獣人のよろずやさん

京衛武百十

文字の大きさ
上 下
142 / 404
第二部

自分のミスや過ちを省みられない人に

しおりを挟む
世の中には、相手を怒鳴って威嚇して、時には暴力を振るって従わせることこそが正しいと考える方もいますが、本気でそれがそれが正しいと思ってるのでしょうか? 自分がそれをされて嬉しいのでしょうか?

パワハラ上司から受けるストレスを解消するためにわざわざ給料の中から代金を払って酒を飲み、あまつさえ泥酔して道端に嘔吐したり他人に迷惑を掛けたり、そんな社会が本当に正しいのですか?

ここでも飲酒の習慣はありますが、概ね、楽しげに飲んでいますよね。お酒を飲むにしても、そういう形で楽しめる方がいいと思いませんか?

ここはまだ、そういう形で楽しいお酒を楽しめる世界なんです。それを、わざわざ仕事で得た給料で仕事のストレスを解消するなどというマッチポンプをしなければならないような社会にするというのは、<悪>ではありませんか?

私達は、ここにかつての地球人の悪しき習慣を再現するつもりはないんです。

だから、怒鳴って殴って従属を求めるようなことは推奨しません。

それだけの話です。

伍長がブオゴ達とやってることは、ただの<レクリエーション>。相手を服従させることが目的ではないんです。

というのは私も分かってるんですが、やっぱりああいうのは苦手です。クレアやトームやフロイは怖がってますし。

さりとて、あれ自体が猪人ししじん達にとってのレクリエーションでもあるので、それを私達が強引にやめさせるというのも違うのでしょう。

何より、猪人ししじん達は暴力で他の獣人達を迫害してるわけでもありません。

かつては鼠人そじん達や兎人とじん達を捕食していたのも、あくまで生きるために必要だったというだけのこと。それを責めるつもりもない。

私達にそれを責める資格もありません。

それを改めて胸に刻みつつ、私はゆったりとお風呂で寛ぎました。明日以降も、するべきことは山ほどあります。

それに備えて心と体を休めるのも、立派な役目。必要な時に必要なパフォーマンスを発揮できないでは意味がありません。

少佐もそれを徹底しています。だからこそ信頼できる。

そこに、

「おい! ビア樽! あとどれくらい掛かる?」

デリカシーの欠片もない伍長の声。

「もうすぐ上がります!」

ついそう声を上げてしまいましたが、本当は好ましくはないんですよね。ただ、これも結局はレクリエーションみたいなものなので、あまり四角四面に捉える必要もないのでしょう。大事なのは、正当化しないこと。

自分のミスや過ちを省みられない人に冷静な判断ができるはずもありませんから。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

社会では変人な俺は仙人見習い

tukumo
ファンタジー
仙人それはあらゆる縛りを捨てた存在。  生物に存在する寿命を取り払り、ほぼ年を取る事も無く長い時を生きる存在。  人の俗世に嫌気がさし、人との関わりを断ち、山の頂、秘境へと閉じ籠りし存在。  生物の持つ欲求を捨て去り、生命としてより高みへと昇らんとする存在。  仙術を用いて超常の現象を引き起こす存在‥。 なんて御託並べてみたものの、仙人は半分人間性は残しているし。 道徳は耳にタコができるくらい身に付けないと外道に墜ちちゃうから。 仙人見習いである山村八仙は今日もマイペースに修行に明け暮れていた。 そんなゆっくりな仙人を目指し、長寿を目指す現代社会には理解できない彼の変わった日常とは!?

【完結】私のためを思って? 勘違い女!二度とそのツラ見せんなっ!

BBやっこ
恋愛
友達だ、親友だと都合の良いようにとる困った女付き合いがあった。近所なのだ。 行動力が行きすぎる時もあるものの、基本いい子なはず。ワザとじゃないんだろうけど、困ることもしばしば。そして、事件は唐突に。 暴露である。犯人、確保。品物は返却、勝手に売った金額も相手にそのまま返される。 めでたしなのか?まあそうなのだろう。

【コミカライズ決定】婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です

灰銀猫
恋愛
両親と妹にはいない者として扱われながらも、王子の婚約者の肩書のお陰で何とか暮らしていたアレクシア。 顔だけの婚約者を実妹に奪われ、顔も性格も醜いと噂の辺境伯との結婚を命じられる。 辺境に追いやられ、婚約者からは白い結婚を打診されるも、婚約も結婚もこりごりと思っていたアレクシアには好都合で、しかも婚約者の義父は初恋の相手だった。 王都にいた時よりも好待遇で意外にも快適な日々を送る事に…でも、厄介事は向こうからやってきて… 婚約破棄物を書いてみたくなったので、書いてみました。 ありがちな内容ですが、よろしくお願いします。 設定は緩いしご都合主義です。難しく考えずにお読みいただけると嬉しいです。 他サイトでも掲載しています。 コミカライズ決定しました。申し訳ございませんが配信開始後は削除いたします。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

緑の魔法と香りの使い手

兎希メグ/megu
ファンタジー
ハーブが大好きな女子大生が、ある日ハーブを手入れしていたら、不幸な事に死亡してしまい異世界に転生。 特典はハーブを使った癒しの魔法。 転生した世界は何と、弱肉強食の恐ろしい世界。でも優しい女神様のおかげでチュートリアル的森で、懐いた可愛い子狼と一緒にしっかり準備して。 とりあえず美味しいスイーツとハーブ料理を振る舞い、笑顔を増やそうと思います。 皆様のおかげで小説2巻まで、漫画版もアルファポリス公式漫画で連載中です。 9月29日に漫画1巻発売になります! まめぞう先生による素敵な漫画がまとめて読めますので、よろしくお願いします!

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

処理中です...