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協力要請
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ゴヘノヘの襲来に備えて、私達は自分にできることを最大限行うことを決意しました。
そのためには、猪人だけでなく、この地域にいるすべての獣人達の協力が必要だと考えました。
「ワタシタチ、タタカウ、チカラ、ナイ……」
私達がまず向かったのは、兎人達の集落でした。
兎人の代表である<長>が不安げに口にします。
しかしそれに対して、少佐は、
「いえ、実際に戦うのはこれまで通り猪人達です。加えて、私達<よろずや>の三人。
皆さんには、戦うための準備を手伝っていただきたいのです。それが済めば、避難してもらって構いません」
と、静かに、穏やかに、けれどはっきりと、用件だけを口にします。
「……」
集められた兎人達は顔を見合わせ、戸惑います。
無理もありません。
ですが、今回の<作戦>には彼らの協力が不可欠なのです。
この後、少佐と私が、丁寧に作戦の内容を説明しました。彼らにどういう役目を担ってもらいたいかも、隠すことなく伝えます。
すると、これまで<よろずや>として誠実に接してきたことが功を奏し、
「ヨロズヤ、ナカマ。ワカッタ。キョウリョク、スル」
と言っていただけたのです。
「ありがとうございます!」
少佐は兎人の長と固く握手を交わし、すぐさま作戦の実行に移ってもらいました。なにしろ時間との勝負です。それでいて、<質>も問われる。
連絡要員には、ラレアトに務めてもらいました。
その後、もう一方の、メイミィ達がいる兎人の集落とも同様に協力を取り付けることに成功。こちらはメイミィが連絡要員となります。
兎人は、兎の性質を持つからか足が速く、状況を逐次伝えてくれて本当に心強い限りです。
さらにはトーム達山羊人も帰ってきていたので、協力を要請します。
ですが山羊人達は、これから夏前まで過ごすことになる集落がまだ準備段階だったこともあり、
「ワタシタチハ、ニゲル。ソレガアタリマエ」
と、協力を拒んできたのです。
確かに、今回の作戦では、山羊人の協力がなくても実行は不可能ではないでしょう。しかし、彼らの協力が得られればより確実になることも事実。
とは言え、私達には彼らに対して強制的に協力させる権限もありません。あくまで要請しかできないのです。
でも、彼らの意志は固く、やむを得ず、
「分かりました。無理強いはできませんので、今回については……」
少佐がそう切り出しました。けれど、その時……
「オレハ、テツダウ…!」
一人の山羊人の男性が、声を上げました。
ノーラの赤ん坊の父親の、トームなのでした。
そのためには、猪人だけでなく、この地域にいるすべての獣人達の協力が必要だと考えました。
「ワタシタチ、タタカウ、チカラ、ナイ……」
私達がまず向かったのは、兎人達の集落でした。
兎人の代表である<長>が不安げに口にします。
しかしそれに対して、少佐は、
「いえ、実際に戦うのはこれまで通り猪人達です。加えて、私達<よろずや>の三人。
皆さんには、戦うための準備を手伝っていただきたいのです。それが済めば、避難してもらって構いません」
と、静かに、穏やかに、けれどはっきりと、用件だけを口にします。
「……」
集められた兎人達は顔を見合わせ、戸惑います。
無理もありません。
ですが、今回の<作戦>には彼らの協力が不可欠なのです。
この後、少佐と私が、丁寧に作戦の内容を説明しました。彼らにどういう役目を担ってもらいたいかも、隠すことなく伝えます。
すると、これまで<よろずや>として誠実に接してきたことが功を奏し、
「ヨロズヤ、ナカマ。ワカッタ。キョウリョク、スル」
と言っていただけたのです。
「ありがとうございます!」
少佐は兎人の長と固く握手を交わし、すぐさま作戦の実行に移ってもらいました。なにしろ時間との勝負です。それでいて、<質>も問われる。
連絡要員には、ラレアトに務めてもらいました。
その後、もう一方の、メイミィ達がいる兎人の集落とも同様に協力を取り付けることに成功。こちらはメイミィが連絡要員となります。
兎人は、兎の性質を持つからか足が速く、状況を逐次伝えてくれて本当に心強い限りです。
さらにはトーム達山羊人も帰ってきていたので、協力を要請します。
ですが山羊人達は、これから夏前まで過ごすことになる集落がまだ準備段階だったこともあり、
「ワタシタチハ、ニゲル。ソレガアタリマエ」
と、協力を拒んできたのです。
確かに、今回の作戦では、山羊人の協力がなくても実行は不可能ではないでしょう。しかし、彼らの協力が得られればより確実になることも事実。
とは言え、私達には彼らに対して強制的に協力させる権限もありません。あくまで要請しかできないのです。
でも、彼らの意志は固く、やむを得ず、
「分かりました。無理強いはできませんので、今回については……」
少佐がそう切り出しました。けれど、その時……
「オレハ、テツダウ…!」
一人の山羊人の男性が、声を上げました。
ノーラの赤ん坊の父親の、トームなのでした。
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