25 / 404
変化するメンタリティ
しおりを挟む
『関係がぎくしゃくしていった』
と言っても、よくあるドラマのように分かりやすく衝突したわけじゃありません。
いえ、厳密には、
『相堂伍長の言動を除けば』
ですが。ただ、彼については、少佐がいればそれほど問題ではありませんでした。攻撃的なのも、自分よりも立場が上の者に対してだけですし。
だからそれについてはそれほど気にする必要もなかったです。
もちろん、雰囲気は悪くなることもありつつ、それさえ実は、
『皆の不満を代弁してもらってガス抜きを行う』
という少佐の狙いもあったようですね。
なので、私自身は彼のことは好きではなかったものの、全体としては概ね上手くいってたと言えるでしょう。
ただ、やはり、『万事それでOK』とはいかないのも人間というものですから……
十枚アレクセイをリーダーとするグループと、少佐をリーダーとするグループとにおおまかに別れて、お互い、すごく余所余所しい感じになってしまったのです。
向こうのグル―プには、個人的には親しい人もいたけれど、やっぱり全体としてこういう雰囲気になってしまうと、私としてもそれを無視して親しそうにするのは気が引けてしまって……
そうして、
「これはもう、お互いに距離を置いた方がいいかもしれないね」
「ああ、それが好ましいと思う。ここの<危険>は、私達のような軍人としてのスキルを必要とするほどのものじゃないし」
十枚アレクセイと少佐との間でそのような合意がなされ、少佐、私、相堂伍長を含む十一人が離脱することになりました。
こちらのグループには軍人も多く、サバイバル技術は高いので、新しい場所に移ってもすぐに適応できるという少佐の判断で、私達の方が出ていくことになったわけですね。
無駄にここまで築いたものの権利を主張するよりは、この方がむしろ面倒も少ないというのは私も分かります。
それに私は、少佐と一緒ならどこでも構わないんです。
……相堂伍長も一緒なのは少々不満がないわけでもありませんでしたが……
まあでも、少佐でないと彼を制御できないので、あちらのグループにとっては大きすぎる負担ですし、仕方ないですね。
そんなわけで私達は二つのグループに別れたのです。
徒歩で一日分以上離れたところまで移動し、同じような湖の畔を見付けて、私達はそこに新しい拠点を設けました。
一から拠点を作り直すのは大変でしたけど、気を遣わなくて済むようになったのはむしろありがたかったかも。
しかも、少佐との距離もすごく縮まって。
少佐って、すっごいイケメンでエリートで有能で、よく完璧な人に思われがちなんですけど、実を言うと人付き合いが苦手なんですよね。
だから、人数が減って、加えて十一人それぞれが自分の家を作って、これまで以上にプライバシーが守れるようになったことで、気が楽になったみたいですね。
と言っても、よくあるドラマのように分かりやすく衝突したわけじゃありません。
いえ、厳密には、
『相堂伍長の言動を除けば』
ですが。ただ、彼については、少佐がいればそれほど問題ではありませんでした。攻撃的なのも、自分よりも立場が上の者に対してだけですし。
だからそれについてはそれほど気にする必要もなかったです。
もちろん、雰囲気は悪くなることもありつつ、それさえ実は、
『皆の不満を代弁してもらってガス抜きを行う』
という少佐の狙いもあったようですね。
なので、私自身は彼のことは好きではなかったものの、全体としては概ね上手くいってたと言えるでしょう。
ただ、やはり、『万事それでOK』とはいかないのも人間というものですから……
十枚アレクセイをリーダーとするグループと、少佐をリーダーとするグループとにおおまかに別れて、お互い、すごく余所余所しい感じになってしまったのです。
向こうのグル―プには、個人的には親しい人もいたけれど、やっぱり全体としてこういう雰囲気になってしまうと、私としてもそれを無視して親しそうにするのは気が引けてしまって……
そうして、
「これはもう、お互いに距離を置いた方がいいかもしれないね」
「ああ、それが好ましいと思う。ここの<危険>は、私達のような軍人としてのスキルを必要とするほどのものじゃないし」
十枚アレクセイと少佐との間でそのような合意がなされ、少佐、私、相堂伍長を含む十一人が離脱することになりました。
こちらのグループには軍人も多く、サバイバル技術は高いので、新しい場所に移ってもすぐに適応できるという少佐の判断で、私達の方が出ていくことになったわけですね。
無駄にここまで築いたものの権利を主張するよりは、この方がむしろ面倒も少ないというのは私も分かります。
それに私は、少佐と一緒ならどこでも構わないんです。
……相堂伍長も一緒なのは少々不満がないわけでもありませんでしたが……
まあでも、少佐でないと彼を制御できないので、あちらのグループにとっては大きすぎる負担ですし、仕方ないですね。
そんなわけで私達は二つのグループに別れたのです。
徒歩で一日分以上離れたところまで移動し、同じような湖の畔を見付けて、私達はそこに新しい拠点を設けました。
一から拠点を作り直すのは大変でしたけど、気を遣わなくて済むようになったのはむしろありがたかったかも。
しかも、少佐との距離もすごく縮まって。
少佐って、すっごいイケメンでエリートで有能で、よく完璧な人に思われがちなんですけど、実を言うと人付き合いが苦手なんですよね。
だから、人数が減って、加えて十一人それぞれが自分の家を作って、これまで以上にプライバシーが守れるようになったことで、気が楽になったみたいですね。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説


スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。
最強の英雄は幼馴染を守りたい
なつめ猫
ファンタジー
異世界に魔王を倒す勇者として間違えて召喚されてしまった桂木(かつらぎ)優斗(ゆうと)は、女神から力を渡される事もなく一般人として異世界アストリアに降り立つが、勇者召喚に失敗したリメイラール王国は、世界中からの糾弾に恐れ優斗を勇者として扱う事する。
そして勇者として戦うことを強要された優斗は、戦いの最中、自分と同じように巻き込まれて召喚されてきた幼馴染であり思い人の神楽坂(かぐらざか)都(みやこ)を目の前で、魔王軍四天王に殺されてしまい仇を取る為に、復讐を誓い長い年月をかけて戦う術を手に入れ魔王と黒幕である女神を倒す事に成功するが、その直後、次元の狭間へと呑み込まれてしまい意識を取り戻した先は、自身が異世界に召喚される前の現代日本であった。
初恋♡リベンジャーズ
遊馬友仁
キャラ文芸
【第四部開始】
高校一年生の春休み直前、クラスメートの紅野アザミに告白し、華々しい玉砕を遂げた黒田竜司は、憂鬱な気持ちのまま、新学期を迎えていた。そんな竜司のクラスに、SNSなどでカリスマ的人気を誇る白草四葉が転入してきた。
眉目秀麗、容姿端麗、美の化身を具現化したような四葉は、性格も明るく、休み時間のたびに、竜司と親友の壮馬に気さくに話しかけてくるのだが――――――。
転入早々、竜司に絡みだす、彼女の真の目的とは!?
◯ンスタグラム、ユ◯チューブ、◯イッターなどを駆使して繰り広げられる、SNS世代の新感覚復讐系ラブコメディ、ここに開幕!
第二部からは、さらに登場人物たちも増え、コメディ要素が多めとなります(予定)

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる