獣人のよろずやさん

京衛武百十

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第二部

対ゴヘノヘ用決戦兵器

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恐竜に似た巨大生物<ゴヘノヘ>を、獣人達の協力により辛くも撃退できた後、次の襲来に備えて獣人達の全面協力の下で完成した<対ゴヘノヘ用決戦兵器>ではありましたが、正直、ゴヘノヘが現れないことにはまったく使い道がなく、早々に子供達の遊び場、いわゆる<ジャングルジム>的な大型遊具のようになってしまいました。

もちろん、危険なので<大型弩砲バリスタ>や<大型杭打機構パイルバンカー>については動作しないようにつるおもりは外してあります。再び襲撃が想定される時に改めて装備するわけです。

ただ、だからといって本当に次の襲撃時まで放置していたのでは、肝心な時に使い方などが分からなかったりするでしょう。それでは意味がありません。

すると、皆で集まっての食事の席で、相堂しょうどう伍長が、

「だったら、もう一つ、それこそゴヘノヘの模型みたいな<的>を作って、それを練習台にすればいいんじゃねえか? しかも、ただ演習ってんじゃつまんねえし、<お祭り>って形でやんだよ。俺の祖先が住んでたっていう<日本>にゃ、<ケンカ神輿>っつって、神輿同士をガーンとぶつけ合う派手なお祭りがあったって言うじゃねえか。その感じで、バーッとやりゃ、盛り上がると思うぜ」

大袈裟な身振り手振りを交えて提案したんです。

「ええ……?」

正直、私としては、説明を聞いただけでもいかにも野蛮そうなそれに引いてたんですが、意外なことに、

「ああ、それはいいかもしれないね」

少佐の方が乗り気に。

さらには、隣に建てた新しい家で、ノーラや、ノーラとの赤ん坊の<レータ>と一緒に暮らし始めたトームまで、

「オモシロソウダ」

って興味を示すという……

どうして男性ってのはこうなんでしょう? 演習なら演習として真面目にやればいいじゃないですか。それをどうしてわざわざ<お祭り>にするんですか?

わけが分かりません。

だけど、翌日、伍長が、また勝負のために店に訪れたブオゴにそれを話すと、

「ヤル! オマツリ!!」

やはりすぐに食いついてきたのです。伍長との<勝負>もそっちのけで。

さらにはブオゴが、伍長を伴ってそれぞれの獣人達の集落を訪れて<お祭り>について説明して回ると、たちまち賛同者が集まり、少佐を頂点として各獣人達の代表らで構成された<実行委員会>的な組織まで立ち上がってしまったのです。

なるほど確かに楽しそうではあります。

それまで獣人達にも独自の<祭り>のような物はあったものの、それぞれの集落で別々に行われる、<派手な飲み会>程度のものでしかなかったのも、事実なのでした。

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