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攻防
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ゴヘノヘを前に足を止めてしまったことを、伍長は今も悔やんでいます。
なにしろ、彼が立ち尽くしていたほんの数秒の間にボルゴが躊躇うことなく吶喊し、ゴヘノヘに一撃を加えていたのですから。
しかもバンゴはそのままゴヘノヘの牙や尻尾の攻撃を紙一重で躱しつつ、石槍をゴヘノヘの脚に腹にと突き立てます。
さらには他の猪人の戦士達も、棍棒を打ち付ける者、頭くらいの大きさのある石を投げつける者、蔦を編んで作ったロープをゴヘノヘに掛けて動きを封じようとする者。それぞれの役目を果たし、立ち向かいました。
完全に出遅れた形になった伍長でしたが、気を持ち直せば後は猛然と攻撃を繰り出します。
ゴヘノヘはさすがに十五メートルほどもある巨体なので、それを支える脚が弱点になるでしょう。猪人達はそれを理解していました。
ですが、ゴヘノヘは簡単な敵ではありません。
巨体でありつつ動きは非常に機敏かつ柔軟で、時にはフェイントさえ使い、猪人達を翻弄するのです。
そして……
ゴヘノヘの首にロープを掛けた猪人が、大きく首を振ったゴヘノヘに振り回され、体勢を崩した瞬間、ぐわっと頭を翻し大きく開いた無数の牙が並ぶ口に捕らえられてしまったのです。
「ぎゃーっっっ!!」
森の中に響く断末魔の絶叫。しかしその猪人は、ゴリゴリと全身を噛み砕かれながらも、命が途絶えるその最後の瞬間まで石のナイフをゴヘノヘの口へと突き立てていたとのこと……
死に落ちるまでどれだけ敵に一撃を加えられるかが戦士の誇りなのだといいます。
けれど、ゴヘノヘの動きを封じる役の一人が失われたことで抑えきれなくなり、突破されてしまったのです。
「くそっ!!」
悔しさでそう吐き捨てる伍長に、ボルゴが言います。
「マダマケテナイ! ニガサナイ!」
と同時に、あれほど動き回って攻撃を加えていたというのにまったく疲れた様子を見せず、ボルゴが走り出しました。
彼らが言うには、この調子で数日間、戦い続けるのだそうです。
そう、これはまだ序盤も序盤。
獣人達が暮らしていた集落さえゴヘノヘは蹂躙し、年老いたり、幼すぎて足手まといになってしまうことで残された者達を次々と襲い、まさに<天災>としての姿を見せます。
猪人達は、時には背後から、時には先回りして待ち伏せて、ゴヘノヘに戦いを挑みました。
けれど、ゴヘノヘはそれをものともせずに、遂に猪人達の集落に到達。
まだ戦士には達していない若者だけは避難させ、戦えるものは女でも武器を取り、ゴヘノヘを迎えたのでした。
なにしろ、彼が立ち尽くしていたほんの数秒の間にボルゴが躊躇うことなく吶喊し、ゴヘノヘに一撃を加えていたのですから。
しかもバンゴはそのままゴヘノヘの牙や尻尾の攻撃を紙一重で躱しつつ、石槍をゴヘノヘの脚に腹にと突き立てます。
さらには他の猪人の戦士達も、棍棒を打ち付ける者、頭くらいの大きさのある石を投げつける者、蔦を編んで作ったロープをゴヘノヘに掛けて動きを封じようとする者。それぞれの役目を果たし、立ち向かいました。
完全に出遅れた形になった伍長でしたが、気を持ち直せば後は猛然と攻撃を繰り出します。
ゴヘノヘはさすがに十五メートルほどもある巨体なので、それを支える脚が弱点になるでしょう。猪人達はそれを理解していました。
ですが、ゴヘノヘは簡単な敵ではありません。
巨体でありつつ動きは非常に機敏かつ柔軟で、時にはフェイントさえ使い、猪人達を翻弄するのです。
そして……
ゴヘノヘの首にロープを掛けた猪人が、大きく首を振ったゴヘノヘに振り回され、体勢を崩した瞬間、ぐわっと頭を翻し大きく開いた無数の牙が並ぶ口に捕らえられてしまったのです。
「ぎゃーっっっ!!」
森の中に響く断末魔の絶叫。しかしその猪人は、ゴリゴリと全身を噛み砕かれながらも、命が途絶えるその最後の瞬間まで石のナイフをゴヘノヘの口へと突き立てていたとのこと……
死に落ちるまでどれだけ敵に一撃を加えられるかが戦士の誇りなのだといいます。
けれど、ゴヘノヘの動きを封じる役の一人が失われたことで抑えきれなくなり、突破されてしまったのです。
「くそっ!!」
悔しさでそう吐き捨てる伍長に、ボルゴが言います。
「マダマケテナイ! ニガサナイ!」
と同時に、あれほど動き回って攻撃を加えていたというのにまったく疲れた様子を見せず、ボルゴが走り出しました。
彼らが言うには、この調子で数日間、戦い続けるのだそうです。
そう、これはまだ序盤も序盤。
獣人達が暮らしていた集落さえゴヘノヘは蹂躙し、年老いたり、幼すぎて足手まといになってしまうことで残された者達を次々と襲い、まさに<天災>としての姿を見せます。
猪人達は、時には背後から、時には先回りして待ち伏せて、ゴヘノヘに戦いを挑みました。
けれど、ゴヘノヘはそれをものともせずに、遂に猪人達の集落に到達。
まだ戦士には達していない若者だけは避難させ、戦えるものは女でも武器を取り、ゴヘノヘを迎えたのでした。
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