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第二部
職人タセルイ
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兎人達は、基本的に女系家族です。
とは言え、あくまで『基本的に』であって、実は<実力主義>でもあります。
ただ、兎人は雌の方が体が大きく力も強い傾向にあり、結果として雌が上位に来るのが普通なのですが。
なのでルッセンが棟梁に選ばれるのも自然なことと言えるでしょう。
また、雄雌比が一対四と、圧倒的に雌の方が多いので、そういう意味でも女性上位なのは当然でしょうか。
一人の雄が複数の雌と子を成すことになるので一見するといわゆる<ハーレム>のようにも思えますがその実態は、
『複数の雌が一人の雄を共有している』
と言った方が正確でしょうね。
なお、こちらもですが、もう一方の、ラレアトが属している兎人の集落も、<長>は現在、雄が務めています。
これはたまたまというのもあるんですが、雄の方か短命である傾向はあるものの、ある程度まで生き延びると今度は雄の方が長生きする傾向もあるそうなので、長く生きて知恵を貯えた者を<長>に選ぶ時には、雄が選ばれることも少なくないと。
実に独特な習性ですね。
そんな兎人達の仕事は、鼠人達と同じく現時点では木材の切り出しです。ただ、鼠人に比べるとやはりペースは高くありません。
もっとも、これはあくまで、鼠人達のバックアップとしてのものでしかなく、兎人達に本来お願いしたいのは、<穴掘り>ですね。柱などを立てる際の穴を掘っていただくのが主です。ただ、まだその段階に至っていないので木材の切り出しを行っていただいてるわけです。
現在の作業場では、十数人の兎人の<職人>が木材の切り出しと成形を行っています。
それと同時に、やはり<道路>の拡張ですね。
手順は鼠人達が行っているものとまったく同じ。
しかしルッセン達には、穴掘りの技術を応用し地面を均して道路としての使い勝手を上げてもらう部分も担当してもらう予定です。
実際、一部の職人にはすでにそのための予行演習も始めてもらっています。
今日は、それの確認も目的でした。
「タセルイ、どう? 上手くできそう?」
現在、道路整備を担当している職人のリーダーは、タセルイという名の雄です。
木材用に木を伐採した部分の地面を均す作業を行っている彼に尋ねると、
「モンダイナイ……」
ちょっとおどおどした感じだけど腕は確かな彼のその返事を受けて、私もその場で腰を下げてその先の地面を見ました。
すると確かに、肉眼では十分に平らになっているように見えたのでした。
とは言え、あくまで『基本的に』であって、実は<実力主義>でもあります。
ただ、兎人は雌の方が体が大きく力も強い傾向にあり、結果として雌が上位に来るのが普通なのですが。
なのでルッセンが棟梁に選ばれるのも自然なことと言えるでしょう。
また、雄雌比が一対四と、圧倒的に雌の方が多いので、そういう意味でも女性上位なのは当然でしょうか。
一人の雄が複数の雌と子を成すことになるので一見するといわゆる<ハーレム>のようにも思えますがその実態は、
『複数の雌が一人の雄を共有している』
と言った方が正確でしょうね。
なお、こちらもですが、もう一方の、ラレアトが属している兎人の集落も、<長>は現在、雄が務めています。
これはたまたまというのもあるんですが、雄の方か短命である傾向はあるものの、ある程度まで生き延びると今度は雄の方が長生きする傾向もあるそうなので、長く生きて知恵を貯えた者を<長>に選ぶ時には、雄が選ばれることも少なくないと。
実に独特な習性ですね。
そんな兎人達の仕事は、鼠人達と同じく現時点では木材の切り出しです。ただ、鼠人に比べるとやはりペースは高くありません。
もっとも、これはあくまで、鼠人達のバックアップとしてのものでしかなく、兎人達に本来お願いしたいのは、<穴掘り>ですね。柱などを立てる際の穴を掘っていただくのが主です。ただ、まだその段階に至っていないので木材の切り出しを行っていただいてるわけです。
現在の作業場では、十数人の兎人の<職人>が木材の切り出しと成形を行っています。
それと同時に、やはり<道路>の拡張ですね。
手順は鼠人達が行っているものとまったく同じ。
しかしルッセン達には、穴掘りの技術を応用し地面を均して道路としての使い勝手を上げてもらう部分も担当してもらう予定です。
実際、一部の職人にはすでにそのための予行演習も始めてもらっています。
今日は、それの確認も目的でした。
「タセルイ、どう? 上手くできそう?」
現在、道路整備を担当している職人のリーダーは、タセルイという名の雄です。
木材用に木を伐採した部分の地面を均す作業を行っている彼に尋ねると、
「モンダイナイ……」
ちょっとおどおどした感じだけど腕は確かな彼のその返事を受けて、私もその場で腰を下げてその先の地面を見ました。
すると確かに、肉眼では十分に平らになっているように見えたのでした。
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