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彼らの世界
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取り敢えずここまで間で確認できたことを総合すると、
『あの<透明で不定形な謎の存在>については、襲撃を受ければ非常に危険な存在ではあるものの、あちら側に襲撃を行う理由がなければ、普通の危険な猛獣の類と比べても特段恐れる必要はない』
という結論に至りました。
それ自体は以前からのものですが、改めて確認できたというわけですね。
ただ、
「これまでの調査の範囲内では問題なさそうだけれど、汚物処理については、我々は当面の間は従来通りで行こう。現時点で完全に問題なしと判断するにはまだデータが乏しいと思う」
少佐はそう結論付けました。
「はい。私も異論有りません」
私はそう答えましたが、伍長は、
「俺は別にあいつらと同じでいいと思うけどな」
と少々不満気です。とは言え、どうしても納得いかないというほどではない上に、彼にとってはどちらでもいいというのもあるそうで、強く反対はしませんでした。
私達が躊躇ったのは、
『あれに吸収あるいは同化させることが果たして自然の循環と言えるのかどうかが分からない』
というのが一番でした。
なにしろ、今回の調査でも、あれが<排泄>を行っているところが確認できず、また、死骸等も見付けられなかったことにより、あれに吸収または同化されたものがここの自然に還元されるのか、長期的に見て望ましいことかどうか、確信が得られなかったのです。
もし、あれに吸収または同化されたものが完全にこの惑星上から失われるのだとしても、現時点の規模であれば、すぐに大きな影響が出ることはないでしょう。
それでも、確実に問題ないと確証が得られるまでは、私達は慎重でありたいと思います。
完全に自然発生とは言えない可能性があっても、ここはすでに獣人達が生きる世界です。彼らの生きる世界に、余所者である私達が無用な負荷をかけることは可能な限り避けたい。
となれば、これまで通り、排泄物をはじめとした汚物は基本的に焼却し埋めるという方向で。
これなら少なくとも灰となった分については土に還りますから。
それにしても、私達にとっては<仇>とも言えるあの<透明で不定形な謎の存在>についての結論がこれとは、いささか拍子抜けとも思えるかもしれません。
ですが私達は、そもそも未知の危険な存在に遭遇するリスクについては承知の上で惑星探査チームに参加したのです。残念ではあっても、<復讐>を誓うほどの強い敵意を向けるのはお門違いと思います。
なぜなら、平穏に暮らしていた彼らの世界に土足で踏み入ったのは私達の方なのですから。
『あの<透明で不定形な謎の存在>については、襲撃を受ければ非常に危険な存在ではあるものの、あちら側に襲撃を行う理由がなければ、普通の危険な猛獣の類と比べても特段恐れる必要はない』
という結論に至りました。
それ自体は以前からのものですが、改めて確認できたというわけですね。
ただ、
「これまでの調査の範囲内では問題なさそうだけれど、汚物処理については、我々は当面の間は従来通りで行こう。現時点で完全に問題なしと判断するにはまだデータが乏しいと思う」
少佐はそう結論付けました。
「はい。私も異論有りません」
私はそう答えましたが、伍長は、
「俺は別にあいつらと同じでいいと思うけどな」
と少々不満気です。とは言え、どうしても納得いかないというほどではない上に、彼にとってはどちらでもいいというのもあるそうで、強く反対はしませんでした。
私達が躊躇ったのは、
『あれに吸収あるいは同化させることが果たして自然の循環と言えるのかどうかが分からない』
というのが一番でした。
なにしろ、今回の調査でも、あれが<排泄>を行っているところが確認できず、また、死骸等も見付けられなかったことにより、あれに吸収または同化されたものがここの自然に還元されるのか、長期的に見て望ましいことかどうか、確信が得られなかったのです。
もし、あれに吸収または同化されたものが完全にこの惑星上から失われるのだとしても、現時点の規模であれば、すぐに大きな影響が出ることはないでしょう。
それでも、確実に問題ないと確証が得られるまでは、私達は慎重でありたいと思います。
完全に自然発生とは言えない可能性があっても、ここはすでに獣人達が生きる世界です。彼らの生きる世界に、余所者である私達が無用な負荷をかけることは可能な限り避けたい。
となれば、これまで通り、排泄物をはじめとした汚物は基本的に焼却し埋めるという方向で。
これなら少なくとも灰となった分については土に還りますから。
それにしても、私達にとっては<仇>とも言えるあの<透明で不定形な謎の存在>についての結論がこれとは、いささか拍子抜けとも思えるかもしれません。
ですが私達は、そもそも未知の危険な存在に遭遇するリスクについては承知の上で惑星探査チームに参加したのです。残念ではあっても、<復讐>を誓うほどの強い敵意を向けるのはお門違いと思います。
なぜなら、平穏に暮らしていた彼らの世界に土足で踏み入ったのは私達の方なのですから。
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