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命の章
見倣っちゃいけない悪い手本
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「そんな訳でエンディミオンの処遇については、政府の方が、
『触らぬ神に祟りなし』
という方針であるのなら、余計なことはしないのが正解だと私は思う。いずれ何かの形で報いを受けるのであればそれについては仕方ないにしても、今は、な」
「はい」
「そうだね」
アオの言葉に、さくらもミハエルも頷いた。
その上で、
「ただしこれは、エンディミオンの過去の行いについて是認するわけじゃないっていうのだけは肝に銘じないといけないと思う」
とも、アオは強調した。
「エンディミオンの過去の行いについては、あくまで今の平和な日本に生まれて育った私達にはとやかく口出しできないだけで、だからといって正当化されることでも許されることでもないと思う。
そして何より、これから日本で暮らしていくなら、 人間に対して敵対行動をとらないことを徹底してもらわないといけないと思うんだ。
また、生まれてくる子供が日本で生きていくならそれこそ、その子達のためにも彼の過去は非難されなきゃいけないんじゃないかな」
これに対してもミハエルは頷く。
「アオの言う通りだよ。エンディミオンは法律上はいないはずの存在だ。だけどその子供達は、さくらの子供として日本人として生まれて生きていくことになる。だとすれば僕やエンディミオンの生き方は否定されるべきものになる。
それどころか、ダンピールとして彼が信じてきた吸血鬼への恨みも否定されることになるよね。
つまり、彼は、生まれてからこれまで信じてきた彼自身の根幹にかかわる部分を、さくらと子供達のためにすべて否定されることになるんだ。
ある意味では、それが彼に対する<報い>なのかもしれない。彼は自分のこれまでの生き様の一切を、
<見倣っちゃいけない悪い手本>
にしなきゃいけなくなるんだ。これはきっと、彼にとってはとても辛い仕打ちになるだろうね……」
そのミハエルの言葉を受けて、さくらは応えた。
「彼も、それはもう分かってくれています。これまでの自分を<極悪人>になるように自分の子供に生き方を示していかなくちゃいけないんだってことを。以前の自分を『間違ってた』って言わなきゃいけない。
それは、とても辛いことでしょうね。自分が『そういうものだ』と信じて心の支えにしてきたもの、自分のアイデンティティそのものを貶めないといけないんですから……
でも、<親>になるなら、親として今の日本で生きていく上でどうあるべきかっていうのを子供に示すためには、自分が間違ってたことを認めなくちゃいけないんですよね」
『触らぬ神に祟りなし』
という方針であるのなら、余計なことはしないのが正解だと私は思う。いずれ何かの形で報いを受けるのであればそれについては仕方ないにしても、今は、な」
「はい」
「そうだね」
アオの言葉に、さくらもミハエルも頷いた。
その上で、
「ただしこれは、エンディミオンの過去の行いについて是認するわけじゃないっていうのだけは肝に銘じないといけないと思う」
とも、アオは強調した。
「エンディミオンの過去の行いについては、あくまで今の平和な日本に生まれて育った私達にはとやかく口出しできないだけで、だからといって正当化されることでも許されることでもないと思う。
そして何より、これから日本で暮らしていくなら、 人間に対して敵対行動をとらないことを徹底してもらわないといけないと思うんだ。
また、生まれてくる子供が日本で生きていくならそれこそ、その子達のためにも彼の過去は非難されなきゃいけないんじゃないかな」
これに対してもミハエルは頷く。
「アオの言う通りだよ。エンディミオンは法律上はいないはずの存在だ。だけどその子供達は、さくらの子供として日本人として生まれて生きていくことになる。だとすれば僕やエンディミオンの生き方は否定されるべきものになる。
それどころか、ダンピールとして彼が信じてきた吸血鬼への恨みも否定されることになるよね。
つまり、彼は、生まれてからこれまで信じてきた彼自身の根幹にかかわる部分を、さくらと子供達のためにすべて否定されることになるんだ。
ある意味では、それが彼に対する<報い>なのかもしれない。彼は自分のこれまでの生き様の一切を、
<見倣っちゃいけない悪い手本>
にしなきゃいけなくなるんだ。これはきっと、彼にとってはとても辛い仕打ちになるだろうね……」
そのミハエルの言葉を受けて、さくらは応えた。
「彼も、それはもう分かってくれています。これまでの自分を<極悪人>になるように自分の子供に生き方を示していかなくちゃいけないんだってことを。以前の自分を『間違ってた』って言わなきゃいけない。
それは、とても辛いことでしょうね。自分が『そういうものだ』と信じて心の支えにしてきたもの、自分のアイデンティティそのものを貶めないといけないんですから……
でも、<親>になるなら、親として今の日本で生きていく上でどうあるべきかっていうのを子供に示すためには、自分が間違ってたことを認めなくちゃいけないんですよね」
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