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第二部
敵ではない者
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以前にも言いましたが、人間は、人間として存在する限り避けようがない矛盾や齟齬について、ロボットを進歩させることで解消してきました。
LGBTや非婚者の問題ではどうしても付きまとう、
『子供を持たない選択をした者を、他人の子供が支える』
という不公平感についても、メイトギアをはじめとしたロボットが肩代わりすることで軋轢を緩和してきたのです。
介護問題については、それこそメイトギアが実用化されて早々に劇的に改善されたそうですし。
私達が生きていた当時は、再生医療や遺伝子治療も発展したことで身体的なハンデについてはほとんど意識する必要もなくなりましたが、それらがまだ十分でなかった頃でも、ロボットが身体的なハンデをかかえた方々をフォローすることで、多くの問題が解消されたといいます。
残念ながらここにはそれができるロボットはないものの、それでも適切な対処法を確立することでレミニィのような事情をかかえた方とその周囲の方々の負担を減らすことはできるでしょう。
『面倒臭い』
『やりたくない』
ではなく、やるんです。
それはいずれ、自分に返ってくるのですから。
はっきりと目に見える<事情>をかかえた方さえ気遣えなくて、どうして、他人からは分かりにくい<事情>をかかえた方まで気遣ってもらえると思えるんですか?
上手く言葉にできない不平不満や不安感や閉塞感を重荷に感じていることを気遣ってもらえると思うのですか?
明らかに目に見える<事情>について気遣うことが当たり前になってようやく、
<他人からは分かりにくい、目に見えにくい事情>
に光が当てられるようになるとは思えませんか? 実際、歴史の流れはそうだったんです。
目に見える事情をかかえた方々をロボットが支えることが当たり前になってようやく、<他人からは分かりにくい、目に見えにくい事情をかかえた方々>にも対応できるようになっていったんです。
はっきりと目に見えないことについては、どうしても対処が難しくなりますからね。
レミニィの事例は、<ホコの実>を適切に使用することで大きく改善できますから、むしろ対処しやすいものに属するでしょう。
いわば、
『テストケースに適している』
とさえ言えるかもしれません。
<敵>とあらばたとえ子供が相手でも引き金を引かなければいけない私達だからこそ、<敵ではない者>については可能な限り支えたいのです。
それを忘れては、惑星さえ破壊できるだけの力を持つに至った人間は、自身にとって都合の悪い相手を力尽くで排除しようとするでしょう。
事実、破滅一歩手前まで緊張が高まったことも何度もあったと歴史にはあります。
その事実が分かっているのですから、先人達の失敗を繰り返したくないのです。
LGBTや非婚者の問題ではどうしても付きまとう、
『子供を持たない選択をした者を、他人の子供が支える』
という不公平感についても、メイトギアをはじめとしたロボットが肩代わりすることで軋轢を緩和してきたのです。
介護問題については、それこそメイトギアが実用化されて早々に劇的に改善されたそうですし。
私達が生きていた当時は、再生医療や遺伝子治療も発展したことで身体的なハンデについてはほとんど意識する必要もなくなりましたが、それらがまだ十分でなかった頃でも、ロボットが身体的なハンデをかかえた方々をフォローすることで、多くの問題が解消されたといいます。
残念ながらここにはそれができるロボットはないものの、それでも適切な対処法を確立することでレミニィのような事情をかかえた方とその周囲の方々の負担を減らすことはできるでしょう。
『面倒臭い』
『やりたくない』
ではなく、やるんです。
それはいずれ、自分に返ってくるのですから。
はっきりと目に見える<事情>をかかえた方さえ気遣えなくて、どうして、他人からは分かりにくい<事情>をかかえた方まで気遣ってもらえると思えるんですか?
上手く言葉にできない不平不満や不安感や閉塞感を重荷に感じていることを気遣ってもらえると思うのですか?
明らかに目に見える<事情>について気遣うことが当たり前になってようやく、
<他人からは分かりにくい、目に見えにくい事情>
に光が当てられるようになるとは思えませんか? 実際、歴史の流れはそうだったんです。
目に見える事情をかかえた方々をロボットが支えることが当たり前になってようやく、<他人からは分かりにくい、目に見えにくい事情をかかえた方々>にも対応できるようになっていったんです。
はっきりと目に見えないことについては、どうしても対処が難しくなりますからね。
レミニィの事例は、<ホコの実>を適切に使用することで大きく改善できますから、むしろ対処しやすいものに属するでしょう。
いわば、
『テストケースに適している』
とさえ言えるかもしれません。
<敵>とあらばたとえ子供が相手でも引き金を引かなければいけない私達だからこそ、<敵ではない者>については可能な限り支えたいのです。
それを忘れては、惑星さえ破壊できるだけの力を持つに至った人間は、自身にとって都合の悪い相手を力尽くで排除しようとするでしょう。
事実、破滅一歩手前まで緊張が高まったことも何度もあったと歴史にはあります。
その事実が分かっているのですから、先人達の失敗を繰り返したくないのです。
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