獣人のよろずやさん

京衛武百十

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総合的に判断

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私達は、移住に適した惑星を探すことが一番の役目ですが、それでも実際に殖民を行うかどうかを判断するのは私達ではなく、政府が専門家を派遣し、さらに詳細に調査をした後で総合的に判断することになっています。

惑星探査チームが行うのは、あくまで候補になる惑星を見つけること。調査のための必要最小限を超える形で環境に手を加えることは禁じられています。

大規模なテラフォーミングが必要な場合は、基本的にバクテリアなどしか生物がいない場合のみ行われるそうです。

そもそも、地球やこの惑星のように元々多種多様な動植物が生息している惑星自体が極めて希少なので、そういう惑星を大規模テラフォーミングしてそこに住む生物を大量絶滅させるようなことは、原則として禁じられているんです。

環境を大幅に変えるということは、それだけ原住生物を大量に絶滅に追い込むことになりますからね。

現在までに殖民惑星とされたもののほとんどが、きわめて簡単なバクテリアくらいまでいなかったものを大規模テラフォーミングによって移住可能な環境にしたものだとのこと。

ここやコーネリアス号が不時着した惑星のように、環境に手を加えなくても移住可能なものはまだ数例しか発見されていません。

だから情報を持ち帰ることができればその時点で歴史的な大発見だったでしょうね。

今ではもう叶わぬ話ですが。

もし、情報を持ち帰ることができれば、あの<透明で不定形な謎の存在>についても徹底した調査が行われたでしょう。

あれは、動物と動物由来のものしか吸収または同化しないことはここまでで分かっています。そう言えば、私達が最初に襲われた時にも、メイトギアにはまったく反応しなかった印象がありました。

そうなれば、当然、ロボットをまず送り込んで入念な調査を行い、ここの獣人達がそうしているように適度な距離を保って共生することを目指したに違いありません。

あれが水場のそばを離れられないのなら、それを避けて街を築くはずです。

水を確保するための工事は、それこそロボットを使えばいい。ロボットは襲われませんし、万が一のことがあってもロボットならボディが破壊されてもデータはバックアップが取られてますから、ボディさえ交換すれば何度でも復帰できますし。

ちなみに、惑星の資源を枯渇させないようにするために、一つの惑星につき最大十億人までと人口が制限されています。

でもまあ、地球に本部を持つ<総合政府>から独立を果たした殖民惑星の中には、その基準を撤廃しさらに人口を増やしているところもあるそうですが、そういうところは皆、当初はほぼ生物が存在しなかった惑星ばかりですね。

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