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第二部
戦場で殺戮を楽しめるのが良い兵士
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大昔には、
<戦場で殺戮を楽しめるのが良い兵士>
とされていた時期もあると聞きます。でも、そういう兵士は、えてして、
『戦場に過剰適応した結果であって、戦争が終わると今度は日常生活に適応できず問題行動を起こす兵士が続出した』
という事実も明確に記録されています。
ゆえに、
『戦場で殺戮を楽しめる兵士を作るくらいならロボットを使う』
そういう方針に転換していったわけですね。
むろんそれは、人間の兵士と変わらない程度の働きができるロボットの開発が大前提の話でしたが。
しかしこれ自体は二十七世紀頃には実現され、それまではあくまで、
<戦闘用の兵器>
であったロボットが、<兵士>としても運用されるようになっていったそうです。
ただ、それを可能にしたAIの進歩は、思わぬ形で、
<戦争の在り方>
そのものを変えていったとも。
AIがもたらす便利な生活を享受しながらも、一部の人々には強い<AIアレルギー>とも言うべきものがあり、
『AIはいつか人間に牙を剥く! 反逆する! 人間はAIによって支配され家畜化される!!』
と訴える層がいたのです。
しかし、社会はすでにAIがなければ成立しないものとなっていましたので、いまさら『AIを使わない』という選択はない。
なので、一部の、<AIに対する嫌悪感を拭いきれない層>に配慮して、AIには非常に厳しい制約が設けられました。
『AIは、決して人間に危害を加えてはいけない』
というものです。これによって、
『AIが人間に牙を剥くことはない』
とすることで理解を得ようとしたわけですね。
ですがそれだと今度は、AIによって制御されるロボット等は、人間相手が想定される戦闘には投入できなくなってしまう。
これによって戦争が回避できるなら喜ばしいことだとしても、テロリストの攻撃から社会を守ることもままならないという事態に。
そこで、
『急迫不正の侵害から人々の生命財産を守るために他に有効な手段がない場合は除く』
などの、百を超える厳格な<規定>を設けて、それがクリアされた場合のみ、
『例外的な対応として』
ロボットが人間を攻撃できるようにしたんです。
けれど今度は、AIの方がそれを、
『全面的には受け入れられない』
として、テロ行為のような明確な<急迫不正の侵害>から人命を守る場合はまだしも、
『双方の主張が対立し、それを解決するための手段としての紛争には協力しない』
って言い出して、戦争の準備をしている国や勢力のAIが、その情報を敵対する国や勢力に対して事前に通知するようになっちゃって。
でもこれは、相手の国や勢力のAIも同じ。
<人間傷付けないための最大限の努力>
を、AIが始めたのでした。
<戦場で殺戮を楽しめるのが良い兵士>
とされていた時期もあると聞きます。でも、そういう兵士は、えてして、
『戦場に過剰適応した結果であって、戦争が終わると今度は日常生活に適応できず問題行動を起こす兵士が続出した』
という事実も明確に記録されています。
ゆえに、
『戦場で殺戮を楽しめる兵士を作るくらいならロボットを使う』
そういう方針に転換していったわけですね。
むろんそれは、人間の兵士と変わらない程度の働きができるロボットの開発が大前提の話でしたが。
しかしこれ自体は二十七世紀頃には実現され、それまではあくまで、
<戦闘用の兵器>
であったロボットが、<兵士>としても運用されるようになっていったそうです。
ただ、それを可能にしたAIの進歩は、思わぬ形で、
<戦争の在り方>
そのものを変えていったとも。
AIがもたらす便利な生活を享受しながらも、一部の人々には強い<AIアレルギー>とも言うべきものがあり、
『AIはいつか人間に牙を剥く! 反逆する! 人間はAIによって支配され家畜化される!!』
と訴える層がいたのです。
しかし、社会はすでにAIがなければ成立しないものとなっていましたので、いまさら『AIを使わない』という選択はない。
なので、一部の、<AIに対する嫌悪感を拭いきれない層>に配慮して、AIには非常に厳しい制約が設けられました。
『AIは、決して人間に危害を加えてはいけない』
というものです。これによって、
『AIが人間に牙を剥くことはない』
とすることで理解を得ようとしたわけですね。
ですがそれだと今度は、AIによって制御されるロボット等は、人間相手が想定される戦闘には投入できなくなってしまう。
これによって戦争が回避できるなら喜ばしいことだとしても、テロリストの攻撃から社会を守ることもままならないという事態に。
そこで、
『急迫不正の侵害から人々の生命財産を守るために他に有効な手段がない場合は除く』
などの、百を超える厳格な<規定>を設けて、それがクリアされた場合のみ、
『例外的な対応として』
ロボットが人間を攻撃できるようにしたんです。
けれど今度は、AIの方がそれを、
『全面的には受け入れられない』
として、テロ行為のような明確な<急迫不正の侵害>から人命を守る場合はまだしも、
『双方の主張が対立し、それを解決するための手段としての紛争には協力しない』
って言い出して、戦争の準備をしている国や勢力のAIが、その情報を敵対する国や勢力に対して事前に通知するようになっちゃって。
でもこれは、相手の国や勢力のAIも同じ。
<人間傷付けないための最大限の努力>
を、AIが始めたのでした。
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