>ではない。あくまで、
<人命救助のための緊急避難>
であり、<正義>ではないのです。
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