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家憑き童子の章
片付け
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『洸もエリカさんに会ったんだ……!』
洸が『おねえちゃん』と言ったことで、さくらも察してしまった。
『小さい子が時々、<見えない友達>と遊んでたりするっていう話ってこういうことかな』
と。
『でも…会ったのがエリカさんだったら、そんなに心配要らないかな……』
とも思った。さくらが見たエリカは、確かに洸のことも大切にしてくれそうな優しい少女だったから。
そういう訳で、それについてはあまり気にしないようにして、今日は仕事も休みだし、荷物の片付けを行うことにした。
もっとも、大きな荷物や家電製品の類はほとんど、セッティングまで行ってくれているので、あとは、片付ける場所が決まっていなかった雑多な小物類や、さくらが集めた資料などである。
それらは、階段下の壁が一面、収納になっているので、そちらにどんどん片付けていく。
しかも階段下は、必要とあればカーテンで仕切って個室のようにもでき、ある意味ではさくらの<書斎>のようにもできる形になっていた。
エンディミオンは一階奥の自室で眠っているが、さくらは彼の邪魔にならないように片付けを進める。
「エンディお兄ちゃんが寝てるから、静かにね」
洸には唇に指を当てながらそう告げた。すると洸は、大きく頷きながらも、
「うん!」
と声は控えめにしながら返事をしてくれた。そして実際に、なるべく物音を立てないようにして片付けを手伝ってくれる。
見た目は五歳くらい、でも中身は二歳くらいな洸だったが、力はさすがにもう人間の子供とは比較にならなかった。さくらと変わらないくらいの力はあるだろう。そう、成人女性くらいは。
だから、思った以上に捗った。
昼までにはリビングに積み上げられた荷物の半分くらいが片付き、空いた段ボールは洸に裏の温室に置いてもらった。
洸は実に良く働いてくれた。
相手が小さな子供となると大人はついつい見くびってしまいがちだが、子供は子供で意外なほど、自分も役に立ちたいと思っていたりするものである。
そうやって本人がやる気になっている時に『二度手間だから』とかいって手伝わせなかったりすると、どうやら意外とその頃のことが無意識下に残っているのか、大きくなってから手伝ってもらおうとしてもその頃にはもう手伝ってくれなかったりもするそうだ。
それもあって、さくらは洸が手伝いたいと思ってくれるならそうしようと思っていた。
もちろん、無理にやらせるつもりはない。彼が自分から進んでやってくれるならというだけだ。
これは、さくらの両親が、彼女がまだ幼かった頃にしていたことでもあった。
洸が『おねえちゃん』と言ったことで、さくらも察してしまった。
『小さい子が時々、<見えない友達>と遊んでたりするっていう話ってこういうことかな』
と。
『でも…会ったのがエリカさんだったら、そんなに心配要らないかな……』
とも思った。さくらが見たエリカは、確かに洸のことも大切にしてくれそうな優しい少女だったから。
そういう訳で、それについてはあまり気にしないようにして、今日は仕事も休みだし、荷物の片付けを行うことにした。
もっとも、大きな荷物や家電製品の類はほとんど、セッティングまで行ってくれているので、あとは、片付ける場所が決まっていなかった雑多な小物類や、さくらが集めた資料などである。
それらは、階段下の壁が一面、収納になっているので、そちらにどんどん片付けていく。
しかも階段下は、必要とあればカーテンで仕切って個室のようにもでき、ある意味ではさくらの<書斎>のようにもできる形になっていた。
エンディミオンは一階奥の自室で眠っているが、さくらは彼の邪魔にならないように片付けを進める。
「エンディお兄ちゃんが寝てるから、静かにね」
洸には唇に指を当てながらそう告げた。すると洸は、大きく頷きながらも、
「うん!」
と声は控えめにしながら返事をしてくれた。そして実際に、なるべく物音を立てないようにして片付けを手伝ってくれる。
見た目は五歳くらい、でも中身は二歳くらいな洸だったが、力はさすがにもう人間の子供とは比較にならなかった。さくらと変わらないくらいの力はあるだろう。そう、成人女性くらいは。
だから、思った以上に捗った。
昼までにはリビングに積み上げられた荷物の半分くらいが片付き、空いた段ボールは洸に裏の温室に置いてもらった。
洸は実に良く働いてくれた。
相手が小さな子供となると大人はついつい見くびってしまいがちだが、子供は子供で意外なほど、自分も役に立ちたいと思っていたりするものである。
そうやって本人がやる気になっている時に『二度手間だから』とかいって手伝わせなかったりすると、どうやら意外とその頃のことが無意識下に残っているのか、大きくなってから手伝ってもらおうとしてもその頃にはもう手伝ってくれなかったりもするそうだ。
それもあって、さくらは洸が手伝いたいと思ってくれるならそうしようと思っていた。
もちろん、無理にやらせるつもりはない。彼が自分から進んでやってくれるならというだけだ。
これは、さくらの両親が、彼女がまだ幼かった頃にしていたことでもあった。
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