65 / 404
ある種のレクリエーション
しおりを挟む
なので、フィクションなどではよく見られた、
『自分の思い通りにならないからとすぐにキレるような人が、我儘な個人がいるだけで全体が危機に陥るようなチームにいる』
という描写は私には不思議でしたね。チームを編成する側に危機管理意識がまったくないと言うか。
実際、そういう人がトラブルを引き起こしてピンチになるというのが定番の展開でしたし。
昔はそこまで詳細に適性の確認ができなかったというのもあるかもしれませんが、現在では、
『場を乱すような人間を採用するくらいならロボットを使う方がマシ』
という基準がありますから、実際にはフィクションに見られるような問題行動を起こす人は、基本的にはいません。
もちろん、他愛ないジョークぐらいは私達チーム・コーネリアスでもありましたが、実際にそのジョークを行動に移す人はいませんでした。
精神を病んだクラレスでさえ、データヒューマンになるまでは優秀なスタッフでしたし。
いえ、パニックを起こした後も、回復すればそれまで通りしっかりと自身の役目を果たしていましたね。
相堂伍長も通常の任務の範囲内では大きな問題は起こしていません。
それで思えば、彼は今でも、
『自身の行動で周囲の者を危険に曝す』
ようなことはしていないと言えますか。
ブオゴとの勝負にしても、現地の住人とのコミュニケーションを率先して行ってくれているという一面もありますし。
正直なところ、伍長がブオゴといい勝負をしてみせるからこそ、猪人達も私達を対等な存在として見做してくれているというのも確かにあるんです。
獣人達は、決して、
<ただただ心優しいお人好しな人々>
ではありません。
ここは、私達地球人が暮らしていたような、
<身体生命及び財産がしっかりと保護される安全な環境で安寧を貪れる社会>
ではないのですから。
自分達が生きるためには、その障害となる存在は力によって排除するということも、当然のように行われます。
そんな中で、私達は、自分達の力を示し、同時に、彼らにとって<利>をもたらす存在であることを示さなければなりません。
そういう意味で、伍長の在り方も意義のあることだというのは、私も承知しているんです。
何より、少佐が彼をそのままにしているというのは、そうする理由があるからですし、
ただそれでも、感情の面では納得いかないこともあるだけです。
私個人が。
その上で、私の個人的な感情だけで、上手くいっている現状を台無しにするつもりもありません。
加えて、伍長とのやり取り自体、ある種の<レクリエーション>にもなっていますから。
『自分の思い通りにならないからとすぐにキレるような人が、我儘な個人がいるだけで全体が危機に陥るようなチームにいる』
という描写は私には不思議でしたね。チームを編成する側に危機管理意識がまったくないと言うか。
実際、そういう人がトラブルを引き起こしてピンチになるというのが定番の展開でしたし。
昔はそこまで詳細に適性の確認ができなかったというのもあるかもしれませんが、現在では、
『場を乱すような人間を採用するくらいならロボットを使う方がマシ』
という基準がありますから、実際にはフィクションに見られるような問題行動を起こす人は、基本的にはいません。
もちろん、他愛ないジョークぐらいは私達チーム・コーネリアスでもありましたが、実際にそのジョークを行動に移す人はいませんでした。
精神を病んだクラレスでさえ、データヒューマンになるまでは優秀なスタッフでしたし。
いえ、パニックを起こした後も、回復すればそれまで通りしっかりと自身の役目を果たしていましたね。
相堂伍長も通常の任務の範囲内では大きな問題は起こしていません。
それで思えば、彼は今でも、
『自身の行動で周囲の者を危険に曝す』
ようなことはしていないと言えますか。
ブオゴとの勝負にしても、現地の住人とのコミュニケーションを率先して行ってくれているという一面もありますし。
正直なところ、伍長がブオゴといい勝負をしてみせるからこそ、猪人達も私達を対等な存在として見做してくれているというのも確かにあるんです。
獣人達は、決して、
<ただただ心優しいお人好しな人々>
ではありません。
ここは、私達地球人が暮らしていたような、
<身体生命及び財産がしっかりと保護される安全な環境で安寧を貪れる社会>
ではないのですから。
自分達が生きるためには、その障害となる存在は力によって排除するということも、当然のように行われます。
そんな中で、私達は、自分達の力を示し、同時に、彼らにとって<利>をもたらす存在であることを示さなければなりません。
そういう意味で、伍長の在り方も意義のあることだというのは、私も承知しているんです。
何より、少佐が彼をそのままにしているというのは、そうする理由があるからですし、
ただそれでも、感情の面では納得いかないこともあるだけです。
私個人が。
その上で、私の個人的な感情だけで、上手くいっている現状を台無しにするつもりもありません。
加えて、伍長とのやり取り自体、ある種の<レクリエーション>にもなっていますから。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】もうやめましょう。あなたが愛しているのはその人です
堀 和三盆
恋愛
「それじゃあ、ちょっと番に会いに行ってくるから。ええと帰りは……7日後、かな…」
申し訳なさそうに眉を下げながら。
でも、どこかいそいそと浮足立った様子でそう言ってくる夫に対し、
「行ってらっしゃい、気を付けて。番さんによろしくね!」
別にどうってことがないような顔をして。そんな夫を元気に送り出すアナリーズ。
獣人であるアナリーズの夫――ジョイが魂の伴侶とも言える番に出会ってしまった以上、この先もアナリーズと夫婦関係を続けるためには、彼がある程度の時間を番の女性と共に過ごす必要があるのだ。
『別に性的な接触は必要ないし、獣人としての本能を抑えるために、番と二人で一定時間楽しく過ごすだけ』
『だから浮気とは違うし、この先も夫婦としてやっていくためにはどうしても必要なこと』
――そんな説明を受けてからもうずいぶんと経つ。
だから夫のジョイは一カ月に一度、仕事ついでに番の女性と会うために出かけるのだ……妻であるアナリーズをこの家に残して。
夫であるジョイを愛しているから。
必ず自分の元へと帰ってきて欲しいから。
アナリーズはそれを受け入れて、今日も番の元へと向かう夫を送り出す。
顔には飛び切りの笑顔を張り付けて。
夫の背中を見送る度に、自分の内側がズタズタに引き裂かれていく痛みには気付かぬふりをして――――――。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる